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【研究概要の書き方】理系向け! 研究概要で気をつけるべき5つのポイント

生物・化学系修士博士の皆様へ!

こんばんは。東大博士課程を卒業し、新卒で大手内資系製薬の研究職をしている就活わらじと申します。
突然ですが、修士・博士課程後の進路として企業研究職を考えている方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな皆様に向けて、研究概要の書き方のコツをお伝えしたいと思います!

※この記事は以下の記事の続きになっています。

研究概要・ESの添削をご希望の方は、このブログの一番下のリンクをご参照ください。


1.はじめに

この記事は製薬研究職への就活を念頭において書いたものになります。
とはいえ、食品や化学系メーカーの研究職を志望する方でも、やたらと就活解禁の早い製薬大手* を腕試しに受けてみようと検討している方も多いかと思います。
今回まとめたコツは、製薬のみならず研究職全般の就活に役立つものとなっていますので是非読んで行って下さい!
* 博士課程の場合、D2の夏に募集が始まります(4年制博士の方はD3の夏)。度肝を抜かれる速さです。


2.研究概要でアピールしたい2つの能力

前回の記事で、研究概要では以下の2点をアピールしよう!とお伝えしました。

・分かりやすく研究結果を伝えられるのか。
・この研究がどの様に役に立つのかを説明できるのか。

多くの人と関わり合いながら研究を進める企業研究者では、この能力が入社後に非常に重要になってきます。そのため、就活の時から、特に研究概要でもこの能力をアピールすることを心がけましょう。
ただし、アピールと言ってもエントリーシートのように文章で直接的にアピールすることは、研究概要ではできません。
研究概要の主題はあくまでも研究内容であり、背景・目的・結果・展望といった流れの中でこれらの能力をそれとなくアピールする必要があります。

実際にどのようにアピールすればいいのか、そもそもどのような点に気をつければいい研究概要になるのか5つのポイントに分けて細かく解説しています。


3. ①文字数は最低限に!簡潔な表現を心がけよう

まずは、研究概要の基本的な分かりやすさを左右する要素から。
文字数は少なければ少ないほどいい。少し極端ですがこう言い切ってしまってもいいでしょう。文字数が多ければ多いほど、読み手にとっては読みづらい文章になります。
もちろん必要な記載まで削ってしまう必要はありませんが、

・今回の主題にとって蛇足な記載になっていないか。
・重複した表現や説明をしていないか。

といった点に気をつけて、一度書いた文章を絞れるだけ絞っていくことで、簡潔で分かりやすい研究概要になっていきます。
また、そもそも何を伝えたいのかを整理してから書くことで、必要最低限の文章量が見えてくるかと思います。

・書き始める前に、書きたいことを整理する。
・書き終わった後は、読み直して文章を削る。

この2点を心がけ、簡潔で分かりやすい文章にしていきましょう。『この一文って何を伝えたい文章なの?』という一文がない研究概要を目指しましょう。


4. ②魅力的なイントロで読み手を掴もう!

イントロ(背景)は読み手が最初に読むパート。ここの出来は、研究概要、ひいてはそれを書いたあなたの印象を大きく左右するため、非常に重要なパートといえます。一方で、どういった話から展開していくかなど一番自由度が高い箇所でもあり、なかなかに書きづらいパートでもあります。

まずイントロを書く際に意識して欲しいのは、その内容が『この研究は面白そうだぞ!』と思わせることができるのかという点です。
そもそもとして、企業が行なっている研究と学生の研究が乖離している場合、書類審査の通過率は高くはありません。抗がん剤を作っている企業には、がん研究をしている学生が通過しやすい。これはどうしようもないことです。しかし、研究内容の一致度が低くとも、研究概要を読んだ際に『面白そう』と思わせることができれば可能性が出てきます。
そんな『面白い』イントロを書くために意識して欲しいのは、以下の2点です。

・あなたの研究がどのように役に立つのかを伝えているか。
・専門外の人にも、分かりやすいものになっているか。

先ずは、『あなたの研究がどのように役に立つのか』をしっかり伝えましょう。研究には①学術的に役に立つ場合と②社会的に役に立つ場合の2パターンが考えられますが、このどちらかもしくは両方で研究の意義をアピールする必要があります。つまりは、『○○のメカニズムの解明を行うため』といった研究の意義付けでは不十分です。研究はどんなものでも未知を解明するものです。ライバルの研究概要と差をつける意味でも、未知の解明という研究意義にプラスして、どのように役に立つ研究なのかをアピールするようにしましょう。
また、結論として〇〇で役に立ちそうだぞと思ってもらえる内容にしながらも、読み手の身近な問題としてあなたの研究を考えてもらえるようにも気をつけましょう。専門の細かい話からスタートするのではなく、一般的なところから話を展開させていきましょう

また、この時に気をつけて欲しいのが『専門外の人にも分かりやすいものになっているのか』という点です。研究職の採用であっても、書類審査は人事の担当者が中心で行うことも多く、専門家に読んでもらえるとは限りません。そのため、具体的には学部生レベルにも分かりやすく伝わる文章を目指す必要があります。採用担当の方々もプロなので、過度に優しい表現にする必要はありませんが、少なくとも

・専門用語の使用は必要最低限に。(少なくともイントロでは)
・身近に感じてもらえるように、より一般的な話から展開する。
・研究の意義はどのように役に立つのかという視点で説明する。

といった点に気をつけて、魅力的なイントロを作成しましょう。


5. ③論理的な主張ができているか。ロジックの穴を無くそう!

論理的な主張が展開できているかも重要なポイントになります。読み手に『なぜそう言い切れるの?』や『なぜここに注目したの?』といったことが疑問として残らないようにロジックの穴を埋めていきましょう。
一度書いた文章を以下の2点のポイントに気をつけて、読み直してみてください。

・前後の文章はつながっているか。
・根拠となる情報を不足なく載せているか。

例えば、以下の文章はどのような点で修正できるでしょうか。

「がんは現代の大きな医療課題です。がん患者の数は増加し続けており、早期発見や適切な治療の必要性が高まっています。がんの病態を解明し、新たな治療法の開発に貢献することが急務です。そこで、本研究ではがん細胞で発現が変化している遺伝子Xに着目し、その機能の解明を目指しました。」

一見すると問題がなさそうに見える文章です。身近な話題でもある、医療課題という話からも展開できています。しかし、気になる点は2点あります。
先ず1つ目は、早期発見について触れる必要性はないのでは?という点です。今回の研究が治療法の開発へと繋がるのであれば、早期発見についての記載は前後の文とのつながりの薄い記載となります。
2つ目は、なぜ遺伝子Xに注目するか、その根拠を説明しきれていません。がん細胞で発現が変化している遺伝子はX以外にもたくさんあるはず。その中で遺伝子Xに着目する理由、さらにはXに着目したことで生み出される治療法が従来の治療法より優れたものになると思われる理由をしっかりと説明する必要があります。
一文一文の意味とつながりを丁寧に意識しながら、過不足の無い理論展開を行なっていきましょう。


6. ④結果の分かりやすさを今一度確認しておこう。

学部生レベルにも分かりやすく書こうという話をしましたが、結果についてもこの視点を忘れずに書くようにしましょう。
というのも、この部分をおろそかにしてしまう人が意外にも多いです。結果は、実験のモデルの仕組みや結果の解釈の仕方などの前提知識なしでも理解できるように説明する必要があります。
しかし、説明はあくまでも簡潔に。加減が難しいのですが、長くはならないように気を使いつつ前提知識なしでも理解できるよう、簡単に実験モデルや解釈の仕方を説明した上で、結果の解説を行いましょう。


7. ⑤図やグラフは分かりやすく作り直そう。

就活の研究概要に載せる図やグラフは、作り直すことをお勧めします。論文作成やラボ内の進捗発表で作図をしているとは思いますが、研究概要に載せる際には分かりやすさ重視で作り直しておきましょう。
作り直しのポイントは以下の3つです。

・大きな文字で見やすく!
・縦軸、横軸は日本語でもOK!
・注目して欲しい場所には、丸で囲む程度の強調をしても良い。

どれも論文に載せる場合はやってはいけないことですが、研究概要では分かりやすさUPの為にどんどんやってしまってOKです。少しでも分かりやすく伝えようとする姿勢を見せて、読みやすい研究概要を目指しましょう。


8. 最後に

研究概要で気をつけて欲しいポイントは以上になります。
イントロで面白そうと思ってもらうことと、全体を通して分かりやすく読みやすいものに仕上げること。これらは私の考える高評価をもらえる研究概要の条件です。この2点を満たした研究概要にするためにも、今回お伝えした5つのポイントを意識して作成してみるようにしてください。

また、研究概要やESは第三者に読んでもらってブラッシュアップしていくことでより良いものに仕上がっていきます。研究概要やESの添削も承っていますので、こちらも併せて活用してみてください。

研究概要・ES添削のご依頼はこちらから。
製薬以外の業界を志望する方にもご利用いただけます。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


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