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いい会社かどうかのリトマス試験紙

日経ビジネスに興味深い記事が掲載されていました。
石川にある優良企業の自社の高齢者社員に対する労務管理の記事です。

60代をナメるなよ! ボーナス2回無期限雇用する三谷産業のホンネ
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00115/
三谷忠照社長は、「超高齢社会の日本で、社員が高齢になっても安心して働き続けられる職場環境の整備、働きがいを感じられる活躍の場の提供が会社の持続的な成長にもつながると考えた」と話した。ちなみに今回の制度設計は、創業家が所有するガソリンスタンドの運営会社で17年に定年を廃止し、それが60歳以上の社員の活性化につながったことが反映されているそうだ。

70歳雇用延長努力義務化、この対応で、いい会社かどうかわかる

4月1日から高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの雇用確保が企業に努力義務として課せられるようになります。

その会社が人本経営なのかどうか、この対応ではっきりわかるのではないでしょうか。いい会社かどうかのリトマス試験紙になるとみています。

その取り組みによって、以下の格付けをしたいと考えます。

人本経営SSランク

〇定年廃止

高齢労働者に自身の職業人生の最後の決定を完全に委ねるという最高の尊厳を与えることになります。
愛知県の西島、静岡県のコーケン工業、埼玉県のおづつみ園などがすでに実現しています。

〇定年年齢を70歳以上とし、定年後、希望すれば健康に問題ない限り全員年齢上限なく雇用

効果はほぼ定年廃止と同様となります。
岐阜県の未来工業は70歳、沖縄県の沖縄教育出版(現在の社名は株式会社eno)は80歳定年制を敷いています。

人本経営Sランク

〇定年年齢65歳以上とし、定年後、希望すれば健康に問題ない限り全員年齢上限なく雇用される

これも事実上は定年廃止といえるでしょう。
島根県のさんびる、大阪府の辰巳工業などがこのパターンです。

人本経営Aランク

〇定年年齢65歳以上とし、定年後、希望すれば健康に問題ない限り70歳まで全員雇用される

福岡県の障がい者つくし更生会、大阪府のベルなど多数の人本経営実践企業でみられます。

いい会社なら上記4択しかない

わが社は人本経営というならば、もう選択はこの四択しかありません。

企業に責任がある訳ではありませんが、年金の支給開始年齢が65歳以上になることが法的に確定しているプロセスの中で、法律で定年年齢が60歳だからということで就業規則の定年を60歳のままで据え置く企業は、もはや人本経営とはいえません。

この措置を年金支給開始年齢が完全に65歳からになる5年後までに人事制度を整えてください。

定年年齢65歳までにとどめたSランクでも、60歳到達時の基本給の賃金水準を維持し続ける措置が講じられる場合、ランクは一段上がりSSランクと評価したいと考えます。伊那食品工業がこのパターンです。

高齢者がその会社でどのように遇されているかは、後輩の若い世代の社員にとって、自身の将来像に他なりません。自分が納得できるまで働くことが出来る環境があるのだという現実は、人生の安心感を深め、会社に対する愛着や信頼を増進させ、仕事へのモチベーションも高められるに違いないでしょう。

高齢者の雇用は、人本経営においては重要な課題といえるのです。むしろ、今般の法改正を、人本経営を浸透させる好機ととらえて対応をしていかれてはどうでしょうか。

この雇用延長問題に各企業がどう対処するかということは、本当に「いい会社」であるかどうか明確でわかりやすい労務テーマだと思います。

新卒諸君は、入社時の労働条件といった近視眼的見方にならずにぜひここに注目するとよいでしょう。

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