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流行物は廃り物

「流行物は廃り物」という諺がある。みなさんご存知だろうか。この諺は勿論そのままの意味である。流行るものは早く腐って使い物にならないということだ。
流行は一時代を築き上げるが、長くは繁栄しない。最近で言えば、数年前にスムージーが一世風靡した。ただ今は、タピオカに完全敗北している。海水浴も同じことが言えるだろう。まだ海水浴には根強いファンはいるが、ナイトプールという鮮やかな光を纏うと闇を持つ支配者に苦戦をしている。そんな流行物の中に「年金」も含まれることになるだろう。
先日の某会社の発表により年金制度は事実上なくなったに等しいだろう。同時に終身雇用も影が薄くなってきた。この先は自分の身は自分で守るという時代が来ているようだ。まるで明治維新が起こる前の鎌倉時代や江戸時代の日本に戻ったようだ。そう考えるとこの「年金」は、長く繁栄したひとつの「流行」だったのかもしれない。近年の日本の歴史で半世紀以上にわたり流行った制度としては、非常に優秀な流行物として考える方が美しい話かもしれない。
キリスト教によって作られた2000年という長い歴史を振り返ればこのような制度が出来上がるまでに「宗教」「権力」「皇族」の3つチカラが繰り返し世の中の主権を取るために争ってきた。もしかしたら、今後の日本をはじめ、世の中の社会はこれまで歩んできた歴史と同じような道をたどるのかもしれない。新たな「宗教」「権力」「皇族」が世を掴むのも不思議な話ではない。そう思うと歴史は深く、と感慨深いものがある。
ここまで読むとなんだか「流行」が悪いように見えるかもしない。ただ、私はそうとは思わない。なぜなら、「流行物」はその時代を生きている者でしか味わえないものであるからだ。それはひとつの「旬の味」に近いのかもしれない。食べ物には必ず旬がある。4つの季節折々に様々な食べ物があり、夏なら身体を冷やす。冬なら身体を温める食べ物が次々現れる。そして各季節に応じて必要な栄養価が非常に高いのが旬の食べ物である。ただ、旬は始まりと終わりの期間が短い。近年はハウス栽培や養殖によって1年中食べられるように進化した。今では食べ物によっては一年間通して食べられるように変化している。これと似たように次の「年金」となる制度、もしくは、異なる新たな制度は旬と表現することのないものであってほしい。そして、我々のチカラにならずに、音を立てずにパッと消えないでほしい。シュンと、ね。駄洒落です。


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