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好きな事を仕事にすることが正解かどうか

ギターでサポートしているCroiXのワンマンライブを無事に終える事が出来ました、活動5周年という事でギタリストとして彼らの活動に関われた事が嬉しいです。

その夜に熱に浮かされながら考えた事があります。

本題に入る前に僕とお兄のお話しをしたいと思います。何故ならばお兄は僕と真逆の考え方を持つ人だからです、そしてそれが今回のお話しに大きく関わってきます。

何もかもが正反対な兄弟


僕と兄は歳が離れており、丁度10歳違いです。
世間では珍しくなくなってきましたが、ここまで歳が離れると兄弟という続柄ですが色々一般的なそれとは違います。そして僕は子供の頃からお兄(おにい)と呼んでるので、今もなおずっとそう呼んでます。きっと死ぬまで変わらないと思う、という事で記事でもおにいで通します

お兄はおとんの代わりを務めてくれました。
僕の保育園のお迎えとか、お風呂に入れてくれたりとか。お箸の持ち方とか礼儀についても教えてくれたのはお兄です。そして僕の遊び相手にも沢山なってくれました、兄弟というフィルタを外してもとても立派な人だと思います。僕だったら面倒くさくてそういうのほっぽり出しちゃうはず。

性格も全て正反対です。
お兄は寡黙な人間で一つの物事をマイペースにずっと熱中する人。
僕は飽きっぽくてお兄の真似をしてはすぐにほっぽりだしてました。お兄の中学は確か理科部とかそんなん、僕は柔道部。実は同じ高校に行ってましたけど、偏差値は10個位昔の方が高かったそうな。
因みに我が県陽高校は先日M &Aされてなくなりました。記念に校歌でもアレンジしてみようかな。

そしてお兄はオタクの元祖でした。
別に見た目は普通だったけど、秋葉原にバスケットコートがあった頃から僕を連れて遊びに行ってたから。ゲーム機も殆ど持っていて、よく格ゲーを一緒に遊んだなってか遊んで貰ってたな。
その頃は洋一(従兄弟)もうちに居候していたので我が家は結構賑やかでした。おとんが家にいなくても寂しくなかったのはオカンとパピーとこの二人のおかげです。

そしてお兄はとても手先が器用です。
プラモデルとか死ぬ程好きで部屋にガンプラがよく積み上がってました。
ある時真澄(いとこ)の夏の工作でピカチュウを作ってくれっていう無茶振りに全力で答えたら、それが県の美術賞だかなんだかを取ってしまった事がありました。そして何より絵が好きで今でもマイペースに書き続けています。確かピカチュウがゲームボーイで遊んでる粘土細工だったかな、イメージセンスも良すぎだろ。

その絵が贔屓目抜きに凄い、しかも完全独学。
リアルアンパンマンとかを僕のノートに落書きして、それを美術の先生が見た時ガチで驚いてましたから。別の作品ですがこんな感じ。無断転用ですが兄弟という事に免じて許して頂きましょう。

比較対象としてピエール・レオナルド・克樹の絵はこちら

iPadでプロのイラストを見ながら結構頑張って描きました。最新鋭の道具を使ってこれですから、結局道具というのは手段でしかないですね。

はい、兄弟というのは本当なのか疑うレベルで雲泥の差です。しかし音楽という分野では全く真逆になりまして、お兄は歌があんまり上手ではなかったし買ったドラムセット(普通の一軒家です)も3週間位で埃を被ってしまった始末です。

どうやら神さまは我が兄弟のステータスを完全に振り切った様子。
そしておとんとオカンは芸術そのものには全く縁がない人達です。

しかしながら確実にお兄から受け継いだものがある。
お兄と洋一は生粋のメタラー&ハードロッカー。
小学生当時に僕は無理やりバンヘイレンやエアロスミスやXやラウドネスを聞かされコーラスを取らされていたのはいい思い出。
嫌々だったものが高校生になると途端にかっこよく聞こえるんだこれが、お酒と一緒だね。格闘技が超絶好きなのもお兄の影響です、柔道部に入ったのは先輩からの練習楽々詐欺にあったからですけど。

因みに兄弟喧嘩はしません、っていうか子供の時は相手にならないだろ。体格が同じになっても僕はお兄に逆らえません、なんといってもおとんの代わりだったからね。

理解出来なかった事

そんなお兄は現在サラリーマン。お世辞抜きにあんなに絵が上手くてオリジナリティがあるのに絵は一切仕事にしていません。
25.6歳位までマジでそれが理解出来ませんでした。だって宝の持ち腐れだろ!ってずっと思ってましたから。
何てったって僕は才能が別段あるわけじゃないけど、高校生から音楽で成功するという事を夢見てた少年ですから。だから自分が持っている技術や趣味は絶対に仕事や夢にするべきだ!ってずっと思ってました。

お兄は好きな事を絶対に仕事にしたくない人

オカン経由で聞いたところ、お兄は好きな事は好きなままにしておきたいと言ったそうな。どうやらオカンも美大を進めたりしたみたい。

しかしお兄は頑なにそれを拒んだそうな、ってか大学も行かなかったし。
オカンは親であり大人でもあるのでお兄の事はしっかり理解出来たみたいですけど、やっぱりそれを聞いて尚更僕は違和感を覚えました。

勿体無いなとかチャンスを無駄にしてるとかね

他人の心配してるなら自分の事やれよって思いますけど、隣の芝生は青く見えるのが人間です。そして兄弟でもそれは同じ。

音楽を仕事にしたからこそ、お兄の考え方が理解出来るようになった

何度か触れていますが、僕は音楽を仕事にしています。正確に言えば講師とか楽器を弾いたり楽曲の制作をしたりとかです。つまり夢が叶いました。そして分かった事が沢山あります。

音楽でお金を稼いだり結果を出そうとするならば、
普通の仕事と同じように結果を出さなくてはならない

これがどういう事かというと

・自分が作りたいものではなく、求められるものという物差しで作らなくてはならない

・期日は何があっても厳守しなくてはならない

・営業や請求書作成など会社では分担されてる事を自分で行わなければならない

・仕事をする上での知識や技術が必須となる、またそれらの品質を保つ必要性がある

・技術やシステムのアップデートに合わせて勉強しなくてはならない

ちゃんと一定のルールはあるんですよね。そしてより成果が高い仕事を目指そうとすると技術力や能力を更に求められるので、結構っていうかかなり大変。まあそれはどの世界にも変わらないのだけれど。
そういうふうに見ていくとやりたくない事だって増えてくるんですよね。

つまり「音楽以外の仕事と大差がなくなってくる」
というわけです。

しかも自営業になるので一回のミスが命取りになる事もあります。
信用で仕事が動く事が多い仕事ならではです。

だからお兄は「好きな事だからこそ仕事にしたくない」
という人でした。

大好きだったものに追われる毎日。そして大好きだった気持ちが薄れてしまう不安。きっと想像がついてしまったのだと思います。
自分がそうなってしまう事が嫌で、しがらみなく自由に絵が描きたかったんでしょう。

僕は仕事になっても音楽を好きなままでいられますが、知り合いで仕事にしてみて結果的に音楽をやめてしまった人もいます。
それを踏まえて僕は“音楽を、ひいては”夢を仕事にする事だけが人生ではない”そう思えるようになりました。

きっとお兄も迷った事は何度もあったでしょう。僕も好きでも沢山迷いましたし。でも結果としてお兄は不幸せだろうか?そんな事はないと思う。

何故ならお兄の部屋には超絶でかいテレビと本棚にぎゅうぎゅうのブルーレイや本と、絶対高いだろって思うフィギアやmac製品に囲まれて暮らしています。なんなら革製のソファまでありやがる!
内情をめちゃくちゃバラしてますが、ここも何とか納めて頂けるでしょう。
僕が知る限りではお兄は充実した生活を送っていると思います。

夢と現実の生活は比例しません。

どの世界も夢が叶う人間は一握りです、しかもそれは手を抜いてるわけでもなんでもありません。それだけ難しい上に競争率が高いという事です。

音楽の分野が何故そこまで難しいのか

・商売のセオリーが通用しないから
・音楽業界のシステムが古すぎるから
・衣食住のように生活に必須ではないから
・業界の収益そのものが目減りしているから
・運の要素が強いからetc...

まあ理由を探せば幾らでもあるんでしょうけど、僕的には以下の3点に絞られるのではないかと思います

・めちゃくちゃセルフブランディングが必要だから
・自分をコントロールする力が必要だから
・お金になるコンテンツが少なくなった

自分がどうなりたいかっていうのを自分でとことん決めて行かなくてはならないからだと思いますしかも定石というのが殆どなく、時代に合わせて変化してしまうので余計やりにくい。

例えば数学の先生になりたかったら教員免許取って、数学のスキルをある一定にまで伸ばして面接に行けばいいと思うんですけど、音楽の場合こういう目処が立てにくい。

これに芸術の要素が加わるともうぐちゃぐちゃになっちゃって、何をしたらいいか全然分からなくて的外れな事をやってしまったり、他人や胡散臭い話しに振り回されちゃったりするんですよね。

そして会社やアルバイトと違って、目的やto doが決まったとしても誰も注意してくれるわけでもないので自分で計画を立てて練習したり制作をしたりしなくちゃならない。会社だってお給料って縛りがあるから皆んな頑張るわけで、歩合制って嫌がる人多いですよね。要するに保証がない事は誰もが嫌がるんです。

たとえお金に繋がっても労働基準法なんて無縁の世界です。将来の投資という名のただ働きが横行してるし、少ないパイの奪い合いになってしまっている状況です。キャッシュフローが全然働いてないので、ミュージシャンやその近辺でしかお金が回らない上に、そのお金そのものがずっと少なくなっちゃっているのも問題です。

音大や音楽学校出てればなんとかなるやろって思われますけど、学校は技術を教えてくれる場であって音楽で生計を立てる事は1ミリも教えてはくれません。だから卒業しても8割以上がアルバイトに精を出す羽目になるわけです。それも仕方ありません、紹介したら先生自身の仕事が減っちゃいますから。
因みにApple社が音楽配信サービス事業から撤退を発表しました(18年3月現在)芸術を重んじる会社でも苦渋の決断をしなくてはならない時代です。

それを解決しようとしている人も確かにいる

だから近年インディペンデントアーティストっていう言い方をされてる人達が増えてきています。事務所に入らずセルフプロデュースで活動したり、全く違うアプローチで音楽活動をしている方達です。

アーティストだけじゃなくて、職業ミュージシャンって言われるような人達や、会社を起こして音楽に新しい風を吹き込む人達もいます。あれやこれや色々言われますけど、ミュージシャンだって本気出すとマジで凄いんですよ。
因みに僕がプロデュースしているRUNAもその一人です。僕が無茶苦茶なアイディアや企画を出して、周りに懇願して凄く優しい人達がヒーヒー言いながら実現してくれてるってやつ。本当に感謝しかありません、因みにその間に僕は家で映画YouTube見てます。

まあ冗談ですが、僕自身も数えきれない程メールや電話をしたり直接現場に行って交渉したりと色々やっています。曲も作ったり歌詞書いたり時々サボってこんな感じの文章打ったりとかね。
僕はまあそういうのが結構好きですし、多分向いてるんだと思う。
生粋のミュージシャンはそういうの本当に嫌がります。そういうの意味あんの?って思っちゃったり面倒くさいって思ったり。
こういうところで元来の飽き性が出てきてるんじゃないかな。練習ばっかりしていた昔よりも大変ですけど、毎日が変化したりワクワクしたりするから一定の結果が出るまでやり通したい。

そういう人しか残らない時代に変化していく

僕はそう思います。AIが作曲とかミキシングと言われる作業を行うようになってきてますし、学習機能が付いてるので、データ解析が出来るものはどんどん自動化されていきます。
結果的にもっと沢山の仕事が奪われる事でしょう、そうなるとどうなるか。

より価値の高い人間に仕事が集中する

そうなると”ギターが弾ける”とか”イベントを運営してる”とかそれだけじゃ確実に詰みゲーになります。
そうならない為には”次元が違う位ギターが上手い”とか突出した能力にならないといけません。

ただしオリンピック選手とか見てると「毎日8時間練習してます」ってさらっと言ってますけど、人によっては仕事しつつそれやってますから超人並みのタフさや精神力がない限り持たないはず。

では他の能力を身につければいいんじゃね?ってなると思うんですが、それも結局突き詰めて自分の事を考えて行動しない限り難しいと思います。お金に関しては尚更シビアになるはずです。

結局さっきの3点の話しに戻ってきてしまいます、それもより高度なレベルとなって。デモンズソウルっていうゲームがあるんですけど、主人公が死ねば死ぬ程敵が強くなるっていう鬼畜ゲーをふと思い出した。久し振りにやりたいな。

だからこそ趣味にするか夢にするかしっかりと見つめて欲しい

超絶ブラック企業みたいな生活ですけど、やっぱり僕はこの仕事が好きです。とても感動する事が沢山あるし、夢がどんどん成長してるのを肌で感じるから。

でもお兄みたいにきっぱりと趣味として楽しんで生きていくのもとても立派な事だと思います。夢を諦めるような形になったとしても僕はそれが失敗だとか恥ずかしいとか微塵にも思わない。

だってそれは自分とちゃんと
向き合う事でしか出せない答えだから。

例えば大半の人がラーメン好きだと思いますけど、それで「ラーメン屋やろう!やったら食い放題じゃん!」って思う人殆どいなくないですか?
だから本気で自分に問いかけてみて欲しい。

人生かけてまで本気でやりたい事かどうか
他人を巻き込んだり巻き込まれてもやりたいかどうか

この国に生まれた僕らは殆どが自由です、先人達が命削って作った社会のお陰で。明日南米行っちゃう?みたいなノリで、本当に飛行機で行けちゃうんですから。
手のひらの中に超絶巨大な図書館があって、24時間いつでもアクセス出来ますし、YouTubeやツイッターにどうでもいい事を投稿したらめっちゃバズって有名人になった!みたいな事も平気で起きます。
(僕は下の動画投稿がきっかけで三線の教則本を出版する事が出来ました)

けしてネガティブな意味ではなくて他の世界も見る事はとてもいい事です。
目黒でレッスンをしていると世界を飛び回っているような人達が普通に来て下さったりします。1年の半分アメリカで暮らしてる方とか、海外の企業と仕事してる方とか。

関係ないけど、こなだエレベーターで乗り合わせたサラリーマンの団体さんが半分海外の方で、日本人の方もめっちゃ普通に英語で喋ってて、僕はたまたまボタンがある方にいたのでドアを開いて待ってたら
「すみません、有難う!」って外国人の方に流暢な日本語で言われたから「your welcome」ってめっちゃドヤ顔で言いました。

話しを戻しますと、そこそこ仕事もして趣味もバリバリだぜ!みたいな生き方も悪くないはず。多分サラリーマンやめてなかったら僕はそうなってると思います。なんなら趣味がこうじて仕事になる人がこれからの世界では強い。それこそ唯一無二の能力だし、好きな事で制限がないからストレスにならないし。
そこから始めてみるっていいかも知れません、まさに原点回帰ってやつ。

夢や好きな事を仕事にするという極端な話しではなく、自分にあったライフスタイルで共存するという感じ


ヨッピーさんの著書がまさにその事を言っています、めちゃくちゃ面白いのでおススメです。

終わりに

正月に会ったきりお兄とは会ってませんが、またうちに寄った時にでもゆっくりその辺を聞いて見たいと思います。
「絵を仕事にしなくても人生は楽しいか?」と。きっと笑ってはぐらかされそうですけど、兄弟ならその辺は感じ取る事が出来ますから。
ついでに絵を無断転用した事もサラッと謝っておきます。

因みにうちのオカンは超絶保守的なので、僕が音楽をマジでやると言い出した時にはまあめちゃくちゃ小言を言われました。
そんな中で実はお兄がオカンを説得してくれたのです。
あんだけお兄には色々な事で怒られてましたけど

「好きにやらせてあげなよ」という一言のお陰で
僕は今こうして夢を叶える事が出来たのかも知れません。

いつか兄弟でコラボが出来たら僕はめちゃくちゃ嬉しいな、おかんも僕もおにいの絵がとても好きだからね。


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