北京で乗っていたバスが人を轢いた話
海外(特にアジア)に行くと驚くのが交通マナーの悪さではなかろうか。日本よりも交通マナーのよい国はなかなか存在しない。
しかしながらマナーが悪いなりにも何かしらの秩序はあるらしく、事故はほとんど起きないわけだ。日本人としてはあまりピンとこない”カオスな道路の流れに乗る力”には、海外に行くたびに感心させられている。
……と思っていたのだが、遂に事故現場に遭遇してしまったのが今回のお話。
半年ほど前に記事にしたが、2019年の11月末に中国へ鉄オタ活動しに行った。滞在期間は10日間だったのだが、その中で2回も乗っているバスがトラブルを起こしたのだ。私はいつもトラブルの多いトラベルをしているのだが、さすがに異例の事態。
いざ北京へ
東京から北京へは4時間半くらいで到着する。
私は普段LCCばかり使っているが、今回は贅沢にFSCを使うことになった。というのも北京にはLCCが乗り入れておらず、LCCを使う場合はかなり離れた天津空港を使うことになり少し面倒なわけだ。
(ちなみに羽田空港を使うのも初めて)
北京首都空港は混んでるイメージがあったが、この時はかなりガラガラで入国審査も一瞬で終わった。
空港からは地下鉄を利用。
北京のICカードは日本の友人から譲り受けていた。「なぜかどれだけ乗っても1元しか徴収されないバグが起きてた」と言われたのだが、幸いバグは修正されていたようでキッチリ徴収された。
エアポートエクスプレスという専用の路線があり、20分ほどで中心部まで行ける。
外に出るとこんな感じ。まさに中国!という感じ。
毎度の如く宿は中心部を少し外した場所に取っているが、北京は地下鉄網がかなり充実してるため交通の便はとても良い。
(公式サイトより引用)
観光
北京は観光地がかなり充実しているが、個人的にはローカルな景色の方が好みのため事前に中国人の友人にオススメの場所を聞いて周っていた。
……が、私の友人に北京在住者はいないことが後から判明。ほとんどが上海や武漢、深圳在住のため定番観光ルートしか教えて貰えなかった。私も外国人に「福岡のローカルな場所教えて!」とか言われても困る。……そんなわけで結局有名観光地を巡るだけになってしまった。
まずは天安門広場から。
天安門広場の先には紫禁城というバカでかい王宮があり、中国の歴史の長さを感じさせられる。
記憶が曖昧だが、入る際にはパスポートが必要になっていたと思う。
次に頤和園(いわえん)。北京郊外のバカでかい公園。
この日はPM2.5が大量発生していたらしく完全に曇り空。霧っぽくなっているのは中国らしい雰囲気が出てていい感じ。
百度百科によると頤和園の広さは約2.9平方千米ということで、東京ドームだと62.0255個分。歩いて観光するなら正門に近い部分をグルッと見て周るのが良いと思われる。
私はついうっかり一番北から南まで、さらに隣の円明園までも歩いてしまった。観光初日から25kmも歩くという失態。
天壇(てんだん)。こちらは比較的中心部の近くに位置する。
北京の観光地では、安めだがちまちまと入場料を徴収されるため注意。
ただし天壇の近くの北京自然科学博物館は無料。休日だったため子供がやたら多く、足早に見て撤退した。
市内散策
やはり観光地よりもローカルな町並みが見たい。そんなわけで今回は地下鉄をなるべく使わず、バスで移動することにした。
北京はトロリーバスが多い。充電式のため架線からパンタグラフを下ろしてもしばらく走れるという仕様。
北京駅のすぐ近くなどの中心部でもごちゃごちゃしている住宅地があり、なかなか楽しい。
ローカルなエリアでは灰色の石畳やレンガが多く使われており、全体的に薄暗い印象があった。一方で歴史的建造物には赤や緑の派手な色が使われており、コントラストがかなり激しい。
もちろん現代的な高層ビルもたくさん生えている。
友人にオススメされた中で調べてもあまりヒットしなかったのが五道営胡同(日本語の読みは知らない)。建物はバリバリ歴史的建造物なのだが、お店はオシャレな感じのもが多く若者の街感が強いというギャップが面白い。
地下鉄の出入り口と建物が一体になっているところも。なかなかの力技。
個人的に気になったのは川に架かっている普通の橋。この絶妙な湾曲がたまらない。霧が出てるのもとても良い。
北京の道路状況
北京の道路は渋滞しまくりで大気汚染が深刻なイメージがあったのだが、そんなことは全然なかった。東京と比べるとかなり広い道路が格子状に整備されている上、電気自動車が多いため大気汚染の心配もなし。
ただし、運転はけっこう荒い。普通に道を渡る際にも、全速力で右折(日本だと左折をイメージしてほしい)してくる車が多く、「アイヤー!」と叫びそうになることが何回かあった。
そして車以上に危険なのが、電動チャリと電動原付。こいつらは抜群の静音性に加え、そこそこのスピードを出せるためボケっとしていると轢かれそうになる。場所によっては歩道を爆走する人もいるため十分注意したい。
また、歩行者も歩行者で信号を守らない輩が多い。自分の身は自分で守る精神を全員が共有しているため事故も起きないのだろう。
万里の長城へ
いよいよ本編。万里の長城は中心部からはかなり遠くにあり、移動手段としてはバスか鉄道を利用することになる。
本数や所要時間を考えるとバスが圧倒的に強いため、基本的にはバスを使えば問題ない。しかしながら私は鉄道オタクのため、今回は行きは長城号と呼ばれる列車を利用することにした。
まずは長城号始発駅の黄土店駅へ。郊外路線の13号線に乗って霍営駅へ行けばよい。ちなみにこの駅は8号線も乗り入れている。少し前まで長城号は北京北駅に乗り入れていたらしいが、今は工事の影響でここが始発駅となっている。
場所としては北京のかなり郊外の方にあるため注意。
時刻表。本数も極端に少ない。
発車時刻が近づくと改札が開く。車両はこんな感じ。非電化のため両端の車両がディーゼル動力車となっている。
席は完全に自由席。1等席と2等席が存在するがどちらに座っても大丈夫。
夏などの観光シーズンにはかなり混むらしいが、オフシーズンど真ん中の平日朝イチでは全く問題なし。
見た目が完全に特急車両だったためそこそこのスピードを出すのだと期待していたが、スピードはめちゃくちゃ遅く、横を併走する地下鉄に余裕で追い抜かれるほど。
のんびりと流れる景色を眺める。まさに中国の都市部郊外といった感じの景色が広がっており、やたらデカい量産型のビルがシムシティのようにぽつぽつと立っている。
しばらくすると完全に田舎景色になる。
そして山を登り始め、車窓からは万里の長城が顔を見せた。
到着。
すでに観光客がかなり多い。駐車場の方へ向かいロープウェイで一気に上まで登る。
これは絶景!
この日はバリバリの快晴となり、めちゃくちゃ寒いが景色は最高。寒さはヒートテック2枚+上着2枚+コートという究極の重ね着でしのいだ。
ちなみに万里の長城の坂はかなり傾斜が激しく、手すりを常に掴んでいないと危ないほど。
ロープウェイを使わずに登るとなるとかなり体力削られそうだ。
ゆっくり坂を降りて駐車場に戻る。ここで北京行きのバスに乗車。
鉄道よりもバスのほうが運賃は高いのだが、かなりすっ飛ばすため所要時間はこちらのほうが短い。
一気に北京市内に到着
……が、普通の路上でバスが止まってしまった。周りの乗客もキョロキョロしたり何か話しているが中国語が全くわからないためしばらく待つことに。
。
。。
。。。
すると救急車がやってきて、倒れている人を運んでいく様子が窓から見えた。
あれ?このバス人轢いた?!
ここで初めて事故が起きたことを知る。事後処理などで運転再開までは時間がかかりそうだったためバスを降りた。
するとバスの後ろには倒れた原付と水たまりのようなものが……。車窓から見た限りでは救急車で運ばれていった人に外傷は見当たらなかったが、実際にはかなりの怪我を負っていたのかもしれない。
とにかく、運ばれていった人の無事を祈りつつその場を去った。その後は普通に観光を続けたが、バスが目的地までたどり着いたかどうかは知らない。
おわりに
そんなこんなで事故現場に遭遇した話だった。普段自転車に乗っている身としてはなかなか衝撃的な光景を見てしまい、完全健康体でいることに感謝しつつ、今後も事故を起こさぬよう安全運転に努めることを改めて決意した。
被害者にも加害者にもなりたくないものである。
……といったところで今回はここまで。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?