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リベラルアーツ読書会~『続・大人になるためのリベラルアーツ』を活用して~

はじめに

リベラルアーツ読書会は『続・大人になるためのリベラルアーツ』の本に問を準拠し、運営から論点整理をしてから問いについて参加者の皆さんでzoomにて対話するイベントです。

日本リベラルアーツ協会ではリベラルアーツを実践するイベントとして、リベラルアーツ読書会を行っております。元は学生団体ラジリアがしていたイベントですが、リベラルアーツの内容なので主に日本リベラルアーツ協会で行うことにしました。

扱う本はこちら『続・大人になるためのリベラルアーツ』です。

大人になるためのリベラルアーツとは?

こちらの本の序文は無料で公開されています。


抜粋し、要旨を取ったものです(太文字が原文ママ)

 Liberal Arts Education for Developing Mature Citizens(大人になるためのリベラルアーツ)の「大人」とは,単に年齢的な「成人」Adult を指すのではなく,「成熟した市民」Mature Citizen市民」とはまさに選挙を通して「国政に参与する権利をもつ人」(『大辞林』第三版,三省堂,2006 年)なのであり,その権利には当然のこととし て,社会にたいして果たすべき義務や責任がともなう.社会の一員としての市民的倫理観を身につけない限り,本当の意味での「大人」になることはできないのである.
 ここではリベラルアーツを「人間を種々の拘束や強制か ら解き放って自由にするための知識や技能」とし、「拘束や強制」の例として,知識の限界,経験の限界,思考の限界,領域の限界という4つの要素を挙げるが、「自分はすでに大人である」という無意識の思い込みに安住している者は,しばしばこれらの4つの限界に囚われていること自体に気がつかず,自分が不自由であるということさえ意識することができない. 私たちの多くは,本当は未成熟な存在であるにもかかわらず,自分が成熟した大人であるという錯覚にとらわれた「子ども」にすぎないのではなかろうか.
 そこで、様々な問いに向き合い、最終的な唯一の「正解」に到達することではなく,見つからないかもしれないなんらかの答えを模索しながら専門分野の異なる者同士で議論すること,そしてそのプロセスを通して対話と思考の訓練をおこなうことで少しでも大人に近づけるのではないであろうか?ここで身につけたい資質や能力3つある。
問題構成力
問いを考える上でなにが問題であるのかを自分の目で見極めなければ,単なる感想や不毛な抽象論のやりとりに終わってしまう.あらゆる問いは『定義』をめぐる問いを内包している言葉を吟味し,検証し時には新たに定義し直すことで,所与の問いを自分自身の問いへと構成(あるいは再構成)することができる
批判的思考力
安易に相手を批判したり異論を唱えたりするのではなく、自分の意見を述べるときは相手との共通点や相違点を明確にしながら,誰にでも理解可能な形で言語化し、
他者の言葉を聞くときはつねに冷静に分析し的確に相対化する能力が大切である。また、時に同質のものばかりが寄り集まった感情の濁流にひとたび吞み込まれてしまうと,私たちはいつのまにか「個」としての主体性を放棄し,自分の頭で思考する習慣を失うことになりかねない.だから自分に近いと思われる意見に接したときほど,無条件にこれを受け入れるのではなく,そこから意識的に距離を置いて自立性を保持するための「批判的思考力」が大切である。すると、他者の言葉との接触を通して自分の言葉を客観化し,対象化し,場合によっては必要な修正を加えながら固有の思考を織り上げることが可能になる。
市民的倫理観
科学技術の急速な進歩を前にして私たちはどう振舞うべきなのかという,現代人ならば誰もが考えなければならない普遍的な問い
に向き合い、私たちが現代社会に生きる1市民としてどう考えどう行動すればいいのかという問いにどの問いも密接に関わっている。1人の大人としてどのようにあるべきか?を意識して問いを考えることでより、成熟した市民に近づくことができる。

 この三点を意識しながらさまざまな問題を的確に構成し, 他者と議論しながら批判的思考力を養い,成熟した市民としての倫理観を身につけることによって,錯覚から自らを解き放つことができる。すると、惰性に流されて眠り込んでしまいがちな感性を覚醒させ, 凝り固まった自己を解きほぐして他者に向けて開くこと,偽りの成熟に甘んじて充足した自我の殻に閉じこもるのではなく,対話や議論を通して絶えず柔軟に変容していく「やわらかいアイデンティティ 」を獲得することができる。
 私たちはつねに大人になるための努力を継続しない限り,すぐにまた子どもに戻ってしまう。いかなる変化や流動も恐れることなく,むしろ自己の更新を進んで実践するこうした生き方を指し示すためにこそ,「リベラルアーツ」という言葉はふさわしい.

イベントの様子

こちらのイベントは今回扱う続の前の『大人になるためのリベラルアーツ』で行っていたものを引き継いで開催しております。以前のイベントの内容はこちらからご覧いただけます。

今後のスケジュールとお申し込み方法

本イベントのスケジュール予定についてはこちらです。

①9月16日21時~
気候工学は倫理的に許されるか
➁9月23日21時~
成人年齢は引き下げるべきか
③9月30日21時~
速く走れる人間をつくってもよいか
④10月7日21時~
芸術に進歩はあるか
⑤10月14日21時~
人工知能研究は人為的にコントロールすべきか
⑥10月21日21時~
民主主義は投票によって実現できるか
⑦10月28日21時~
前半振り返り
⑧11月4日21時~
軍事的安全保障研究予算をもらってもよいか
⑨11月11日21時~
絶対に人を殺してはいけないか
⑩11月18日21時~
学問は社会にたいして責任を負わねばならないか
⑪11月25日21時~
自由と公共性は両立するか
⑫12月2日21時~
議論によって合意に達することは可能か
⑬12月9日21時~
プライバシーと治安は両立できるか
⑭12月16日21時~
振り返り

イベントに参加されたい方はこちらのフォームにご記入ください。是非一緒に対話しましょう!

https://forms.gle/PwcBKoAM8CVZugBc6

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①〜⑥、⑧〜⑬の普通会12回のうち、7回以上の参加
+⑦.⑭のまとめ会2回の参加
合計9回以上の参加で修了証を授与させていただきます。
(ご事情があり、参加できなかった場合は、後日アーカイブ動画を見た上でそれぞれの問いについて論じるレポートを書いていただくことで参加認定とします。)

また、特別賞として全体で13回以上参加された方には粗品をプレゼントする予定です‼️

口コミ

過去に参加してくださった方の感想になります‼️

・自分の学問分野と社会との再確認、再定義が出来た。
・自分と異なる立場にも想いを巡らすことができ、対立を否定する必要はないと気づいた。
・馴染みのない学問でも丁寧にインプットの時間があり、本を読まなくめも、気軽に参加でき良かったです。ありがとうございました。
・相当難しくトゲのあるテーマでも、和やかに否定し合わず対話的に意見交換することによって、自分が無意識に感じていたことを言語化できるのでとても素敵な会だと思った。
・リベラルアーツは単に知識を得ると思っていたが、丁寧に様々な視座から物事を考え対話することが重要なんだと気づいた。

スタッフ

・プレゼンター兼ファシリテーター:正司豪

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プロフィール:早稲田大学人間科学部B4。専門は学習環境デザイン。趣味はバンド活動、歌を歌うこと、理系科目の勉強です!
コメント:大人になるためのリベラルアーツの読書会を引き続き担当させていただく正司です!異なる専門、異なる年齢の人たちと、答えのない問いについて対話できる事を楽しみにしております。何卒よろしくお願いします!

・ムードメーカー兼レポーター:小林 彩葉(いろは)

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プロフィール:学院で社会学(人口移動)の研究をしつつ、居場所づくり、学び直し等、学びのサポートを必要とする多様な方々に寄り添う仕事をしています。趣味は旅行、写真。部活は天文をやっていました。
コメント:人類の問題は星の数ほど複雑化しました。現代人は、今まで遠目に眺めていた星空へ投げ出され、複雑で無数にある問題を、古代の人々が星座を作ったよう、美しく解決へ導いていく、大変だが素敵な時代に生きていると思います。
複雑な社会問題へ多方面からアプローチし、知的好奇心を深め常に頭のアップデートができる活動へ関わることができ、大変嬉しいです。

・サポーター:船岡佳生(ふなっしぃ)

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プロフィール:東京工業大学環境社会理工学院M1。趣味は町歩きや音楽。福岡が好きです!

コメント:大人になるためのリベラルアーツの読書会も続が開催できて大変嬉しく思っております。たくさんの方とたくさん対話したら考えて、少しでも大人になれたらと思います笑 楽しく居心地が良く、かつ知的好奇心に溢れる場になりますように努めますのでよろしくお願い申し上げます。

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