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【弾圧文学の1】救カード

『情況』2019年秋号に掲載された掌編シリーズ「弾圧文学」の一つ。これが好評だったため、2020年冬号から「黒ヘル戦記」を連載することになった。

 救カード

 救カードとは、救援活動を行うときの基礎情報になるもので、活動家は闘争に参加するとき、救カードに諸々を書き込み、救対はそれを見て救援活動を進める。救カードの様式は大学や団体によって異なるようだが、1980年代、H大の活動家が使っていた救カードには、「親との関係欄」「バイト先への言い訳欄」などさまざまな欄があった。この「親との関係欄」に書いてあることを読むと、その人間がなぜ活動家になったのかがわかったりするのだが、我々が最も重きを置いたのは、「逮捕された時に連絡をとってほしい人欄」である。

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