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🐯ビルヂングをゆく(東京)

東京都台東区に、レトロ建築ファンには割と知られた建物があります。1Fにショップが入っていますが全体としてはオフィスビルであり、不特定多数の人が頻繁に出入りする商業施設ではありません。

ちょうど仕事の関係で訪れる機会があり、貴重な記録を納めることができました。現役稼働中の一般ビルということでご迷惑になるのを避けるべく、今回は名称を記載するのは差し控えたいと思います(写真でなんとなく察してください)。


ずいぶん前になりますが、このビル、以前にも訪れたことがあります。それは蔵前を散策していたときのこと。



エポック社って蔵前にあったんだ。ボードゲームのイメージが強いけれど、シルバニアファミリーはこの会社が一手に担っています(豆知識)。



厩橋



足元には墨田川が流れています。その向こうにはスカイツリー。雲がもう完全に夏の景色だね。



川辺に停泊する屋形船を眺めつつ散策を進めます。



こちらのお宅もかなり年季が入ってる! 空気取りの窓が素敵です。



軒下にはこんなメッセージも。昔風だなぁ🙂




なおも周囲をぶらついていると、明らかに周囲と空気感の違う建物が目に飛び込んできた。それが例のビルヂングでした。この日は土曜日。原則オフィスビルなので閉まっています。



建物の横に回り込んでみると重厚な扉が。トライするも微動だにせず。



漆喰かな? 塗り壁が美しいです😍



裏手には古びた外階段が。これもかなり渋いよね。



なおもあたりを探索し、この日はそれで終わったんです。



そして月日は流れ、つい先日のこと。



とある平日の午後。仕事で蔵前までやって来ました。



テクテクと歩いていく。



例のお宅も健在でした😊



なおも歩を進めます。大通り沿いなので交通量が多い。すると――



ようやく見えてきました。本日はこのビルの中に用事があります😛



そんな奴がいるんだね。ダメ、絶対!



改めて眺めてみる。う゛~む、スバラシイ。この建物は国の登録有形文化財に指定されており、もとは関東大震災の復興期に建てられた高級アパートです。同潤会青山アパートメントもいろんな商業店舗が入っていたけれど、あれと似たかんじだね。



正面玄関を抜けると多数の自転車が。左手は地下へ降りる階段のようです。この建物は地上5階、地下1階というフロア構成。




地下は書いていないので、電源設備などがあるのかな? 複数のテナントが入居しており、レンガ色をした昔ながらの集合ポストが並んでいます。



通路を抜けて奥へ移動。人ひとり分の幅しかなく、狭さが天井の高さを際立たせています。



奥に到達するとのぼり階段あり。



階段脇の扉も、昭和の木造校舎さながらです😅



さっそく上階へ向けて登っていきます。



みてください。この曲線アールがなんとも美しい🤩



なんだか本当に学校みたい


音量注意!


このガラスも、もう代用品なんて無いんだろうなぁ。スチール製のフレームも素晴らしいです。



3階。基本的な構造は各フロアとも共通です。なんともノスタルジックな雰囲気です。





横ばかりに目がいきがちだけど、床のタイルもかなり凝っている。この建物全体がひとつの作品といってもいい。



ハンドルの意匠に惚れぼれする。



四階へ。踊り場に掲示される階数表示のフォントもまた目を引く存在。こんな細かいところまで気を配っているんだな。設計者と職人のこだわりを感じるね。



階段と居住スペースのあいだを重厚な扉が隔てている。



ワーオ、このトグルスイッチ! 大好物です。



四階の通路を抜け、いよいよ五階へ


音量注意!



階段はさらに屋上へと続いていましたが――



屋上は閉鎖されておりました。



せめて外の様子を窓から覗いてみる



ひとしきり堪能し、階下へ。



👨‍💼お仕事中👨‍💼お仕事中👨‍💼



用事を済ませ、エレベータで1階まで降ります



横についているこのインタフォンも現役なんだろうか😅



レトロな外見のわりに、中はけっこう新しかったです。エレベータはさすがにね。



生来の冒険心のせいか、ためらいもなくBを押してみるが無反応。仕方なしに1を押す。



そしてこの扉の向こう側、令和の時代へと。


このビルの設立は1934年にまでさかのぼる。じつに90年前の建物ということになるか。よく生き残ってきたなというのと同時に、丁寧なメンテナンスで受け継がれてきたということでもあるんだろうね。

登録有形文化財であると同時に、東京都の景観重要建造物の指定も受けている。この建物が「保存されている」だけでなく、現役で使われている・・・・・・というところに、とても価値を感じるね。
90歳を迎えてなお活力を失わない秘密も、そこにあるんだと思う。いまなお人々を引き付ける魅力は、令和の時代になっても決して色褪せることはないんだ。


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