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「誰のためのプロダクトか」本質を考え抜き、意志ある医療現場と共に教育を変革するプロダクトづくりのリアル

今回のインタビューでは、人事チームのヨシダが、サービス開発局長の石射にお話をうかがいます。

「VR特有の問題を解決するために、ユーザーに優しい設計を心がけた」と話すのはサービス開発局長の石射です。これまでどういう想いでプロダクトづくりをしてきたのか、医療現場とどう協力して開発を進めているのか、ビジョンを達成する上でこれから開発組織をどうしていきたいのか、熱意ある想いを語っていただきました。


ー簡単に自己紹介をお願いいたします。

前職はWebの受託制作会社でプロジェクトマネージャーやプロデューサーをしていました。主に広告系の制作物に関するサイト制作のプロマネとして15年ほど在籍していたのですが、業務の一環として広告代理店に出向し、その出向先で上路と出会いました。上路とは同じチームで5年ほど働き、テクニカルディレクターやプロマネとしてテクノロジーを使った新規事業開発に従事しました。その後僕は受託制作会社に戻りましたが、2021年4月頃に上路から「うちの会社に来ないか」と声をかけてもらい入社にいたりました。
上路を含め馴染みのメンバーがいたこともありますが、入社の決め手となったのはジョリーグッドが取り組んでいる医療教育の改革やその方針に共感したことです。僕は大学の非常勤講師もしていて、学びや教育の改革に強い興味を持っていました。そういった教育に携わりたいという思いもあり、2021年8月にジョリーグッドに入社しました。今はサービス開発局の局長として、エンジニア組織のマネジメントや新規プロダクトの開発を担当しています。

VRという先端技術を想起させるものだからこそ、ユーザーに寄り添った優しい設計を徹底

ーVRを使ったプロダクトの開発で意識していることを教えてください。

ジョリーグッドは理念として、「テクノロジーはそれを必要とする人に使われて初めて価値がある。」を掲げておりますが、その理念を強く意識して開発を進めています。
VRは先端技術であるがゆえに、ユーザーの中には、VRは縁遠い、関わりが薄いと思われる方がいます。しかし実際に利用すると、生活に近く、使いやすいツールだということがわかります。
我々はそのギャップを埋めるために、ユーザーの目線に立ちどのような点が利用する上で障害になるのか、その障害をどのように技術で解決するとよいか、という視点でプロダクトを開発してきました。
VRという先端技術を使っていることから、プロダクト開発においては「どんな技術を取り入れるか」という手段を中心にした議論にもなりがちではありますが、「何を実現するためにこの技術を使うのか」「誰のための技術なのか」という原点・理念に立ち戻って思考することを心がけています。

そういった理念をどのようにプロダクトとして形にしているかで言うと、例えば「VR酔い」への対応があります。「VR酔い」とは、VRゴーグルを通じて得られる視覚情報とその他の身体の感覚との間に乖離が生じることにより脳が混乱を起こし酔ってしまう現象のことで、ユーザーのVR離れに繋がりうる課題の一つです。どうすればユーザーが気持ちよくVR空間にいられるのか、長く使っていられるのかを議論し、見える範囲や見え方を意識して動きが激しいものは入れないように工夫しています。

別の例だと、VRゴーグルは一般的にコントローラーとセットになっていて、ゴーグルをかけた状態でコントローラーを使って操作するのですが、そうするとコントローラーでの操作に慣れないユーザーにとっては体験ハードルがあがってしまいます。「先端技術はやはり私には難しい」と敬遠される理由にもなってしまうため、操作を簡易化してユーザーにとって使いやすくする必要がありました。解決手段としてさまざまなものを実装しましたが、コントローラーを使わずに目線でポインタを動かしボタンを押下できるようにしたり、手のジェスチャー(ハンドトラッキング)で操作できたりするようなUI/UX設計とすることで操作性を向上させています。

ー具体的な開発方針も教えてください。

ウォーターフォール開発とアジャイル開発を使い分けながら、プロダクト開発を行っています。

弊社のプロダクトは、VRゴーグルのアプリケーションやiPadのアプリケーションなどいろいろなかたちがあるため、プロダクトに応じて開発手法を選択して開発を進めています。ただし、まだ世に無いプロダクトを作り上げている関係から、ユーザーが試して初めて課題が見えてくるケースが多く、プロダクトづくりにおける思想としてはアジャイルがマッチしていると考えています。

アジャイルで進めていく上では、現場に対してどんなものがあると嬉しいのかというヒアリングを行いますが、それに加えて社会情勢や医療業界の法改正の状況なども加味して「こんなものがあれば現場の人たちが助かるのではないか」と一歩踏み込んで考えてみるようにしています。それを踏まえてまず作ってみて、実際にユーザーに触ってもらい、そのフィードバックをもとに作り直してということを細かく繰り返し、最終的に現場で使えるかたちにした上でプロダクトを提供しています。自分よがりなプロダクトづくりではなく、実際に現場に使ってもらえるかどうか、という観点を重視したものづくりを大切にしています。

医療教育の在り方を根底から塗り替え、最適な教育を実現したい

ー医療教育の課題を進める上で、個人としてどういう気持ちでプロダクトに向き合われてきたのでしょうか。

私の原体験にも関わることですが、一言で言うと、ユーザーが最も効果的な教育を受けられるようにしたい、と考えています。私はこれまで大学教育現場にかかわってきた経験がありますが、本来であれば時代の変化に応じて新しい手法をどんどん取り入れ、学生に最適な教育機会を設けるべきであるにもかかわらず、様々な理由によりそれが阻害されてしまうという現場を多く見てきました。
こういった事象は大学教育現場に限らず、医療も含めおそらく世の中の多くの場所で起きていることのように思っており、様々な事情、不条理な理由で、最適な教育が進まないことに大きな問題意識を持っています。
ジョリーグッドは、VRという技術を用いて医療のレベルを大きく上げ、医療を学ぶ学生にとって最適な環境を提供しうるポジションにいると思っています。医療教育の在り方を根底から塗り替え、ユーザーにとって今この時代に最適な教育を提供したいと強く願いプロダクトに向き合っています。

ー教育に向き合う熱意をとても感じました。現場と深く関わって開発を進めていると思いますが、どのように進めているのでしょうか?

医療という専門性高いプロダクトを作っているため、現場に根付き、現場と一体となって開発を進める必要があります。その意味で、弊社は多様な専門性を持った多くの先生方に気軽にお声がけさせていただけるようなネットワークを構築できていることが特徴です。なにかの課題を解決したいと考えたときに、当該分野の専門性が高く、かつ強い思いを持つ先生にヒアリングすることができるため、スムーズにプロダクトの初期構想の仮説検証や、仕様への反映を行うことができます。また、具体的に開発を進める段階でも、実際に先生方に触っていただきフィードバックをもらいながら進めることができています。
例えば、VRハンズオンという、手術の練習ができるプロダクトがまさにそのような進め方で開発をしています。これはVR映像で映し出された先生の手にユーザーの手を重ね、実際に手技を真似て練習できるようなプロダクトですが、複数の先生に利用していただき細かくフィードバックをもらいました。現場で使えるのか?という観点で丁寧に開発を進めています。
現場の先生方の「もっと医療を良くしたい」という強い思いを感じながら、日々開発ができるのが醍醐味ですね。

ー開発チームとして、今後プロダクトをどのようなものにしていきたいですか?

世の中にある課題には、長いスパンで考えるべきものと短いスパンで取り組むべきものがあると思います。ジョリーグッドがビジョンとして掲げている医療の変革は、1つのプロダクトで短いスパンで達成されるものではなく、大小さまざまな課題を複数のプロダクト群を通して解決していくことでゆっくりと達成されていくものだと思っています。

そのため、具体的に「こういうプロダクトを作りたい」と言うのは難しいのですが、ゴールとしては学生や医療従事者がプロダクトを使うことによって、もたらされる効果を実感できる状態にしていきたいということです。エンジニアだけでなくいろんな立場の人が関わり、それぞれの経験を活かすことでその状態に近づくことができ、その結果、今我々が想像もできないようなプロダクトになっていくのではないかと思っています。

作り手の顔が見える、一人ひとりが“立つ”組織

ージョリーグッドの開発組織のカルチャー、共通する価値観を教えてください。

ジョリーグッドに入ってくる人は、ただ単に開発がしたい人、作るものはなんでもいいという人はおらず、会社のビジョンに共感し「医療を変えていきたい」という思いを持った人が多いと思っています。共通した思いを持っているチームだからこそ、プロダクトづくりにおいても医療現場にとっても最適なものはどんなものであるか、というような同じ方向を向いた議論ができますし、出た結論を納得感を持って受け入れられる下地があると思っています。

また、弊社はエンジニア一人ひとりが情報発信やアウトプットを行うことを重視しています。これは、開発組織として社員一人ひとりが立つ・見えるような組織を目指しているからです。エンジニアはどうしても作る側として自らの想いを発信することなく裏方として作業に徹しがちになるのですが、エンジニアがいるからこそプロダクトは世に出ていくわけです。プロダクトを作ったエンジニアたちがもっとフォーカスされ、一人ひとりの社内外でのプレゼンスを上げていきたいという思いがあります。
とはいえ、プレゼンテーション一つとっても、もともとあまり得意でないという人も入社してきます。弊社では社員の前で発表する機会を意図的に作っていることもあり、自分が作ったものを発表することで、アウトプットのスキルがつき社内外に自分のことを理解してもらえるようになった、というケースは多々あります。
弊社全社のカルチャーとして、人は新しい挑戦をすることで成長することができる、その挑戦を称賛し歓迎する、というものがありますので、もし現時点でプレゼンが得意でなかったとしても、安心して挑戦できる環境があると思っています。

ー今後、どのような組織を目指していきたいですか?

先程の話と繋がりますが、一人ひとりのプレゼンスを高めていけるような組織にしたいと思ってます。
これまでエンジニアだけで構成されていたところに、僕のようなプロマネやテクニカルディレクターが入社し、開発部の中でできることの幅が広がってきています。エンジニアの中には現場で作り続けたい人もいれば、マネジメントも含めた上流工程をやってみたい人もいると思うので、そういう人が「こういうことをしたい」と気軽に手を上げられる環境を作っていきたいですね。

加えて、マネージャーやリーダーばかりが前に出るのではなく、むしろマネジメント層が黒子に徹することができる環境にしていきたいですね。一人ひとりが社内外で存在感があり、自らの能力をいかんなく発揮し、成長していけるような組織にしていければと思っています。

自分も組織も一緒にアップデートすることを楽しめる人と働きたい

ー最後に、どんな価値観を持った人と働きたいですか?

成長することに喜びを感じるような、強い成長意欲を持った人と働きたいですね。何かをしたいという信念があり、その信念に基づいて努力し経験を積む。成長することで自身の信念の達成に一歩近づけたという喜びが生まれ、さらに挑戦する力がついてくるというサイクルが回ります。ただ目の前にある仕事をこなすだけではなく、自分自身をアップデートすることを楽しめるといいですね。

自分だけでなく他者の成長も喜べることも大事です。自分のことばかり考えている人と働いても仕事へのモチベーションは上がらないですよね。よりよいプロダクトを提供するためにも、自分の成長と他者の成長を楽しんで、自分自身も組織も一緒にアップデートしていけるような意欲のある人が望ましいです。

また、弊社では「本質と価値にこだわる」というバリューを掲げています。プロダクトづくりにおいて、虫の目を持って細部にまで気を配り徹底的に価値にこだわり抜くことは極めて重要な資質です。一方で、開発そのものに熱中し過ぎると、視野が狭くなってしまい、手段と目的を取り違えたり、目指すべきものが見えなくなってしまうこともあるため、物事を俯瞰し、本質を捉え、広い視野を持ってものづくりができる鳥の目も必要です。こうした虫の目と鳥の目の両方をうまく行き来できる方との出会いがあると嬉しいなと思っています。