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#25 「恋バナ」2

彼女は、一途で素敵な恋をしてきたのがよくわかった。

そして、頑張っている時に付き合っていたらしく、その時、本当に部活に集中してたし、仲間といることの方が多かったらしい。

「それでね、ある時の帰りにね一緒に帰ってたわけ。そしたら「俺と部活、どっちが大事なんだよ」って言うわけ!どう思う?」
俺は、『は?』と思うと同時に、
「それを男が言うのか…世も末だな」
「でしょー!それで一気に冷めちゃってさ。部活と仲間で充分だって気付いたんだー」
「彼もよっぽど恵のことが好きだったんだね。好きになってしまう気持ちは、よくわかるよー」
「え?なんで?」
「一生懸命やっている恵はさ、本当にキラキラしてるからさーそれに可愛いかっただろうし。
【好き】になる気持ちはよくわかるよ」
「そ、そうかなー」
「ただ、彼は大人じゃなかったんだってだけだよ。そりゃー思春期真っ只中のであれば、仕方のないことだろうけども…それ言うかねー(笑)」
「だよねーあたしもなんで好きになったのかねー見る目ないよねー本当」
「そんなことないよ。だって、付き合わないとわからないことだらけだからさ。付き合ってわかったんだからそれはいいんじゃないかな。
それに、思春期時代なんて【付き合う】って中学生なんてファッションみたいなもんだしさー」
「確かにそうかもしれないねーその後は憧れた先輩とかいて、その人が卒業するときに告白されて、付き合ったけど、春休みまでだったなー先輩も私もある意味別々の道だったしねー」
好きなことを優先して、一生懸命に行動し、自分より相手を優先すること。
それは初めてコンタクトをとった、あの電話から感じた。そして、彼女の不安はそういった、
『自分のせいで、人を巻き込んで嫌な想いをさせるくらいなら…別にいい』
と考えてしまっているからだ。

彼女には、仲間がいる。
その仲間のおかげで『今の恵』がある。
そして、男性を信じられないのは、そこにあった。

【信じていて欲しくても、相手の欲求に応えられず、裏切られる。】

これほど辛いことはない。

男にも問題はある。
だけど、男が、彼女が【頑張っている】ことに対して、応援をして、自分も頑張ろうとしなかったことに問題がある。

話していてそう感じた。
そして、その分厚い彼女の壁も感じた。

だけど、俺は【信じる】ことしかできない。
何かを壊してでも【奪ろう】とか、誰かを傷付けてでも【奪ろう】とは思えない、草食男子だから何もできない。彼女の氷を溶かすために、
『今まで出会った男とは違う』と示したかった。
まだ出会って半月なのに、俺は彼女からプレゼントばかりもらっている。
俺も彼女に返したい。

それが、結ばれなかったとしても、
『こういう男もいるから…』と伝えたい。

「ねーねーゆーたさんは、告白されたこととかないの?」
と、突拍子もない質問が飛んできた。

やはりこれが俗に言う【恋バナ】

「中学3年生の時かなー生徒会長になってさ、新入生を迎える会ってあったでしょ?なんか部活紹介したりするやつ」
「あったねー」
「その時にさ、部活終わってからも残って準備をしてたんだよ。そしたら、2年生の時は同じクラスだった子なんだけどさ、2年の生徒会の書記としてさ、一緒に盛り上げてて知っている子で…」
「ふーん」
なんか機嫌悪い?「それで、その親友の子が俺を「会長、会長」とおいでおいでするから、そっちに行くと、その女の子が暗い薄明かりのところで待ってるわけ…察しがついてしまって、ついに俺も『告られるーーーー!』て、ドキドキしてたのは覚えて。」
「で、で、でーーーー!」
今度は、真剣な眼差しで…言うもんだから、
「でー「ユータ、好きな人いる?実はさ、去年の同じクラスで、話とかしてて好きになりました」って告白されたわけよ!」
「で、なんて言ったの?」
「即答なんかできないし、…それに『まさか、その子に告白される』なんて思ってもいなかったから…まずは、「ありがとう」って伝えたんだ。」
「ふーん」
「それで、生徒会の準備がひと段落したら、その親友と3人で家に帰ったんだ。」

思い出す。
苦く淡い、想い出…
はぁー

to be next story

(あとがき)
彼女の恋バナ。一生懸命になると周りが見えなくなってしまうという、何よりも『仲間』。素敵なことだと思いますが、皆さんはどうでしょうか?
【信じる】ことさえできれば乗り越えられないはずはない!と思いますか?それとも、次にチャレンジしますか?
ゆーたはどうするか。
少しでも伝われば嬉しいです。

引き続きよろしくお願いいたします!

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