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読書感想文4 わかりあえないことから

この本を知ったきっかけ。それは新聞の記事からです。
職場の読書好きの方から宇佐美りんさんのインタビュー記事をもらいました。
僕はまだ「推し、燃ゆ」を読んでいませんが、いずれ読みます。

その記事の中で、人生のバイブルになった本ということで紹介していました。
この作家さんの本面白いなと思った時に、その作家さんが紹介している本というのは気になって仕方ないです。
この人の一部を作った本に僕も触れてみたいと思ってしまいます。

本をたくさん読む人って、著者さん紹介本が気になることってないですかね?
きっと好奇心なのかなと思っています。


さて本題に入りましょう。

著者の平田オリザさん
劇作家・演出家・劇団「青年団」の主宰
平田のワークショップの方法論に基づいた教材が採用され、多くの子どもたちが教室で演劇を創作する体験を行っている。

言葉を使う表現の教育とでもいいましょうか、この本では子ども自身が演劇することを通して、心を成長していくことを目指してワークショップをしているようです。



この本から普段の子育ての中で、コミュニケーションする大切さや難しさを改めて実感します。


よく「ダブルバインド」という言葉が出てきました。

ダブルバインド(英: Double bind)とは、ある人が、メッセージとメタメッセージが矛盾するコミュニケーション状況におかれること。この用語はグレゴリー・ベイトソンによる造語である。

Wikipedia

2つの違う方向にかかる力に侵されること

例としてあげるなら、上司から「わからないことがあったら聞いてください」の言葉の後に、悩むことが起こり聞きにいったら「そんなこと自分で考えなさい」と言われる こんな感じのことです。


言葉通りの表面の意味と、発信者の言葉の深いところにある意味や、言葉とは違う表れていないメッセージには受信者側は困るわけですね。


このダブルバインドを知って、言葉について考えてみると反省する点は多いです。

どういう反省かというと、
僕は発信した言葉の中に「察して」感も含んで話している場面が多いと思うからです。こう言えばわかるよねー?と思いながら言葉を区切る感じです。

曖昧な表現や「〇〇のような感じ」とか言ってる時は怪しいなと思います。

なぜなら、振り返ってみると、自分が発している以上に、頭の中では色々な映像を流しながら言葉を発するので、伝わると錯覚してしまっているんですね。


職場でも「○○という説」と言ってくる人がいます。
どこかで聞いた話を「断言はできないけど そういう話らしい・・・」という意味なんでしょう。言いたいはわかります。


実際、曖昧な語尾も、省略した文章もだいたい伝わります日本人通しなら

・伝わっちゃっている
・この言い方で伝わる ことが察する力です。


なぜ伝わるかというと、シマ国でムラ単位の単一民族。多少の違いどあれ、似たような文化・思想を持っているのです。
だから、相手も似たような考えに行きつくだろう と言葉足らずでもコミュニケーションが成立してしまうのですね。

実際は「だろう」の思い込みなので全然成立してないし、不服なまま物事が進行することもあるでしょうが・・・

ここで同調圧力コミュニケーションが発生するわけですね。
「言うことを聞いてくれるよね?言ってることわかるよね?」と話し手
「これは言うことを聞いておいた方が、今はよさそうだ」と聞き手

話し手も聞き手もこのようなコミュニケーションが板についているので、無意識で察して動くんだろうなと思っています。

しかし、文明が発達し価値観の違う民族との文化の交流が増えて、今までの自分たちの普通は普通ではなかったと気付きます。

陸続きの国の文化の特徴として説明されているのが、相手の文化がどういうものか見当がつかないし、何が失礼で何が良いのかもお互いにすぐにわからない。曖昧なまま話を進めると不一致の連続で困っちゃうのです。
だから、お互いがハッキリと自分の気持ちや考えていることを伝えるようになったそうです。

エレベーターの話があります。欧米の話だったかな。
日本人はエレベーター内で一緒になっても、お互い黙っています。
欧米の人は挨拶や一言でも話します。

なぜか? それは「私は安全ですよ」の意思表示でもあるそうです。日本だと真逆なのに面白いなと思いました。
急に話しかける方が怪しいと思っちゃいますからね。


そんな真逆の価値観の人たちとビジネスするとなれば、「察してくれ」や「普通はこうする」が全く通じないですよね。


新しいコミュニケーション文化(異文化理解能力)も入れたいが日本型のコミュニケーション文化が根強い現代。

国際的に活躍する日本人が大切だとされて、コミュニケーションの課題を突き付けられる若者たちには、2つの真逆のコミュニケーション文化に侵されダブルバインドである。


著者は、そんな現代の若者たちのコミュニケーション意欲の低下をどうにかしないといけないなと活動してるようです。



子育てで注意したいこととしては、まだ言葉少ない子の気持ちを親として察することも大切です。

しかし、それが当たり前になると単語しか話さない人間になって、社会生活をする上でいずれ本人が困ってしまう可能性もあるわけです。

「今まで通じていたのに通じないぞ?」
「なぜ伝わらないわかってくれない?」
「もう通じる人とだけ話せばいいや」
では社会に出られないですからね。


親として、まず自分が言葉を使って伝えることを諦めないことと、細かく言葉を使うようなコミュニケーションを意識し子どもと触れ合いたいです。 


ベース意識として、人間は見えている世界が人それぞれなんだよ
わかりあえないからコミュニケーション取るし言葉にするんだよ
わかりあえないことから全てが始まっているんだよ

そんなことも伝えられたらいいなと思いました。



今日も読んでくださりありがとうございました。


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