過食嘔吐人生を振り返って


摂食障害のきっかけ

2015年の夏、今から9年前。
高校2年生の時、初めて好きなアイドルのライブに行くことになり、軽い気持ちでダイエットを始めた。
今思えば、このダイエットが摂食障害を患うきっかけになったのだと思う。

ダイエット方法としては、1日の摂取カロリーを1000kcal程度に抑え、毎日軽い運動するという、ありがちなものだった。

150cm47kgだった私は3ヶ月ほどで42kgになった。
痩せたら少し可愛くなれた気がして、自分に少し自信が持てた。

ダイエットの反動

しかし、ライブが終わりダイエットをやめた途端、それまで我慢していた反動なのか、パン、お菓子をたくさん食べるようになってしまった。
せっかく痩せたのにだんだん戻っていく体重に焦りを感じたが、目の前の食べ物を我慢することはできなかった。

痩せていたいけど食べたい。
私は食べたものを吐くようになった。

初めはカロリーの高いものを食べてしまった時だけだったが、徐々に普段の食事やおやつを限界まで食べて吐くようになっていった。
しかし完全に吐き切ることはできずに体重はどんどん増え、あっという間に51kgになってしまった。

吐いても痩せられないという本末転倒な状態にも関わらず、この頃には過食嘔吐が生活の第一優先であり、やめられなくなっていた。

過食嘔吐への依存

私はついに学校を休んで1日中過食嘔吐するようになった。
朝学校に行くふりをして食べ物を買い漁り、両親が出かけた頃に家に戻り、食べて吐く。
しかし、こんな生活が長く続くわけがなかった。
両親に学校を休んでることがばれ、過食嘔吐のことも話さざるを得なくなった。

両親は怒らず、私を受け止め、病院に一緒に行こうと提案してくれた。
毎日食べる量が余りにも多いこと、食べた後にトイレに篭ることに気づいてはいたが、あえて追求せずに見守っていたことを話してくれた。

摂食障害の治療

両親と学校の協力で、治療優先の生活ができることになった。
軽い気持ちで始まった過食嘔吐だったが、いざ治そうとすると、太るのが怖い、食べるのが怖い、治したいけど治りたくないという気持ちに支配された。
私はもはや普通の食事をできなくなっていた。

両親の目があり過食嘔吐ができない状況になった私は、野菜と限られた食材しか食べないという拒食の生活を始めた。
両親の目を盗んで過食嘔吐することもあったが、体重はどんどん落ち、31kgになった。

この頃には学校に行ったとしても週に何回か、ごく僅かな時間を保健室で過ごす程度だった。
このような生活が続け、出席日数ギリギリではあるもののなんとか高校を卒業し、大学に進学することができた。

繰り返す嘘

私は、生活が変わるこのタイミングで拒食が治ってきた、食べられるようになった自分を演じるようになった。
人前では普通、もしくは普通以上に食べ、タイミングを見て誰にもバレないように吐いていた。
体重は安定せず、40〜45kgをウロウロしていた。

大学生活では、講義をサボって過食嘔吐することも多かった。
放課後に友達とスイーツを食べ、解散した後に1人で食べ物を胃に詰め込み、帰って夜ご飯も食べて吐く、ということも何度も繰り返した。
この頃には嘘をつくことや人の目を盗むことが異常に上手くなっており、両親にも友達にも過食嘔吐のことはバレることなく卒業、そして就職することができた。

就職

就職先はとても恵まれた環境で、人間関係も良く、毎日定時で帰ることができた。
就職して当初は過食嘔吐をする暇がないほど毎日色々なことが起こり、忙しくも充実した生活を送っていた。
社会人になれた安心感や同僚という新しい仲間ができたことで、心も安定していたように思う。

今思えば、この時が過食嘔吐を手放せるチャンスだったと思う。

半年ほど経ち、だんだん仕事に慣れてきた私は、また過食嘔吐を優先する生活に戻っていった。
体調不良を理由に、仕事を休んで過食嘔吐するようになった。
コロナ禍ということもあり、幸か不幸か、仕事を休みやすい状況だった。

就職したことで、今までに比べてお金があり、自分の車の中でできる過食嘔吐は、自由度が高く、より一層依存するようになった。
親にも職場にも嘘をついて私は一体何をやっているんだろう、という罪悪感や後悔を感じていたが、過食嘔吐がしたいという欲には勝てなかった。
この頃には吐くことが上手くなっており、体重は31kg位に減っていた。

しかし仕事を休み続けることにも限界があり、体調不良が続いていて出勤できる状況ではない、という嘘をついて休職することになった。
両親には過食嘔吐を打ち明けざるを得なかった。

この頃の私は、過食嘔吐に生活が支配され、自分のコントロールが効かなくなっていることを実感し、さすがに治さなければならないと思っていた。
しかし、休職して自分の時間が増えたことで過食嘔吐はどんどん悪化した。
過食嘔吐するために生きていると言っても過言ではない、依存状態になっていた。

仕事は休職期間満了後、退職した。

そして現在

過食嘔吐のせいで貯金が底をつき、収入を得るために新たな仕事を探し始まった。
しかし、職場が決まっても何回か出勤した後、過食嘔吐欲に負け、休み続けて辞める。
このパターンを何回も繰り返した。
1年で10回ほど仕事を変えた。
両親にも周りの人にも嘘をつき続け、今となっては誰にどんな嘘をついたのか思い出せない。

実のところ、今の職場は面接を受け採用が決まったが一度も出勤していない。
当然、こんな生活を続けていて過食嘔吐の費用を賄えるわけがなく、リボ払いという名の借金をすることになった。

人生のどん底でさらに底を掘り進めているような状態の私だが、できることなら摂食障害を克服したい。
今までも克服したいと思い、チャレンジしてみたが悉く失敗した。
今、改めて克服したいと思ったのには理由がある。

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