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スタートアップの鉄則 : まちがって「ヤバい人」をジョインさせないこと

 起業への助言はいろいろある。しかしこれだけは絶対に気をつけてほしい。「ヤバい人」をジョインさせてしまうことが、最大にして最悪の危機を呼び寄せてしまう、ということを。

 昨日の夜、起業家が集まるオンランイベントで出た話題だ。「スタートアップで最も気をつけること」というお題で、メンターや起業家から様々な意見が出た。

 その中で、「それはあるかも」という話として、一同の共感を得たのがこの「ヤバい人」の存在についてだ。起業して、みんなでがんばってどれだけプロダクトを磨こうが、マーケティングを工夫しようが、営業に力を入れようが、たった一人のヤバい人の存在により、すべてがぶち壊しになってしまうという恐ろしさがある。


 ヤバい人、とはどんな人だろう。いくつかのバリエーションがある。「平気で不正を働いてしまう人」というのがその一例だ。たとえば営業であれば、架空計上。まったく受注などしてないのに、クライアントの了解も得ずに勝手に受注したことにしてしまう。

 そんなのすぐにバレてしまうのになぜ、と思うが、当人としては、月末の数字だけ達成したように見せかけ、翌月、どこかで帳尻を合わせればいいやという考えだ。そうやってうまく隠し通せることもあるが、露見するとクライアントへ大きな迷惑をかけ、会社としても一発で信頼を失ってしまうことになる。あたりまえだ。

 自分も、最初に入った会社で、これをやってしまってクビになった先輩をみた。もう20年も前の話だけれども。証券会社の営業から人材業界に転職してきた人だったが、彼がクビになったあと聞いた話によると、なんと前職でも同じことをやって懲戒を食らっていたそうだ。リファレンスチェックが大事というのを思い知らされることに加え、やはり「人間、根本的には変わらないのかも」と考えさせられる事件だった。

 また、不正会計や横領などという事件も後を絶たない。経理部長やCFOという要職にあって、自分がすべてをコントロールできるという立場を利用して会社のお金をネコババしてしまう。倫理観よりも、どうしても目の前の欲望が勝ってしまうという人は世の中に一定数いるものだ。


 しかし。本当にヤバいのは、上記に述べたような、何かしらの「不正」を働く人たちではないと思う。不正によるダメージも確かに小さいものではないが、一部顧客への信頼や、財務的な損失は、トップ以下の他のメンバー全員でカバーすればなんとか立ち直れることも多い。むしろそういう危機を経験することにより、残されたメンバーの結束が高まったという事例もある。

 最もヤバいのは、「他のメンバーの気持ちや立場をまったく考えず、自分だけの勝手な正義を振り回す人」だ。それもかなりエキセントリックに。

 こういう人たちは、会社が仲間がたとえどうなろうと、「自分のスジ」だけを通すことにこだわる。あくまで自分が考える正義、正論のみが唯一の正しい道のはずで、他の人が考えてることはおかしい、と容赦なく攻撃する。その結果、他のメンバーは疲弊し、心はボロボロになり、その「ヤバい人」の言動に日々振り回されてばかりということになる。

 こうなると、敵はライバル企業ではなく、内部にいることになる。そんな状況になってしまったら、一致団結してビジョンを目指すどころか、みんな会社に行くことすら嫌になってしまう。そうなったらもう末期症状だ。しかも、そういうヤバい人にうまく辞めてもらうことは非常に難しい場合が多い。そのまま、崩壊寸前になってしまった会社も実際に見てきた。


 難しいのは、そのような「ヤバい人々」は、往々にして経歴が華々しかったり、レジュメだけ見ると非常に優秀に見えてしまうこと。弁が立つので、採用面接でも高評価を勝ち取ったりする。「とても優秀な人がウチに来てくれる」と期待されて迎えられることも多いのだ。

 だから、面接で「ちょっと性格がキツいかな」とか、「ウチのメンバーと合わないところがあるかも」と感じたとしても、その華々しいスペックに目が眩んで採用を決めてしまう。それが、すべての間違いの元だ


 新しい仲間を迎えるときの、言語化できないような「違和感」はとても大切だ。多様な人を迎えるという姿勢はとても重要ではあるが、それが、仲間の関係性を崩壊させてしまうようなものだとしたら、それはもうマイナスでしかない。

 新しい人を迎えるときには、「自社のカルチャーに合うか?」ということを、妥協せずにじっくり見なければならない。見た目のスペックなんかよりも、そっちの方がよっぽど大切だと思ってる。


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