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成功の上に成功はなく、失敗の上にこそ大成功がある。

『消えた天才』で放送されたエピソードで、ハンマー投で金メダルを獲ったスーパーアスリート室伏広治の背景に、こんなエピソードがありました。

室伏アテネ金メダルの裏には、溝口和洋のサポートがあった。

溝口は当時、やり投げでアジア人初の世界記録を出したが、審判団のありえない測定操作により、世界記録を取り消しにされてしまった。
それにより、有無を言わさぬ記録を出すために、更にトレーニングを積んだ結果、オーバーワークにより肩の靭帯が断裂し、引退することになった。
その後はヤケになり、酒やパチンコに溺れて、堕落してしまったが、そこに、室伏が弟子入りしたいとやってくる。
まだ痩せていた室伏だったが、金メダルを獲れる才能を確信し、トレーニングコーチを受けることにした。
それは鬼のように厳しいトレーニングだったが、そのトレーニングに耐え、20kg増量した室伏は、2004年アテネ五輪で、念願の金メダルを獲得するのだった。

こんなエピソードがあったのですが、もし、溝口の世界記録が認められていたら、もしかしたら、室伏のコーチを受けることなく、室伏のハンマー投金メダルはなかったかもしれません。

時間にたらればはありませんが、溝口が憂き目に遭い、オーバーワークによる怪我で引退をし、陸上を憎んでいたからこそ、室伏の才能が、溝口のアスリート魂に火を付けたのです。

つまり、溝口の失敗がなかったら、室伏の金メダルという大成功はなかったわけです。

これが、「成功の上に成功はなく、失敗の上にこそ大成功がある」ということです。

「失敗は成功の母」「失敗は成功の元」と言ったりしますが、「失敗」というのは、大成功する為の「レバレッジ」に過ぎないということです。辛い経験をバネにして、と言いますが、辛い経験じゃないと、バネになりません。成功は言わば着地です。着地してしまえば、競技は一旦終わります。しかし、大ジャンプをするための沈み込みと見えれば、その後に大成功の可能性があるのです。

「成功」はしたいですよね。した方がいいに決まっています。しかし、「何をもって成功とするか」ということが重要です。五輪に出場することが成功なのか、メダルを獲ることが成功なのか、金メダルを獲ることが成功なのか。はたまた、指導者になって、弟子に金メダルを獲らせることが成功なのか。

「成功」とは、自分が決めることです。

溝口のように、本人は怪我で五輪で金メダルを獲るという目標は叶いませんでしたが、室伏という逸材を鍛え上げることで、金メダルに導きました。これは、間違いなく溝口の力でもあります。

「失敗したら終わり」ではなく、大成功前の沈み込み、レバレッジだと認識できれば、チャンスを見逃さずにいられるでしょう。


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