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ジョブ型人事の導入設計の流れ

 どうして今ジョブ型人事が話題になっているのでしょうか?
 日本でも成果主義の名の下、2000年代の初めに職能給から役割給への動きがありました。背景には、1990年から2010年の間でバブル崩壊からリーマンショックが起こり、長期のデフレが続いてた時代があります。
 当時、グローバル経済への変化と中国の著しい経済成長に日本企業はさらされていました。一部では、自己責任論や雇用の多様化が叫ばれ、企業は賃金抑制に加えてリストラも断行して厳しい経営環境で模索していた時代です。しかし、まだ評価が人の能力に基づいており、職務給ではなく職能給などの人事制度もあり、なかなかうまく適応できなかったようです。
 では、ここにきてなぜジョブ型人事や職務給が話題になるのでしょうか?それは、まさしく失われた20年という日本のひとり負け状態の低成長。成長していない日本の姿があります。
 詳しくは以下のブログをご参照ください。

=> 「日本の国際人材競争力は39位?」
=> 「30年間上がらない日本の給与」

 そこにコロナに見舞われ拍車を掛けました。2020年から数年はVUCAと言われるように、過去の延長線上では未来の予測が非常に難しいだけでなく、社会全体が複雑で曖昧になっている現状があります。
 そこで、経営戦略と組織戦略が連動し、人的資本に投資を図り企業価値を高める努力が必要になっています。それを実現するためにジョブ型人事への転換は一つの可能性となります。

 では、ジョブ型人事の導入の流れを見てみましょう。
大きな流れとしては、以下の6点となります。

  1.  経営戦略に基づく組織設計
    これは経営戦略に基づき組織戦略・機能戦略を実現する最適な部門と職種別の職務ポジションを定義します。

  2.  職務と成果責任の定義
    職務遂行に必要なタスク(課業)、タスクを実行する上でのスキル。および行動基準のコンピテンシー。これらを束ねて職務記述書を作成します。

  3.  職務評価の設定
    職務を実行する上での難易度や責任のウェイトを定量的な職務評価を実施して、ジョブグレード、すなわち職務等級を設定します。

  4.  報酬の決定
    自社内の役割の高低で見るのではなく、定義する職務に対する労働市場の対価に基づいて、相応しい賃金を決定します。人材の流動性がますます激しくなる今日においては、常に世間相場である労働市場を意識した賃金体系を構築することが求められます。さらに、賃金以外の福利厚生やワークライフバランスなどの労働環境の整備も重要です。社外からの採用だけでなく、内部人材のリテンションを図る上でも、社員のエンゲージメントが高まる施策を組み込むことが求められます。

  5.  成長支援のキャリアマネジメント設計
    年初には個人の目標設定を行い、定期的な1on1ミーティングを実施し、実績の振り返りと業績及び行動評価を適切に実施。そして上長がしっかりと部下に対するフィードバックを行ってモチベーションマネジメントの仕組みを人事システムに組み込むことが求められます。

  6.  キャリアアップ支援
    現状の職務に甘んじることなくさらに高みを目指すことで、年齢、ジェンダーに関係なく昇給・昇格が実現します。結果社員が成長し組織も成長します。エンゲージメントが著しく低い日本の実情は以前のブログにあります。これは何としてでも解決しないといけない社会課題です。

=> 「日本企業の従業員エンゲージメントが世界レベルで低水準」

 人は成長することに喜びを感じます。しかし、指針が明確でないとなかなか旨くいきません。その為には、現在の職務に必要スキルと将来担いたい職務のギャップの見える化を行い。不足するスキルのラーニングを明確化することで、社員が自律的に成長機会を作り出す仕組みを設けます。

 JOB Scopeでは、以上の仕組みが提供されています。
詳しくは、JOB Scopeのホームページをご覧ください。

執筆:JOB Scope 編集部