『子どもの課題』『大人の課題』の区別ができていますか?(サッカー指導+アドラー心理学)
こんばんは、ジョゼ佐藤です。
今回は、選手のための心理学というよりは、コーチ(もしくは保護者)のための心理学の話です。
よろしくお願いいたします。
以前、同じチームで指導をしていたお父さんコーチの方から、こんなご質問をいただきました。
了解いたしました。
私も指導をしていると、同僚のコーチや保護者様からこのようなご質問をいただくことがあります。
そんなときは最初にこの話をしています。
●特定の子どものサッカーが上達しない
●特定の子どものやる気が無い
●特定の子ども同士の仲が悪い
といった課題は、『子どもの課題』です。
▲チーム全体のレベルが上がらない
▲試合で負けが続いている
▲家族全体の雰囲気が悪い
といった課題は、『大人の課題』です。
そこで、大人の方は、子どもに何か問題(課題)が起きたときに、
“この課題は、AとB、どちらの課題なのか?”
A:子どもの課題
B:大人の課題
などと、課題を分けて考えてみましょう。
このようなときに大人が課題を分けずに考えてしまうと、
本来であれば子どもが自分で解決をすべき『子どもの課題』に介入をして無理矢理解決させようとしてしまったり、
子どもの自立心が奪われて、子どものやる気や意欲がますます下がってしまうこともあるのです。
さらに、『子どもの課題』は子ども自身が解決することで真の問題解決となるのに、大人が自分の都合や自分の願望で解決させようとするから、
解決できなくてイライラしてしまったり、そのことでストレスをためてしまうことにもなるのです。
大人は意外に思うかもしれませんが、
子どもは自分がやりたくてやっていることには、多少自分に困難が起きてもあまりストレスを感じずに、
「よし!僕は(私は)がんばって課題を解決してやるぞ!!」
などと課題解決に対して意欲的に取り組んでいるものです。
それに対して大人は、そんな自発性や自立心をもち始めている子どもにいろんな注文をつけたりケチをつけるから、子どももストレスを感じるようになるのです。
一歩立ち止まり、怒りをおさえて、自分の気持ちを落ち着けたところで、
ですとか、
などと、
A:子どもの課題
B:大人の課題
この課題はAとB、どちらの課題なのか?
の判断をしてから、課題解決に取り組んでみると、子どもと大人、お互いのストレスも少なくすることができるのではないでしょうか。
※この2つの課題の区別をせずに、大人が自分でいくつものストレスを抱え、『子どもの課題』を解決しようとしてストレスをさらに増やしてしまおうとしている(そしてそのことに気づかない)方が結構いらっしゃると思います。そのような方が、冒頭で述べたお悩み(ご質問)を抱えていらっしゃるのだと思います。
ただし、『子どもの課題』『大人の課題』とは別の課題がもう一つあるのです。
それは、
です。
『共通の課題』というのは、
「コーチ、僕はサッカーが上手くなりたいんです。どうしたらいいですか?」
といった、
《子どものほうから相談をしてきたこと》
になります。
子どもは、心の底から、
「困った」
「これは自分一人では解決できない」
「このことは誰かに相談したい」
と思うことほど、信頼のできる大人に相談をすると言われています。
そしてこのような相談を子どもからいただいた場合、
《『子どもの課題』は『共通の課題』に転換されます》
そんなときに初めて大人は、
“よし、わかった。じゃあどうすればいいか、一緒に考えていこう!”
と、協力する姿勢を示せばいいのです。
(手伝うとか、協力をする、ではなく、あくまでも『協力する姿勢』を示すだけでよいのです)
また、このときに注意点があります。
子どもから相談を受けたときは、
などと迂闊に答えを示してしまったり、
子どもを批判したり、
否定するのは絶対にNGです。
繰り返しますが、絶対にNGです。
なぜなら、
それだけは避けたいところです。
●それは△△したらいいんだよ
これは「大人が答えを言ってしまう」ということです。
一見よいことのように思えますが、子どもは元々、自分の困り事を自分で解決したい(自分で解決しなければならない)という思いで大人に相談しています。
だから、子ども自身が、
“自分で考え抜いて答えを出す”
ということが子どもの自発性・自立心を養うことになるのですから、大人が答えを言ってしまったら、これはこのまま子どもの自発性・自立心の成長を奪うことになるのです。
なので子どもから大人への本当の意味での信頼感は増えていません。
●それはダメだよ
これは、子どもの心や人間性の批判になります。子どもが自分自身を成長させるためには、自己肯定感という自分への自信が必要になるのに、大人が言葉の暴力で子どもを批判するだけでは、子どものやる気が落ちるだけのことになります。
なので当然、子どもからの信頼感は増えるどころか減っていくだけだと思います。
●それはオマエの責任だよ
この言葉は、子どもが課題解決できないことを「子どもだけのせい」にしてしまい、大人は自分が一緒になって子どもの課題解決を考えることを拒否する言葉になります。
これでは話の最初から、大人は子どもの課題解決に参加していないことになります。
なのでこれも当然、子どもからの信頼感は増えるどころか減っていくだけだと思います。
なので、こういうときにもアドラー心理学の考え方の、
“対等な立場で一緒に考えていく”
という姿勢を貫きましょう。
協力を提案してこられたのは、あくまでも子どものほうです。
なので提案を受けた側の大人は子どもの意見を尊重するのがマナーです。
(でなければ子どもの心は離れていってしまいます)
というと、子どもの相談に対して大人がこのような考え方で接していると、次回に別の問題が起きた際にも、子どもは、
“前回はコーチ(もしくはお母さん、お父さん)に相談をしたら上手くいったから、今回もまた相談しよう!”
などといった信頼関係が強くなり、さらなる課題解決に向かおうとするようになるのです。
子どもと大人が協力することでお互いのストレスが軽減し、さらに課題解決ができることなんて、素晴らしいことではないでしょうか。
私はこの記事を読んでくださった方がこの、
A:子どもの課題
B:大人の課題
C:共通の課題
を区別して、「これはABCのうち、どの課題なのか?」の判断を適切に行い、お互いにストレスを少なくした、良好な信頼関係のもとでスポーツに励む関係を形成していけたらいいなと思っております。
この記事をご覧になってくださった方のますますのご成長、ご発展を祈願いたします。
以上
このたびはご清聴を誠にありがとうございました。
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