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『ドクターX』より、『ドクターY』の方が面白い件

ついに、FAINAL SEASONとなる『Doctor-X』が、10月14日よりスタートします。

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放送に先駆けて、スピンオフとなる『ドクターY〜外科医・加地秀樹〜』が放送されました。

よく、物語では、主人公の戦いよりも、ライバル同士の戦いの方が盛り上がったりすることがあります。『スラムダンク』で言えば、海南vs陵南戦は、人によってはベストゲームとして残ったりしています。

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『ドクターY』は、『Docto-X』に登場する、腹腔鏡の魔術師、加地秀樹が主人公の物語です。スピンオフでありながら、ほぼ完璧な大門未知子が主人公の物語よりも、面白かったりするんですよね。

それはある意味、完璧ではないからこそ、展開が読めなかったり、予定調和にはなりにくいからかもしれません。それに、加地秀樹の方が人間味があって、投影し易いのかもしれませんね。

ちょっとお金にはガメツ過ぎではありますが(笑)、今回の放送はとても面白かったです。


『ドクターY』テーマの一つ「老」

加地秀樹を演じる勝村政信さんは、若く見えて実は58歳です。今回のテーマの一つに「老い」というものがありました。勝村さんはサッカー好きでも有名ですが、54歳にして現役を続けるキング・カズを引き合いに出され、感無量だったのではないでしょうか?(笑)

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スポーツでは顕著かもしれませんが、「老い」というものは、体力を奪い、技術を低下させたりします。思考は凝り固まり、過去の栄光も「老害」と揶揄されることもあります。


『ドクターY』あらすじ

スーパードクターと言われた加地秀樹も、寄る年波には勝てず、外科医としての尊厳を失いかけていました。可愛い秘書には振られ、大好きな札束も手に入らない。そんな中、若く億万長者となり、自分から秘書を寝取った、六車の主治医になることに。

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六車は余命半年で、肝臓を移植しない限り助かる見込みはない。簡単にドナーが見つかることはなく、家族もいないため、生体肝移植もできない。

死ぬとわかったからこそ、生きているうちにやりたいことをやり尽くそうと生きる六車だったが、いちるの望みに賭け、あることを調べていた。

六車は、赤ちゃんの頃に捨てられて施設で育った。借金を作った父親は姿を消し、そんな中で女で一人で子供を育てることができなかったから。

わずかな手がかりを元に、やっと母親を見つけられたのだが、母親は、自分が潰させた会社の社長と結婚していた。死ぬ前に会いに行った六車は、再婚相手に謝りに行く。しかし、母親は突然倒れてしまい、病院に運ばれる。

目が覚めた母親に六車は、「お前の肝臓をくれ!」と迫る。良い人のように見えた六車は、自分が生きる為に必死だった。子供を捨てた罪悪感を抱き続けた母親は、それで報いられるなら、肝臓をあげると言うも、重度の糖尿病を患っていたことで、移植できないどころか、母親を救うことができるのも、捨てられた息子だけだった。

せっかく生きる希望が湧いたのに、自分が移植するなんてあり得ないと、怒鳴り散らして帰ってしまう。再婚相手はそんな六車に、母親が書き続けた日記を渡す。六車が望んだのは、そんな日記ではなく、生きる為の肝臓だった。再び死が突きつけられた最中、日記に目を通すと、そこに書かれていたのは謝罪と後悔のみ。30年間、謝り続け、後悔し続けた母親の思いを垣間見た時、六車は涙を流し、母親の為に臓器を提供することに。

加地はその気持ちを汲むが、どうにか二人を助ける方法はないかを考え続ける。そこで、一つの可能性を見出し、まず母親を助け、それから六車も助ける術式を実行する。その術さばきは、若い医師たちも「スーパードクターが帰ってきた」と驚嘆するほどだった。


せいをおかげにしたプチ物語

手術が成功し、母親の元に向かう六車。そこでこのように声を掛ける。

「日記読みました。ダメだと思います。
 毎日、あんな悲しいことばかり書いてるのは。僕には、楽しいことがたくさんありました。誰にも真似できないような、真似させないくらい楽しいことをたくさんやってきました。
 それができたのは、あなたが、僕を生んでくれたからです。だから、これからはあなたにも、楽しい人生を送ってほしい。もう泣かないでください」

死を悟り、自分と母親と向き合った六車の言葉に、感動しました。
そして、この言葉に、【道楽】も感じるのです。

死ぬとわかっていても、助かるのならすがりたくなるのもわかります。苦しむ母親に、「肝臓をくれ」と言うのはゲスく見えますが、死にたいわけではないのだから、当然のことだと思います。しかも、自分は捨てられたわけです。恨みもあったでしょう。それでも、母親の日記を読んだことで、母親の本音や苦悩を知り、憎しみは無くなったのではないでしょうか。母親は、捨てたくて自分を捨てたのではなく、愛し続けてくれた。自分は、捨てられたことで、人よりも人生を楽しむことができた。

六車が改心したのは、母親の本心(背景)を知り、「せいをおかげに」できたからだと思います。


「せいをおかげに」して起こる奇跡

その結果、母親は助かったのですが、助かったことで、今後は母親の肝臓を移植することで、六車も助かることができたのです。それは、家事が医者として、病気とではなく六車という人間と向き合ったからこそできたことだと思います。

つまり、六車が母親の背景を知り、せいをおかげにしなければ、母親が助かることはなく、自分も助かることはなかったのでしょう。

あくまで物語の話だし、早々都合良くは行かないかもしれません。ただ、奇跡だと思えるようなことは偶然起こるのではなく、自分自身で引き起こすものなんだなと思います。

「せいをおかげに」といつも発信しているのは、事象として奇跡のような変化はなくても、自分自身の世界においては、奇跡のような変化が起こったりするからです。

『ドクターX』は、「手術」によって、大門未知子が誰にも治せないような病気を治します。確かに、「医療」は人を治すものなのかもしれません。救える命もあるのでしょう。ただ、『ドクターY』で描かれた物語は、「医療によって救った」のではなく、六車本人の心に変化があったことで、「医療」の力が働いた、というように感じます。

決して「医療」は万能なのではなく、救えない命も治せない病気もある。それを一番わかっているのは、医者自身なのかもしれません。病気を治すことが一番大事なのではなく、病気を通して、自分や大事な人と向き合うことこそが、大事なのではないかと思います。

もしかしたら、そうすることで結果的に病気も治るかもしれないし、思いも寄らない奇跡が起こるのかもしれませんね。

ネタバレ満載でお送りしましたが、まだTVerで無料配信をしているので、ぜひチェックしてみてくださいね!


「生老病死」の「四苦」こそが描かれたテーマ

『ドクターY』の一つのテーマに「老」があると触れましたが、今回は「生老病死」という仏教の「四苦」もテーマになっていたと思います。

六車という一人の人間が、生まれては捨て子にされ、スーパードクターと呼ばれた加地も老いて衰え、死に至る病気について描かれました。それも、物語の深みを生んだのかもしれません。

「生老病死」といえば、最近観たのですが、「コタキ兄弟と四苦八苦」というドラマが、めちゃめちゃ面白かったです!

人気バイプレイヤーの古館寛治さんと滝藤賢一さんがコタキ兄弟を演じ、芳根京子さんが行きつけの喫茶店のアイドル店員を務めており、「レンタルおやじ」という仕事を通して、「四苦八苦」が描かれます。

笑いも感動もあり、4話では号泣してしまいました。最終回も、泣けてしまいましたが、続編があれば絶対に見たい作品の一つです。

もしかしたが、そのうち取り上げるかも(笑)


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