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2021夢日記 お洒落なBarと変わったアーティスト ji-jyo 5月2日


僕は今年に入ってから毎日、夢日記を書いている。過去のものは月別のマガジンをご覧ください。

昨日の夢は少し可哀そうに感じる展開だった。

始まりは初めて訪れたお洒落なBarにいるところからだった。

店内は10名ほど座れるバーカウンターと、他に10個ほどのテーブル席もありなかなか広めのお店だった。

しかし客は、1つのテーブル席に3人、カウンターに1人、そして今来た僕だけと少し淋しい雰囲気となっていた。

『いらっしゃいませ。何に致しますか?』

なかなかのダンディーなマスターがカウンターからオーダーを聞いてくる。

『とりあえず生をください。』

僕はカウンターにいた先客と2つほど離れて席に着いた。

『お待たせしました。』

マスターが手際よく生を持ってくる。

『ごゆっくりどうぞ。』

僕は少しマスターと話しをしたかったが、どうやら先客と話してる最中だったらしく、生を持ってくるとすぐ戻ってしまった。

『だからごめんな。シュウさん。これ以上この店にはいてもらえないんだ。』

『なんとかならないか? 俺はここでないとダメなんだ。』

『気持ちはわかる。わかるよ。でもこればっかりは。見てくれよこの店内の淋しさ。これじゃシュウさんに払うギャラどころか、店じまいになっちまうよ。』

『・・・とりあえずグラスとかバースプーンとか貸してくれ。』

『はい。俺は今でも好きなんだよ。シュウさんが作るアートは。でも…。』

2人のやり取りを、すました振りしてずっと聞いていた。

どうやらカウンターにいた男は先客ということではなさそうだ。
でも従業員には見えないし。話しの内容は察するに、何か、契約の打ち切りのようなものだったけど。

話が一度途切れると、マスターがいくつかのグラスやバースプーン、コースターなどを男の目の前に並べ始めた。

男はそれらを手に取り、何やら真剣な表情で慎重に重ね始めた。

10分くらいは経っただろうか。
男が何かを組み立てるまでにかかった時間だ。

僕はその間、息をするのも慎重になるくらい静かに見守っていた。

『やっぱりいいね。シュウさんのアートは。』

シュウさんと呼ばれるアーティストがカウンターの上に表現したそれはなんとも見事なものだった。

Barにあるグラスやスプーン、コースターなどを絶妙なバランスで組み立てる。一見、少しの振動でも倒れてしまいそうなのに、なんともアンバランスに見えるそのアートは、見事なまでにしっかりと目の前に立っていた。

『すごいですね。いったいどんなマジックなのですか?』

僕は話しかけずにはいられなかった。

『これはマジックでもなんでもないんだ。バランスを支配した俺にしかできないアートなんだ。』

シュウさんは得意気に、でもどこか悲し気にそう教えてくれた。

『世話になったな。もう行くわ。』

『シュウさん!これからどうするつもりなんだい?』

『俺はここ以外でアートを続けることはない。だから…この先のことは何も考えてない。』

シュウさんの悲しそうな背中が、Barの入り口に消えて行くあたりで今日は目が覚めた。

みんないろいろな事情を抱えて生きている。
こだわりと言うものは時に素敵にも見えるけど、
人生の足かせになってしまうときもあるのかもしれないと感じる朝だった。

さて、明日も夢日記を書いていこう。


【2021 4月夢日記 ~ji-jyo~】


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