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豆腐と白味噌の味噌汁、鹹水角、보쌈の日。

普段はパン派の夫から「たまには和食の朝ごはんが食べたい」と数ヶ月前にオファーがあり、それ以来週一、二回はご飯と味噌汁を出すことにしている。朝起きて昨晩から水と昆布を入れておいた鍋を火にかけ、たっぷりの削り節を加えて出汁を取る。白味噌に仙台味噌を少し混ぜて出汁に溶かし、大きめに切った絹ごし豆腐を加えて火にかけ、豆腐が出汁を吸って膨らんで来たら味噌汁の出来上がり。あとはいつもの黒胡麻たっぷりの真っ黒な卵焼きを焼き、黒米入りのご飯を茶碗によそって軽めの朝ごはんにする。午前中夫が美容室に行っている間、今年も一年お世話になった換気扇の掃除。二拠点生活をしていると当然ながら汚れの具合は一箇所に住むのに比べて穏やかになり、以前より大掃除の大変さは軽減された。でも年末の掃除を二回やるので結局同じ気もする。

近所の美容室から帰ってきた夫とバスに乗り、千本丸太町の「恵明」に点心を食べに行く。白茶の寿眉を飲みながら、もちっとした皮の食感と餡の味が素晴らしい鹹水角、プリップリの海老が上品に包まれた蝦餃、蟹味噌がたっぷりと使われた熱々の焼売、香ばしく表面が焼かれた軽めの大根餅、そして特製ソースがかかった蒸し鶏をいただき、デザートに爽やかな杏仁豆腐とジューシーなマンゴープリンを注文。聞くとご主人の尹さんと奥さんの蘇さんは常連さんの依頼で年明け二日からもう仕事始めだそうで、年末年始の休みはほぼないとのこと。本来ならば分業制の広東料理と繊細な点心作りを全て一人で行っていることを考えるとご主人の体が心配になるけど、食べた後いつも幸せを噛み締めて帰る私のような客が沢山いる訳で、複雑な心境ながらひとまず感謝していただく。

千本丸太町からバスに乗って立命館大学前で降り、三条商店街を散歩してからそのまま三条通を東に歩く。途中烏丸通りの大垣書店に寄って大阪の天神橋筋特集のあまから手帖と台湾特集のHanakoを買い、烏丸四条の地下の成城石井で家飲み用のクラフトビールを数本と大晦日に食べる出雲蕎麦、そして年始にお餅を食べる時に使う海苔を買って帰宅。今日の夕食は、表面を焼いてから低温調理しておいた豚バラ肉の塊と手作りの大根キムチ、荏胡麻の葉、そしてアミの塩辛を添えた韓国式の茹で豚料理보쌈がメイン。温めた豚肉をスライスして大きめの皿に綺麗に並べ、マッコリを飲みながら보쌈をつまむ。中高年の潤い補給に欠かせない豚肉と腸の調子を整えるキムチという韓国の素晴らしい知恵をいただいた後は、炊き立ての雑穀ご飯と、昨日韓国料理のレッスンで作った残りの干した大根の葉と干した白菜を使ったスープ우거지국で締める。食後夫がソファでホン・サンス監督の「逃げた女」を観始めて、私はその横でまだ全然把握できていない脈診の勉強をするため、以前那覇のジュンク堂で買った脈診の本を開く。毎日自分の脈をとる練習をしているけど、正直言ってよく分からない。脈が強いような気もすればそうでもない気もするし、速いような気もすれば気のせいのような気もする。死ぬまで勉強とはよく言うけど、今世のうちにマスターできるならまだ良いと思えるくらい中医学は本当に奥深い。

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