謙虚は卑下ではない。謙虚なのは、自信があるからこそ
「謙虚」と「卑下」は、ややもすると混同されてしまうことがあります。が、僕はこの2つをまったく違うものだと捉えています。本当の謙虚さを身につけるためには、自分に対する「自信」を持つことが大切だと思うのです。自信があるからこそ、控えめに振る舞えるし、人に譲ることができる。
自分に自信がないとき、この場合は「卑下」になってしまいます。本当に自分は何もできなくて... と、いうのは、ある種の逃げだといえるかもしれません。自分は責任を持てないし持ちたくないから、単にタスクや役割から逃げるだけ。これは、(自信がないがゆえの)卑下だということですね。
そして面白いことに、自信がない人は、もうひとつの行動パターンを取ることがあります。卑下ではなく、逆に「尊大」に振る舞ってしまう人です。
これ、面白いですよね。おなじ「自信がない」という状態において、態度としては両極端な姿勢として現れる。卑下するのは自信が無いがゆえに引け目を感じる結果ですが、尊大は、自信のなさをハッタリによって覆い隠してしまいたいという行動パターンだともいえます。
だから、いつもものすごく偉そうな人とか、上から目線の人というのは、本当は自分に自信がないことが多いのですよね。過去、そういう人に何人も会ってきました。余裕がないからこそ、人を威嚇してなんとか上位に立とうとする。負けないように、先手を打って抑え込んでしまいたい思ってしまうのでしょう。悲しい習性です。
まず自分の振る舞いとして、「卑下」にもならず「尊大」にもならないことが重要です。そしてそれには、確固たる自信を持つしかありません。それは別に、いきなり「すごい」人間を目指すということではありません。身の丈にあった、達成可能な目標を持ち、それを着実にクリアしていく。それこそが、少しづつですが、着実に自信を大きくしていく一番の道だと思ってます。
そしてもう一つ大切なのは、他者に対する評価を間違えないことです。相手が「謙虚」な姿勢を示しているのか、それともそれは単に「卑下」なのか、ということです。
謙虚にしている人を、「自信を持っていない人だ」と見くびってしまう失敗は避けたいものです。こういう失敗をするのは、多くの場合「尊大」に振る舞う傾向を持つ人です。相手が弱みを見せたら、すぐにマウントを取りに行こうとする。そういう人、たまにいますよね。あさましく、哀れな行動だと思います。
自分が本当に謙虚にいられたら、相手の謙虚さも分かるようになります。お互いに大人な姿勢で譲り合うのですが、心では、「あなたは本当はできる人ですよね」と互いに理解し合えている。相手が初対面の人でも、こういうことはよくあります。その後、良い関係性を結べたり、さらには長いビジネスパートナーになるのはまさにこのような人ですよね。
最悪なケースは、むやみに尊大に振る舞う人を、「胆力のあるリーダーだ」などと勘違いして尊敬したり付いていってしまうことです。このようなパターンは、後でだいたい悲惨な目に会いますよね。よからぬ集団のボスとか、ブラック企業の代表者などにこういうタイプが非常に多いと思っています。
人を正しく評価することは、とても大切です。尊大な人が優秀なのではありません。本当に優秀な人は、いつも謙虚です。自信があるからこそ、そのように振る舞えるのです。
そして、他者を本当に尊重し、一緒に引き上げようとしてくれます。一度きりで大切な自分の人生において、仲間として付き合うなら、まさにこういう人ですよね。
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