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【人体改造カラダコラム vol.38】

人体改造カブ式会社とは、札幌駅前通地区全体の健康=エリアヘルスマネジメントに取り組むプロジェクトです。38回目のコラム執筆者はシャインの三田智さんです。

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「まつりと防災」

「ほらあそこ。あそこに親父とお袋が埋まってたんだわ。」
何代にも渡り厚真町で農業を営んできたAさんがそっと教えてくれました。

 それは7月某日のこと。野生動物から農作物を守る防護柵を補修するボランティアで厚真町のある地区を訪問した時のことです。淡々と当時の状況を語るAさんは、こちらの気持ちを察したのか「落ち込んでいても周りのみんなを暗くするだけだから」と明るく振る舞っておられました。

 2018年9月6日に多くの犠牲者を出した北海道胆振東部地震から4年。すっかり遠い出来事と私たちは忘れ去っていないでしょうか。
 7月末には八月祭が数年振りに、9月には札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)防災に関するイベントが行われ、思わずこのチ・カ・ホがある中央区のハザードマップを手に取りました。

 さて今回のタイトルは「まつりと防災」。この両者には密接な関係があります。

 あるデータによると地域の祭りなどを通して常に住民同士のコミュニケーションが取られている地域では避難誘導が円滑に行われ、災害時でも被害を最小限に抑えられる傾向があるとのこと。地域住民同士の顔が見える関係が出来ていれば、避難所でのトラブルも減少するでしょうし、「近所に住んでいる〇〇さんが居ない」など安否確認にも繋がります。中には率先して避難所の運営サポートに回ってくれる住民も出て来るでしょう。

 大型台風が北海道まで来るのが常となった昨今、これまで以上に防災の意識を高めておく必要があります。もしもこのエリアに線状降水帯が長時間とどまった場合、地下鉄は勿論チ・カ・ホも水没する危険があります。普段何気なく歩いている皆様にも常に避難ルートは確認しておいていただきたいと節に願います。

 少しずつイベントも復活し、人の往来も増えて来ました。小さい子供を連れた親子、ウォーキングを楽しむお年寄り、颯爽と歩くビジネスマン、学生や車いすで移動される方。チ・カ・ホのベンチに座り、目の前を通り過ぎていく人たちを眺めていると、それぞれに人生があり、守る家族があるのだな、とふとそんなことを考えてしまいます。

 今一度、ご自宅の避難用具一式を確認することをおすすめします。訓練は本番の様に、本番は訓練の様に。そして「備えよ、常に」です。

シャイン 三田智

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