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成果とは何か?

最近は自宅勤務等、テレワークの導入によって、改めて自身の仕事の成果とは何か?を問うた方も多いのではないでしょうか。最近、お客さまでこのことを問うことが増えているのもあります。組織や個人によって何を成果とするかは勿論違いますが、今朝はこの成果について私論を述べたいと思います。

成果とは意味のある結果である

先ず成果について私なりの定義があります。そしてその定義は40歳を過ぎて徐々に固まったように思います。というのは、20代から30代前半の時代は「意味もなく数字を追っていた」からです。数字とはお金のことです。売り上げや粗利、営業利益のことです。無味乾燥なこの数字を仕事人生の半分は追っていたことになります。「お金を追うな、仕事を追え」とはウチのボスの口癖です。全くその通りなのですが、それは今だから分かること。色んな会社さんに伺っていると実は多くの会社・組織では決して当たり前の概念ではないことに気付きます。これを読んで頂いている皆さんの会社・組織では如何でしょうか。無味乾燥な数字が勝手に上から降ってきた、ということは無いでしょうか。またその違和感を抱えながら日々働いてはいないでしょうか。

ここでわたくしの考える成果の定義をお伝えすると下のような概念図になります。先ずシンプルに「成果」とは価値ある専門性による「スキル・技」が必要であり、その能力は実践によってのみ磨かれます。行動なきところに成果はないからです。しかしこの行動・実践が「正しい考え方」によって行われているかどうかが、成果に大きく影響を与えます。例えば間違った成果主義を導入したおかげで「とにかく稼げばいいんだ」という考え方で行動をした場合、そのスキル・技は個人にどんどん閉じていき、顧客の属人化を招いたり、最悪の場合はお客さまや社会に背いてウソをついたりしてしまうのです。それを成果としては良き社会を後世に遺せません。つまり「正しい考え方」が全ての行動の土台にあるか、が大切なのです。

成果とは2

成果とは3

「正しい考え方」とは具体的には図でお示ししているように、先ずは「思考」があります。「思考」とは考えたり思ったりという行動です。思考そのものが実は行動となります。そして大事なことは心理的に価値観、思想、哲学そして志といったその人の観念によって生み出される行動が「思考」になります。私はそのことをひっくるめて「何を自身の道と定めるか」、つまり「徳を修める、道徳のようなもの」と言っています。従って、どのような考え方=道徳を土台に内在させているか、が成果に至る過程に強く影響していると考えます。ここまでは成果を上げ続けている方は、そうだよね、とご理解頂けるかもしれません。この部分までは読書やセミナー・研修・先人の薫陶によって学ぶことが出来るし、行動に移すだけのことだったりします。決して簡単ではないですが・・・誰でも知行合一を基に研鑽できる領域です。ここまでの土台を有していて、初めて「成果」は意味を持つのです。意味のない成果目標とはこの土台である思考・考え方・価値観、ひっくるめると「道徳が抜けた目標」でしかないのです。本田宗一郎さんの言葉を借りれば、「理念(哲学)なき行動(技術)は凶器である、行動なき理念は無価値である」ということになります。

成果とは目に見えない「思い」の発露

このように正しい土台をもってこそ、正しい「成果」が得られます。この土台をもった個人が存在し、その集まりである組織がこの土台を有している場合を私は「企業文化・組織文化」と表現しています。それ以外は自然と成り立っている「風土」と呼んで分けて使っています。何かしら企業風土を変革したい、組織の方向性を変えたい、等の変革プロジェクトに携わることが多いので、ビフォアーを「風土」、アフターを「文化」と便宜上分けているに過ぎませんが。更に具体的にわたくしの企業・組織文化の定義を敷衍すれば、それはそこに「意志」「道徳」が組織として存在するかどうかの違いと明確に分けて定義しています。従って個人も組織も「成果とは何か」を真剣に問い合う行動が必要になってきます。これを語り合わなくても分かり合えるようなら私のコンサルタントとしてのご支援は必要無くなり、これこそある意味成果とするプロジェクトもあります。ザッポスのCEOトニー・シェイが「組織文化を構築すれば成果は後からついてくる」と語っていたと記憶しておりますが、まさにそういうことです。

更に下にお示ししたように、仕事の成果は「変化を生む」ことが重要です。結果として利益が上がることも勿論ですが、その前段階の行動が変わる、考え方がより正しい方向に変わる、イノベーションが生まれるなど、「変化を生む」ことが成果です。そしてその起点はこれまで述べてきた「スキル・技」「行動」「思考」「道徳や価値観」と掘り下げられるのですが、それはお客さまや社会からは目に見えるものと目に見えないものに分かれます。お客さま、社会に「変化を生む」ためには目に見える「スキル・技」を使って行動し評価を得、喜んで頂く。しかしその評価や喜んで頂けるかどうかは全て目に見えない「考え方・意識(思い)」があってこそ価値ある成果になるのだと思います。

成果とは4

さらに良い成果を生むためには、実はもう一段掘り下げなければならない土台があります。最も最下層の土台に置いた「誠実・素直・謙虚・情熱」です。このことについては、心理学の叡智も借りながらまた次回に書かせて頂こうと。ご拝読、有難うございました。

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