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「自分に合う」仕事の、本当の見つけかた

「希望する仕事に就けたと思ったのに、自分にはまったく合わなかった」。残念ながら、キャリアのミスマッチというのは今日も日本全国のあちこちで発生している。いまこれを読んでいるあなたも、もしかするとミスマッチに苦しんでいる真っ只中なのかもしれない。

 本当にやりたかった仕事、入りたかった会社のはずなのに、希望がかなって実際に働いてみると、徐々にイメージと現実のギャップに気づき、悩み、そして行き詰まってしまう。就活や転職活動の結果、納得して入社したはずなのに、いったいなぜそういうことが起こってしまうのだろうか?


 最も大きい理由は、多くの人が、単なる「イメージ」で仕事を理想的に捉えてしまってることだ。もっと正確にいうと、それは、「切り取られた、華やかな一瞬の」イメージ。このことが、理想と現実のギャップを生むそもそもの大きな根本原因になってしまっている。

 それらの「切り取られた、華やかな一瞬の」イメージは、別にそのすべてが間違っている訳ではない。多くの仕事には、それぞれの輝かしい瞬間が本当にあると思う。しかし、そのような瞬間は、仕事に費やすすべての時間の中で、たった1%とか、それ以下だと思う。

 例えば自分の身近な例でいうと、新卒で最初に入った会社で携わった転職サポートの仕事。職種でいうと「リクルーティングアドバイザー」とか「キャリアコンサルタント」(この名称はいまは国家資格の独占になってしまったけれども)とかの華々しい肩書きで、いかにも「他人の人生のサポート」ができそうな気がする。採用案内にも、転職が決まった候補者と爽やかに握手を交わすイメージ写真とか、そういうシーンがバーンとフィーチャーされる。いかにもかっこいいし、やりがいありそう。


 もちろん、そんな瞬間もある。本当にある。この仕事に携わる人々はみんな、その瞬間のために仕事をしているようなものだ。しかし、そんな輝かしい瞬間に立ち会うために、普段の大半の時間を費やしてやってることは、知らない人から見たら驚くほどの地味で単純な、ルーティンとも言える作業だ。

 企業担当であれば、たとえば新規企業開拓のためのアポ電話。有名企業の人事部には、毎日バカほど多くの数の人材会社から営業電話がかかってくる。そんな中、めげずにひたすらアプローチを続けなければならない。また、面接のための日程調整。企業側と求職者側からそれぞれの希望が上がってくるので、まるで伝言ゲームの真ん中の人みたいに、毎日毎日膨大な数の面接日程の調整をこなす。そのやりとりだけで1日が終わってしまうこともある。

 転職希望者の担当であれば、スカウト業務もあるだろう。スカウトといっても、人材データベース業者のサイトにログインし、検索し、ただひたすらにDMを打ちまくる仕事だ。もちろん、打ったDMのほとんどはスルーされて返ってこない。コピペにならないよう、できるだけその人のキャリアに合わせて一生懸命にカスタマイズして文面を作ったとしても、ごく普通にスルーされておしまいだ。心も折れる。

 また、数字へのプレッシャーも大きい。会社の方針にもよるが、「毎月◯名サポートの成果を出す」という数値目標があることが普通だ。自分が新卒で入った会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)も、20年以上前の当時はまだまだベンチャーで、周囲からはブラック企業と言われるくらい数値にシビアな会社だった。労働環境も超ハードだ。

 急拡大していたフェーズなので、当時から多くの新卒社員、中途社員を採用していた。よく覚えているのは、「人のキャリアのサポートをしたい!」と目を輝かせて転職してきた大手電機メーカー出身の30代男性が、たった1週間で、「自分の想像してた仕事とまったく違いました...」 といって肩を落として退職していったことだ。そんなことは日常茶飯事だった(※ 今はそんなことはないはず。あくまで昔の話。)。


 このように、「人のキャリアのサポートをする」ことがミッションの人材会社ですら、その内部では多くのキャリアミスマッチが起きていた。その原因は、自分がやるべき仕事として、普段の業務ではなく、ごく「一部の」イメージしか想像できていなかったこと。これは、採用企業側、求職者側、どちらにも原因があると思ってる。

 だから逆にいうと、社内でも本当に成果を出す人は、その「普段の業務」がとても肌に合っていて、それらをとことん突き詰められる人々だった。たとえば、とにかく「新規で企業開拓することに喜びを感じる」人。営業電話でいくら断られてもそれがまったく苦にならない。また、とにかく人と会って話をするのが好きで、一日中ぶっ通しでもキャリア面談ができてしまう人。これらの人々は、やはり非常にパフォーマンスが高かった。


 だから仕事を探すときに大切なのは、単なる「イメージ」だけでは想像しづらい、普段の99%の時間にいったい何をする仕事か、そこをしっかり理解し、本当に自分に合うのかを考えることだ。

 新卒学生の間では、たとえば「Webマーケティング」が人気の職種だ。しかしWebマーケは、下手をすれば一日中PC画面とにらめっこし、膨大な数字の羅列の中から0.1%の差異を調べ、それをひたすらに細かくチューニングする、そんな仕事だ。本当に、自分がやりたいのはそういう仕事なのか? それをよくよく考えてみたほうがいい。


 仕事は基本的に地道なもの。そして、そのプロセスこそがキモで、もっとも重要だ。その地道な普段のプロセスを、やりがいをもって前向きに続けられるのか。やり切れるのか。そういう観点で、それが自分に合う仕事かどうかを考えたほうがいい。なんせ、仕事のうち99%は、その地道なことと向き合って過ごすのだから。


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