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『読むアートはいかがですか?』15

皆さんこんばんは。朝の大雨、東京の雨空も忙しかったようです。やっと落ち着いた。

師走の平日1日目。なんだかこころが忙しなく、心無くさないようにしたいものです。

今日は、幾度も(勝手に)ご縁があるスクリプカリウ落合安奈さんをご紹介したいなと思います。

2016年に東京藝術大学大学油画専攻首席、美術学部総代として卒業。現在も精力的に作品制作に携わっています。

私が彼女の作品に出会ったのは、渋谷のBunkamuraミュージアムでたまたま開かれていた展示に立ち寄ったときでした。

そこで出会った作品は衝撃的で、私はなぜかノスタルジックな気持ちに。すっと、その世界観に引き込まれたのを覚えています。

たまたま会場に入ってみたものの、その頃はまだ現代美術に疎かった私。空っぽの目に飛び込んできたのが彼女の作品でした。

みた瞬間、ガツンと頭を殴られた衝撃。なんじゃこりゃ。凄すぎる…。もっと見たい。

「明滅する輪郭」このタイトルがとてもすてきで、今でも大好きな作品です。

"自分の部屋にほしい"

そう思えた、初めての作品でした。

縫いつけたビニール袋によって「呼吸」を可視化し、自己と他者を行き交う成分を表現する。日本とルーマニア、2つの祖国で収集した名も知らぬ人々の写真。
縫い付けられたビニール袋によって可視化された「呼吸」は、自己と他者を行き交う成分を表す。
遠くに生きる顔も知らない人、既に亡くなった人物、憎い人、愛しい相手、その一部だった成分が、今の一呼吸によってあなたの一部になる可能性は0%ではない。

この縫い付けられた糸とビニールが取れたとき、そこには他者と自己の境界を見出すことはできなくなります。しかし、その残った縫い目に過去を思い出すのでしょう。そんな感覚。

彼女のその作品は、そのバックグラウンドに秘められたものが表現されているものかも。

国籍や文化から、"アイデンティティとは何か"を探求している彼女。

過去の人を過去とするのは、今であり、その今と過去を隔てているものは、このビニールなのではないかとも思いました。

(私の哲学偏愛っぷりの部分が喜んでいる)

それから少し経ち、友人が勤務している「株式会社コロプラ」が運営している、若きクリエイターを育てる財団「クマ財団」に出会いました。

そこで再び彼女の作品と出会うことになります。

彼女は第一期、第二期ともに奨学生として周囲のアーティスト、そしてクリエイターとともに芸術やアートの未来を牽引しています。

そして、最近ですがその落合安奈さんをご存知の方々と偶然にもご縁がありました。今、彼女の作品展が"アーツ千代田3331"で開催中です。

『骨を、うめる』のタイトルに惹かれているから、きっと会期中に行こう。

若いアーティストをこの日本で育てていくこと、そしてアートの価値を知ってもらうこと。それによりアーティストが育つ土壌を作っていくこと。その循環を作りたい。そんな気持ちで彼女の作品を見つめていきたいと思います。

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