【LIVEエッセイ】My Hair is Bad~サバイブホームランツアー~
***ライブレポート***
2019年9月20日
Zepp東京でのMy Hair is Badのワンマン「サバイブホームランツアー」に参加してきた。
金曜日の18時、定時退社をして全速力で東京テレポート駅を目指す。
スーツで走ったのは始めてのことだった
到着は19時5分。
もう始まってしまったかと思いながら、ドリンク代500円をスタッフに渡して荷物を預けるためにコインロッカーに向かう。
『君が海』のラストサビが聞こえる。早く早くと焦る気持ちがロッカーに入れるために取り出した小銭入れの手元を狂わせた。
どうにか荷物を預け身軽な気持ちで重たい扉を開けた瞬間に聞こえたのは『虜』大好きな曲だ。
音に気持ちをのせて全力で拳を振り上げた。休む暇はない。
これから味わえるんだ。豪速球のライブが。
そこからはあっという間だった。
好きなものを味わっている時の時間ほどいつもの何倍もの速さで過ぎていく。
最高のLIVEだった。
***
今回のLIVEは自己主張×全肯定の椎木知仁だった。
中盤の畳み掛けるような曲順は観客を見事に沸かせていた。
『真赤』から始まり、夏がまだ終わらないように『アフターアワー』
息継ぎする間も無く『愛の毒』『クリサンセマム』『ディアウェンディ』『lighter』が続く。
そしてLIVEでは恒例の『フロムナウオン』
「俺のワンマンだ!!!」「俺は俺のためにやっている!」
そう何度も繰り返しながら自分たちだけの音楽をひたすらに奏でている椎木知仁は昔から何も変わらない。
いつも以上に自己主張が激しく、Zepp東京に自分が今立てていることを強く噛み締めていた。
ただMy Hair is Badを強く観客たちに魅せると同時に、いまここにいる観客のことを全肯定してくれていた。
「自分と全く違う人達が2000人いまここにいるってヤバくない?」
MCで語ったことを言い聞かせるように歌いながら
「そのままでいい」「みんなそのままがいい」と繰り返す様子には胸を打たれた。
今年27歳の椎木知仁は、ぼくが5年前に知ったあの頃の姿を残しながら、大人に近づいている。そう感じた。
そしてラスト。『告白』を観客と一つになりながら歌う。
アンコールでは『舞台をおりて』『惜春』が幸せな歌になりますようにと、最後まで全力で演奏し、サバイブホームランツアーは幕を閉じた。
***エッセイ***
いつまでこのバンドを好きなんだろうと思ってから5年が経った。
バンドなんて流行り廃りがあるから、まあいつかは飽きるんだろうなあなんて好きになった頃は思っていた。夏よ早く来いなんて思いながら、来たら来たで暑いからもう飽きたなんて思うように、気持ちなんて気づくと冷めている。そのいつかが来ることを考えていたのにもう5年。早いなあ。
みんな過去を積み重ねては、いつかの過去を可愛がって生きている。そんな過去を含めて一生と呼ぶ。
でも、一生なんて1年の繰り返しだし、1年は1日の繰り返し。1日も1時間の繰り返しだしね。早いなあなんて思いながら着実に日々が過ぎていくんだ。
『舞台をおりて』と『芝居』は人生を映画に例えた曲だけど、人生は映画ほどドラマチックではない。タイムマシンもなければ、本気で愛した人と大人になって運命的に出会うことも9割くらいの人間には起こらない。そんなものは人の頭の中で描かれる幻。
それでもやっぱり人生は自分が好きなように演じることができる物語だと思いたい。何度も思い出したいと思えるようなステキなワンシーンに出会えることもあるし、どんなに辛いことがあったとしても、気づけばあれは伏線だったのかと思えるような日がいずれ訪れる。
シェイクスピアが「世界は1つの舞台。男も女も人間はみんな役者にすぎない。」と言葉を残しているように、人生をどのように描くのも結局じぶん次第。演じている人生が合わないなあと思ったらいつでも役を変えていい。台本もじぶんで描ける。敵も味方もじぶんで決めれる。配役も環境も何度だってやり直せるんだよね。リセットはできなくてもチェンジはできる。
変わることは怖い。今までのすべてが無駄になる。そう思ってしまうかもしれないけれど、無駄になるものなんてなくて、今までじぶんが味わったものを組み合わせて始める「強くてニューゲーム」なんだ。
そんなことを頭の片隅に残しながら毎日を生きている。じぶんの生きる物語をハッピーエンドにするためにみんな生きていこうな、
って思えた半袖はそろそろ着れなくなる秋の始まり、金曜日のアフターアワーのこと。
あとこれは偏見だけどマイヘアのライブに
1人でくる女の子はだいたい金髪外ハネだし、恋人とくる女の子はだいたいポニーテール。男はマッシュのなで肩で椎木知仁に憧れている。
確実に言えるのはみんな幸せを求めてこのLIVEに来ていたってこと。
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