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【アジャイル】これこれ仕事から思うこと(最終章)

市谷氏の「これまでの仕事 これからの仕事」(略して「これこれ仕事」)を読んで思ったこと・感じたことを何回かに分けて書いていこうと思います。

第七章は昨日書きました。今日は最終章を読んで思ったことを書きます。

「思考停止」から「行動」へ

何かと新しい事は止められがちである。これまでの常識、通念など判断基準として多く出てくる言葉であるが、実はそれはその言葉をした人自身の頭で考えたうえで判断しているものではない。
それくらい最適化しきってしまい、思考停止になるとそもそも自分で判断する力もなくなる。あとは変化しないで済むならそうしていたい、判断として会社の中にある「常識」によって判断しているから自分の責任ではないという楽な方向に倒されているかと思う。

この本では思考停止から起きる悪い流れを書いている。
思考停止となり効率化ファーストとなると余計なことをするのは悪となる。そしてその余計なことというのは自分の組織やチームの外からやってくる。最短ルートでやるには他の組織やチームとのコミュニケーションは邪魔となる。そうなるとできるだけ対話やコミュニケーションが起きないように「無関心」になっていく。

無関心となれば相手の状況は分からなくなる。それにより何か問題が起きれば、自分達以外に責任があるように言い出す。ここで「他責」が生まれる。自分たちはうまくやっている、うまくいかないのは他の組織の問題だと。しかし人のせいにしあっていても何も解決せず組織全体としても成果に至らなくなる。

現場レベルで解決できないと多くの場合、「上から落とす」という手段をとる。上から落とされてしまうとやらざるを得ない状況にはなるが、そこでもやっているふり、のらりくらりと言われなくなるまで回避し続ける。「面従腹背」という表向きは従いつつ腹の中では従わないような二面性を持つことになる。

これらは社内の中の話として起きているが、このような振る舞いは何れ外のお客様に対しても行ってしまうことになり、そもそも何のために組織として成果を出そうとしているのか分からなくなる。

関心・チーム・リスペクト・越境

ダークサイドな思考停止・無関心・他責・面従腹背に対する処方箋として、関心・チーム・リスペクト・越境が挙げられる。

関心を持ってもらうには共通の理解、共通認識が必要となる。「関心」を持ってもらうための手当は第七章にもあった。まず分かりやすく自分事にしやすいのは「自分の課題」である。関心を持ちあうためのコンテキストをつくるために「ふりかえり」をすることで共通の課題を作り出す。それをお互い定期的に見つめ、関心の接点としていく。

そして共通のコンテキストを「チーム」として広げていく。自分たちはどこに向かいたいのか?これまでも出てきたFrom-To、それをWHY−HOW-WHATのゴールデンサークルでチームのコンテキストを一緒に作っていく。

私個人として一番大事と感じたのは「リスペクト」である。正論をぶつけてもうまくいった試しはない。それぞれの人や組織にはそれぞれの正義(事情や制約も含む)があるわけであり、正論で人を動かすことはできない。いろいろ言いたい事があるかもしれないが相手にも事情があるという理解がないままでは対話は難しい。
ここでも共通のコンテキストが必要になる。対話をして共通の課題や共通認識をともに持ち合うしかない。相手に架け橋をつくるのだ(これも以前紹介した「他者と働く」という本にもある言葉だ)。

これらの取り組みにより、「越境」をする。組織という構造だけではなく、組織の持つ前提や常識も越えていく。

経験という報酬

本当に最後に素晴らしい言葉が書かれている。

「経験とは、行動を起こした人のみに得られる報酬」

結局動くしかない。それは少しでも。時には立ち止まることもあるだろうけど、完全停止しなければまた再稼働して行動し、経験から得られるものがでてくる(何度も書くが「傾きをゼロにしない」という言葉が好きだ)。

一人ではじめてもよい。一人でも少しでも動けるはず。そしてその経験をまた隣の人やチームに宿すことで少しずつ変わっていけるかもしれない。

成功しても失敗しても動くことから得られた経験は宝物になる。
私が思うに、成功体験はより自分の自信となり、自分を深めてくれる。
失敗体験は発見と学びがあり、そして新たな選択肢への挑戦を広げてくれる。
失敗しても成長があって次より良くできれば大きな成功に繋がる。

詳細は書かないが、今後私も色々と大変になるだろう。一人悶々と悩んでも仕方が無い。この本から得られた勇気をくれる言葉を胸に動き続けるしかないのだろう。

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