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台北の緑の中に眠る日本の足跡 南門町三二三とその魅力

台北植物園の緑溢れる一角に、荷花池のほとりで、時を経ても色褪せない美しい日式建築が静かに佇んでいます。この建物「南門町三二三」は、1930年代の昭和初期、一度は茶店として賑わった歴史を持つ場所です。

戦後の変遷を経て、この場所は一度は荒れ果てましたが、現代において著名な建築師郭中端氏と堀込憲二教授の手によって、再び美しい姿を取り戻しました。この2人のプロフェッショナルな視点が交錯し、そして、日本‧長野の庭師、小口基實氏の手による「枯山水の庭園」が、ここに新たな禅の心を添えました。

修復のプロセスは容易ではなかったと郭中端氏は語ります。歴史の中で何度かの改築を経て、そのオリジナルの姿を失いかけていたこの建築。しかし、堀込教授の深い知識と郭氏の熱意により、その純粋な日式美が再びこの地で息を吹き返しました。

建築の中に足を踏み入れると、L字型の開放的な土間と中央の和室が、日本の伝統的な「書院造り」を彷彿とさせます。そして、この建築がもともと茶店としての役割を持っていたことが、そのユニークなデザインの秘密であることを郭氏は語ります。

そして、その建物の外に広がる枯山水の庭は、訪れる者の心を落ち着かせ、深い禅の世界へと誘います。石と砂を用いて「山」と「水」を表現し、中央に浮かぶ「龜」や「鶴」の島々は、永遠の生命と平和を象徴しています。

都市の喧騒から離れ、台北植物園の南門町三二三で、日本と台湾の絆を再確認する時間。この場所はただの建物ではなく、歴史の証、そして文化交流のシンボルとして今、私たちにその価値を伝えてくれます。台北を訪れた際には、この歴史的名所をぜひ訪れて、日本と台湾の深い絆を感じてみてください。

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