アルフォンス・ミュシャ のように息づいているかのような人物を描けたら
(2004.1.1加筆)
はじめに
どの図柄にもためいきがでてしまう。しかも初見でもあっ、ミュシャだなと気づく。それだけ独自の世界。
さまざまなところで目にする。たしかに大きなポスターでみると迫力がある。堂々としていてバランスやなめらかな描線などまなびたいところばかり。
きょうはそんな話。
魅了されて
人物を描きはじめてさまざまな作家の作品を意識した。どんなふうに表現するのか。風景ばかり相手にして実際の人を描くとなると、とたんに目のまえの息づく人物を線であらわすことのむずかしさを知る。何枚クロッキーをしてもなかなか満足のいく1本の線にたどりつかない。
そんななか接した画家のひとりがアルフォンス・ミュシャ 。どうしたらこんなに優美な線をみつけだせるのだろう。たとえば衣服。まとっている衣服の布にほんわりと空気をまとうかのよう。きっとここちよいだろう。
いろどりも
衣服だけでない。装飾をこらした背景。どこか古代から中世のイメージ。たいてい背景を細密に描けば描くほど、主題がひきたたなくなりがち。ところがミュシャの手になると主題の人物と背景の装飾がマッチしてひきたてあい、相乗効果で演劇を見ているかのよう。場面を切りとってきたかのよう。
じっさいに演劇で活躍する俳優たちをとりあげてポスターなどの作品に仕上げたものも多い。劇場周辺に掲示されたようだ。たしかに宣伝効果がありそう。
シックな色調が多く、配慮のいきとどいた中間色の配置に目がなじむ。色の選択が絶妙で、ごく自然なポーズのすがたをじゃましていないし、それでいて全体の統一感。神話の世界のようでいて現代のデザインとしてとりいれてもどこも違和感がない。古さを微塵もかんじない。かといってほかのアンティークとともに絵画としてかざってもしっくりくる。
ふしぎな魅力
それだけ普遍的な世界をつくりあげている。職人的と言っていいし、じっさいに請われてしごとを得ているので、商業デザイナーのさきがけ的存在といえそう。
それにしても媚びたところなどは微塵もかんじないし、わが道をすすみどれも芸術にふさわしい「作品」。身近にどんなモデルさんや素材をおいていたのか。すばらしい俳優たちを対象にできる理想的な世界が彼の身近にあったのだろう。
おわりに
ひっこしの際に彼の作品を集めた1冊のうすい画集は手放せなかった。処分するには惜しい。機会あるごとにながめるとほかではなかなかない新鮮な発見がある。
やっぱりいつもそばにおいていたい作家のひとりにちがいない。
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