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早稲田大学 起業持論Bクラスでの講演「新規事業・イノベーション創出に”求められる人材”に必要なキャリアとは」  (コンサルタント:徳田治子) 

こんにちは!
縄文アソシエイツ コンサルタント 徳田治子です。

先日、早稲田大学 起業特論Bのクラスにて、「新規事業・イノベーション創出に”求められる人材”に必要なキャリアとは」とのテーマで1時間講演をしました。

このクラスの登録生徒数は約72名。
既に起業している学生もいれば、就職活動を終え内定を受けている学生、学問を続けドクターを目指す学生など様々なバックグラウンドを持つ学生達が、全員リアル参加で講堂に集まりました。
未来を担う若いリーダーのエネルギーで満ち溢れた環境での講演は、コロナ後久しぶりに人が集い、共に学ぶことの大切さを体中で感じる貴重な機会となりました。

講演内容は、昨今、大手企業のCVC担当やベンチャーキャピタリスト、新規事業のオープンイノベーションの責任者からの相談で採用支援をすることが多かったこともあり、複数名のインタビューを通じて分析した「今後求められる人材像」についてお話しました。
分析にあっては、企業側、候補者側それぞれの視点を意識し、ギャップやすれ違いが発生しやすい点なども盛り込みました。

■新規事業は失敗を恐れることよりも、失敗から学び、チャレンジすることが大事

最近は日本でも新規事業やベンチャー起業への投資が活発に行われているイメージがありますが、日本のスタートアップの現状は、投資案件に対しユニコーン企業のように大きく成功している数が、米国、ヨーロッパ、台湾などのアジアと比較して圧倒的に少ないようです。
その理由は複数ありますが、大きな理由は以下の3点ではないでしょうか。
・大企業が産業を牽引しており、日本の政策がそこに紐づいていること
・日本は人口がそこそこおり、国が大きいため、国内でなんとかやれてしまうこと
・海外にはいろんな文化やリテラシーがあるが、日本はモノカルチャーな社会でダイバーシティではないこと

では、日本にはチャレンジする環境がないのでしょうか?

規模の小さなチャレンジ、例えば、大手企業で社内起業やオープンイノベーション事業を推進するケースでも、あまりうまくいっていないケースも散見されています。
うまくいかない理由をみると、既存のコア事業とのシナジーや延長線で新規事業を考えてしまい、従来の枠組みにとらわれていること、ハイリスク・ハイリターンを取らないなど、失敗を恐れるあまり、挑戦の幅を狭めてしまうことが大きいと思われます。

成功例として取り上げられることが多いリクルートやサイバーエージェントのように、多産多死を繰り返し、ゼロイチ案件が多い会社であっても、主要事業に育つ確率は約1.5%程度と言われています。

起業や新規事業による失敗を過度に恐れるよりも、失敗した経験から学び、今後に活かしていくことが大切です。
日本でも、成功確率が低い案件に投資するファンドやエコシステムが登場しています。それらを利用することも一つの有効な手段です。

■市場ニーズの高い人材と低い人との違い

一般的な人材マーケットにおいてニーズが高い人材は、
・生涯学習し続ける意欲を持っている人
・自分のキャリアを考え、経験幅を広げる転職を実施している人
・グローバルな視点を持つ人
・高い専門性・技術を持つ人

一方、市場ニーズの低い人材は、
・学習意欲の低い人
・自分のキャリアプランがなく、組織にしがみついている人
・グローバルな視点を持たない人
・専門性がなく、会社から求められる役割しかしてこなかった人

と言えます。

さらに、今回のテーマである新規事業人材に共通する要件としては、
・従来の枠組みにとらわれない事業探索と新規事業創出を担う力<企画力>
・オープンイノベーションによる事業のシーズを発掘し、社内外の関係者とをつなぐ力<つなぐ力>
・社外との接点やネットワークを多く有していること<人脈>
・やりぬく意思を持つ・エグゼキューションまで責任をもって実行する<実行力>
・起業やスタートアップでの経験<起業力>

などが挙げられます。

今後、各分野でのリーダーシップを担うべき学生達に対して、キャリアの視点から伝えたメッセージは、失敗しても何度でもやり直し学び続けること、グローバルな視野で発想しチャレンジし続けることです。

講義の終わりには、学生から、
「スタートアップ、研究、社内起業など何に挑戦するか迷っていましたが、様々なキャリアがあることを知り、目の前の選択肢から視野が広がりました。」
「失敗しても何度でもやり直せる、というメッセージに勇気をもらいました。」
などの多くの質問やご意見をいただき、私自身気づきをもらった貴重な機会となりました。

残念ながら、世界のGDPに占める日本の割合は大幅に低下しており、1995年に20%あった日本は、現在6%→2050年1.2%と減少傾向が続きます。日本が世界から取り残される危機に瀕し、大企業に入ったからといって、得られる安定感や優位性は小さくなってきています。
起業しても大企業に入っても、将来に対するリスクはあります。自分の経験を広げ、チャレンジしていくことで未来のキャリアにつなげてほしいと祈念しております。

徳田 治子(Haruko Tokuda)
関西外国語大学卒業。リサーチ会社インテージで消費財、耐久消費財、金融、サービス業などのマーケティング戦略、商品・事業開発、海外進出支援等に従事。その後、KPMGコンサルティングにてブランド経営戦略を実施。NPOで女性リーダー育成支援なども行う。新たな時代を勝ち抜く人財と企業との価値ある出会いを支援すべく、縄文アソシエイツに参画。

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