#9 「会う約束」

春の強い風が続き、
不安定な天気が続く中、
試合は行われる。
週末の海外リーグイベントのサポート。
特に何か重要なことがあるのかと言うわけではない。
とにかくランナーだ。
「それして」「あれ行ってこい」「持ってこい」など、
イベントアシスタントという位置付けだった。
気が楽で良い。

一昨日。
彼女とついに会う日が決まった。
自分の誕生日まで、
お互い待てるわけもなく。
会えるなら毎夜仕事終わりに会いたいと思っていた。
に違いない(笑)

むしろ会えないものかと探っていたが、
時間が合わなかったのが現実だった。

そして、昨日。

[土曜日、試合終わったら特に何もなければ19時には上がれるけど。]
と、マッチマネージメントのチーフではないことを話して、
業務量が少ないことを説明。
[私は、朝から仕事です。でも、夕方には解放なんです。]
[もし、よかったら飲まない？]
[私の方が多分早く終わると思うから、ショッピングして待ってます！]

リアルを、おびてきたのと急に緊張が。

[ジャージだし、女性のたしなみとして身だしなみを整えるから、一旦帰ってから行くからちょうどいいかもー！]
[ジャージ姿も似合ってたよー]
[やめてくださーい！塚越さんも似合いそう。]
[俺は似合わないんよ。ハーフパンツはすきだけどね(笑)]
[ラグビー選手ってハーフパンツ好きですよね(笑)うちのチームの選手もそー]
など話が脱線しかけて、
[土曜日は何します？ってかそもそもどこに行けばいいですか？]
何にするか考えた。

リフレッシュ＝お酒

リフレッシュ＝食事

リフレッシュ＝笑う

リフレッシュ＝叫ぶ

リフレッシュを『＝』で繋げようとするが、
彼女にとっての『それ』はどう繋がるのだろうかと考えた。
ディズニーランドに行くことがあると言っていた。
が、春休みの週末はおぞましい…
それは提案したかったが、
できなかった。
俺のリフレッシュリストにあった、
２つと２つで完結する事が思い浮かんだ！
[早坂さんは、絶叫系って平気？ジェットコースターね(笑)]
[ランドで、よく乗りますよ！えっどこかいいところあるんですか？]
意外と反応がよかった。
後楽園にある『サンダードルフィン』という、
笑顔と叫びと涙など諸々の感情が得られるアトラクションがあるのを思い出したのだ。
[内緒ですかー？]
隠す必要もないので伝えた。
[ジェットコースターに乗るとどうなるの？俺はね笑いが止まんなくなるよ。そして、涙が知らずに出てるやつかなー]
[私もいっしょ！]
よかった…。

ということで、
後楽園で待ち合わせることになった。
緊張が出て、
毎日不眠気味だが、
心地よく色々考えて寝れない楽しいやつに変わった。
『約束』か。

デート当日

当日の仕事もお互い無事に終わり、
彼女からこれから自宅に戻るという連絡が来た。
俺はというと、
外国チームのロッカーの備品片付けと、
国内チームの選手の誘導とロッカーの片付けをしていたら何だかんだで、
18:12
デスクに座ってメール処理と事後処理をしていたらデッドライン時間になってしまった。

[後楽園でいいんですよね？]
[いいよ！でも、強風でドルフィン…今中止になってる…]
HPでチェックをしていた。
どうしようか。

[ひとまず後楽園のラクーアっていうさショッピングモールで集合にしよう。俺もこれから出るから19:20くらいに着くよ。待たせてごめんね]
[だいじょーぶ！ぶらっとしてますから^_^]

人を待たせるのは嫌だった。
急いで銀座線に飛び乗り、
赤坂見附駅で目の前の丸の内線に乗り換え、
焦るのと緊張と、
ほぼ初対面の彼女に会うのが待ち遠しい反面、
不安も混じっていた。

こんな10コも離れた男に
幻滅しないだろうかと。

『幻滅』

俺は何を思っているんだ？
楽しい会だろ？
何を期待してるんだ？
あっ、手土産…
カバンに入ってた。
一安心。
後楽園に丸の内線の電車は…着いた。

to be next story...

（あとがき）
ついに、『会える！』っとなってはいますが、
やはり、緊張はしますよねー
『好き』とかそういう感情を抜きにしても、
会えて楽しカッターって思ってもらえるためにはどんな演出するか…
考えてるとドキドキしますね。
サプライズって押し付けかもしれないけど。
あー緊張します☺️