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読書日記

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読んだ本の紹介をしている記事のまとめです。
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#読書日記

The New Yorkerで面白かった短編フィクション③: Bryan Washington, Sigrid Nunez

スターティング・オーバーは人生の踊り場  2024年も残すところ4ヶ月となり、今年1月から始め…

バナナ星人
21時間前
6

地獄を生きるためのシスターフッド: "The Color Purple" by Alice Walker

 ここ数ヶ月、薄暗い大学図書館の書庫に籠っている時間が増えた。滞在時間が一番長いのはNDC…

9

オススメされた本を読もう①:"Where the Crawdads Sing" by Delia Owens

 幼い頃、祖母に連れられて近所の林に栗を拾いに出かけたことがあった。人工林の中に敷かれた…

バナナ星人
2週間前
21

20世紀のアメリカ文学・短編小説を読む / J. D. Salinger, Raymond Carver

 短編小説集には独自のよろこびがある。文芸誌などで偶然出会った一本を読むのも良いが、それ…

バナナ星人
3週間前
38

2024年のサマー・リーディング・リスト

読書の夏がやってくる!  夏といえば読書!という感覚が身についたのはどうしてだろう?小学…

バナナ星人
1か月前
28

"Opening Theory" by Sally Rooney: 新作"Intermezzo"がやってくる!

新作がやってくる  2024年7月8,15日合併号のThe New Yorkerに、Sally Rooneyの新作長編であ…

バナナ星人
2か月前
11

人間を「精巧な機械」に作り替えるには: The Handmaid's Tale by Margaret Atwood

 子供を産むことにはかなり抵抗がある。抵抗というか、けっこうな恐怖がある。ひとたび子供を身籠ると、自分の制御のもとにあった(少なくともそう思われた)体は自分の意思と無関係に変化を始める。それは一年に満たない一過性のものだと分かっていても、腹の中で別の個体が発生し、個を捨てて尽くさねばならない…という状況は、自分には耐え難いことのように思われる。こうして書いてみると、自分が恐れているのは自由と自律が脅かされること、一生物として急激な変化を強いられることであって、つくづく子供を産

死を想えど、悟ったふりもできなくて : “Beyond Imagining” by Lore Segal

 読んだ直後には深く感動せずとも、数日かけてポコリポコリと感想が浮かんでくるうちに、気が…

バナナ星人
3か月前
10

リセットできない世界を生きる話: "Tomorrow, and Tomorrow, and Tomorrow"by Gabriel…

 北斎の巨大な荒れ狂う波。ゲーミングデバイスを連想させる虹色のポップな書体。一度目にした…

バナナ星人
3か月前
9

生産的であり続けろ、という声にとらわれて: "How Should A Person Be?" by Shelia He…

"How Should A Person Be?" by Shelia Heti  Productiveという言葉はいつからか魅力的になっ…

バナナ星人
4か月前
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幼い日々の、痛み苦しみに祈る: ここはすべての夜明けまえ (間宮改依), “Universal H…

 「痛みのない幼少期は無い」というフレーズが頭の中にずっと残っている。どこで読んだのか思…

バナナ星人
4か月前
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the New Yorkerで面白かった短編フィクション②: 村上春樹 / Souvankham Thammavongsa

 The New Yorkerを自身で購読し初めてから随分経ちました。最寄りの図書館に置かれていないの…

バナナ星人
5か月前
15

記憶の博物館を訪ねる本: "Time Shelter" by Georgi Gospodinov / "The Souvenir Muse…

 私はあまり多くの物を持ちたくない性分なので、不要な物を売りに出したり、人に譲ったり、処…

バナナ星人
5か月前
28

The New Yorkerで最近読んだ短編フィクション: 新たな作家との出会いの場

 The New Yorkerを初めて手に取ったのは高校生のとき。「日本のメディアとは切り口の違う記事が多くていいですよ」と当時の先生におすすめされたThe Japan Timesを目当てに、放課後、地元の図書館の洋雑誌・新聞コーナーに通うようになったのがきっかけ。学校近くの県立図書館は、これから世に出ていく子どもたちにとって、素晴らしい出会いの場であったように思う。The Japan Times、The Economist、National Geographic、TIME