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#14−2 「The beginning of the week #2」

4月末の大会に向けて、
4月の頭にあった7人制大会から腑抜け状態ながら黙々と仕事をこなしていた。
その中で彼女はちょくちょくLINEをしてくれていた。
俺はPCにLINEアプリをダウンロードしていたので、仕事をしながら(している振りをしながら)やり取りしていた。
頻繁にやっていることに彼女はうざがられないだろうかと思っていたが、飽きられるまで…。

がっついているのは自分でもわかっている。

昼が過ぎてからの1時間、2時間、3時間…とあっという間に感じる今日この頃。
彼女が頑張っていることを想うと頑張れた。
単純だ。

彼女がどう思っているかなんてわかることなんてない。

けど、俺は俺のできることをするだけ。

仕事に仕事に、仕事に、仕事に…っていう生活から彼女という『スパイス』を降りかけただけなのに、俺のこの2週間は劇的に変わった。

『惚れている?』

『惹かれている?』

恋愛に年齢は関係ないとある人、多数の人が言っているが改めてそれを痛感している。
しかし、2~3歳ならまだしも10歳。
彼女は土曜の…
[もう好きかも]というコメント。
酔っていたし、気分は良かったし…俺が、素晴らしい人間に見えてしまってもおかしくない…
どう差し引いてもルックスも並みの
人たらしの
八方美人と来たら…救いようがない人間なのに。
そんな自分だから俺は内面を磨いた。
磨けば磨くほど『いいひと』になっていく。それ以上も以下もない。ちゃんと見てくれる女性(ひと)はいた。が…。

どうにもならなかった。

『いいひと』からその先に進むことが…。だけど、彼女はそれをこじ開けてくれた。
俺が大胆になれた。
怖かった。
どう思われるのか…。
彼女はベンチで話していた時に、
「私って、(落とすの)軽かったですか?」
心外ではあったが、やはり俺の態度やチャラさがだれにでもしている『行為』だと思われたみたいだが、信じてもらえるかわからなかったが、
「こんな大胆な事したことない。誰にでもコミュニケーションは取るけどそれ以上のことはしたことない。
『いいひと』から先に行く努力をする気にはならなかったから。
だけど、今日会って恵に対して『軽く』なんて思ったことも感じたこともなかった。」
「よかった。」
俺のトラウマ。
それは、いいひとの先がわからない。
実は、今もそうだ。
彼女のプラスになることばかり押しつけのようにしているだけだから。

 LINEの短い着信音バイブが響く
[お疲れ様です!久しぶりに定時あがりー(*’ω’*)]
そうだ、今日は新宿で飲み会だって言ってたなー。うけ
[お疲れ!そかそか~しっかり接待飲みしてきてね!かところで朝の恵に贈った曲聴いてみた?]
[さっき聴いてみたけど、10秒聴いて止めたの。だって10秒で泣きそうになったから(汗)自分のこと言っているみたいだったっんだもん…]
[俺もそう思ったから、聴いてほしいなって思ったの。家帰ってゆっくり聴いてね(^^)/いや、飲んでるときにこっそりトイレ行って聴いてよ(笑)]
[やだよ!泣いちゃうもん(笑)]
[そしたら駆けつけてあげるから(笑)]
[泣いたら会いに行っちゃうかも!(笑)]
[来ていいよ。今日は何時までの予定?]
[20:30まで]
[俺は、20時に終わらせる予定だよ!]
[会いたいって言ったら…?]
[って言われなくても会いに行く予定]
このやりとりで、彼女は俺を認めていることを再確認できた気がした。
そもそも仕事中もたわいのない高校生みたいなやりとりに…いや、高校生以上だ。
[新宿ね。]

俺は、がぜん気合を入れてメール処理と事務処理をしたのは言うまでもなく。

時間が経つのが遅いのかどうかわからないが、19:30を過ぎていた。

PCの電源を落とし、カーキーのトレンチコートを羽織ろうとしていたら、残業でまだまだ残りそうな荒井さんと良平くんが、
「早い時間に帰るなんてめずらしい(笑)」
「月初の大会も終わって、落ち着いたんでー今週は早めにあがりますよー」
二人は、英会話(英語)に長けていて国際試合を任されていて、海外リーグと世界大会に追われていた。
昨年までは、俺もそこにいたのだが今年からすみわけとして、国内試合と国際試合で分かれた。
3年前は全ての大学生以上の国内・国際試合を荒井さんと俺とで分担してやっていた。
良平くんは昨年広報部から運営部に来て荒井さんの右腕として経験を積んでメキメキ成長している。
俺は、2年前の国際試合から代表戦チーフは遠ざかっている。

この仕事に就いた時、日本で世界大会が行われるという事はわかっていた。であれば、その運営に関わる事を目標にやってきた。
しかし、現実は違うみたいだ。
勝手なイメージだが、1年前になって代表戦の運営に関われない状況。

目標がなくなった。『4年に1度じゃない。一生に一度だ!』

まさにその通り。そして関わる可能性が低いのであれば、本当にしたいことを探すことも考え始めている。

事務所を出て、駅に向かう。
渋谷に出て副都心線で新宿三丁目に向かう。

[楽しく飲んでる?]
[ぼちぼち~ゆーたさんは?]
[新宿三丁目について東口に向かってるよー。ちゃと酔ってる?]
[そうでもないかもー私ももう出るよー]
少しして、わかりやすい場所がわからず…副都心線改札口は地下にあり、そこから地下を通って東口に向かっていたので、地下の東口のエレベーター前が人通りが少なく、そこで待ち合わせしようと提案の連絡をする。
彼女はお店をでたらしく、ルミネで時間をつぶしていてくれた。
俺は、エレベーター前で待つ。iPhoneが激しくバイブする。ディスプレイに『早坂 恵』の文字が。
受話ボタンを押した。
が、反応してくれず何度もチャレンジしたが…『不在着信あり』に替わってしまった。
慌てて電話をかける。
[もしもし。お疲れ様。塚越です。さっきはごめん…。]
[もしもーし!早坂ですが~今どこですか?]
軽く酔っている感じで食い気味に発声された。
[今、地下1階のエレベーターの前だよーJRの東口の方ね]
と、そのうちに彼女がエレベーターを降りてきたのがわかった。
彼女はラクーアの時と同様に、ずきょろきょろしている。
[どーこー?]
[右見て~]
[あっ]
目が合って、一瞬止まって口をあんぐりしている彼女がそこにはいた。距離にして7~8mほど。さささささと人を少しかき分けて俺の目の前に来てくれた。
 「お疲れー」
 「お疲れ様です!待ちました?」
 「俺もさっき来たところだよ。どうする?」
 「なんでもいーですよー。」
でた、『なんでもいい』。
イメージしろ…。時は20:30過ぎ。ひとまず新南口の高島屋の方に散歩するイメージが出てきた。
ひとまず地上に出ることに。
スターバックス方面に上がる階段を、彼女を前に上がっていく。
並んでバスターミナル方面へGAPの前、高架下をくぐってすぐのエスカレーターをまた彼女を前にして上った。
俺は、躊躇していた。何を?
手をつなぎたかった。
けど、彼女は特にそういうそぶりをしないでいた…。
彼女はその雰囲気を察したのか、左側から俺の腕を組んでくれた。

恥ずかしそうに。

酔っているのか恥ずかしかったのかわからないが、顔が赤らんでいる。

不意を突かれた俺は、そのまま歩いた。
『不甲斐ないな』と思うと同時に恥ずかしかった。
彼女はまた、一歩進んで、俺の心の鍵を開けた。
少しして俺は、彼女の右手に俺の左手をつないだ。
彼女は一瞬『はっ』としたが、指を絡めてくれた。
彼女は嬉しそうに隣を歩いていた。
今日の出来事、
今日の会合はどんな内容でどんな人たちの接待だったのか。
などなど、いろんな『今日』を話してくれた。
いつも彼女からもらってばかりだな。
新南口2階のバスターミナルから「ぐるっ」と高島屋の前を通って線路を下に、
上手く言うなら今日の終わりに向けて電車を降り疲れている人を下に彼女と一緒に歩いて一周する。
上手く言えてないと自覚…

彼女の手は、あったかい。すなわち俺の手は冷たいという事になる。
「ごめん。俺の手つめたいよね。」
「大丈夫だよ。ゆーたさん感じてると熱いもん(照)」
恥ずかしげも無く言うよねー
「うん。でも、さすがに寒いからお店入る?HUBで1時間一本勝負どう?」
「なんでもいいよー。」

東南口近くのHUBに行くことにした。
入社したての新入社員同士で地下も6階もごったがえしていたが、6階入り口側の小さいハイテーブル席が空いていたので、そこに着席することに。

店内は、新人社員と少し先輩の10人グループが2~3あって非常に賑やかだった。
俺はカウンターに飲み物を購入に立ち上がっていた。
1リットル入るシリンダーみたいな器に季節限定のモヒートみたいな飲料を注文してグラスを2つもって彼女がいる席に戻る。

to be next story...

(あとがき)
こんな早くに彼女に会えるなんて。
ハッピー野郎ですねー
どうなることやら笑
ちなみに写真ですが、特に意味はないオーストラリアに行った時に撮影した写真です笑

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