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これからのディズニーとユニバの「Dxとビッグデータ」の話をしよう

Dxだのデータ活用だの、よくわからないものがよくわからないまま世界中で一方的に進められていますね。僕自身データサイエンティストでもなんでもないので"ファンとして"という目線でしか語ったことがないんですが、ちょっと前にこういった重点施策が話題となりました。

まぁこれだけ見るとおもっくそあいまいで、具体的にどうするかわかんないんですが、実際ビッグデータというものは昨今世界中のテーマパークでも注目されています。というわけで過去のちょっと気になるニュースを見つけました。

娯楽という目線で触れられたDX Potralのページです。海外ディズニーパークファンにはおなじみマジックバンドや、富士急の顔認証システムなんかにも触れられています。

また、USJなんかは人の流れを分析するためにあの手この手を使ってやっているという手法を実際に公開しています。面白いのは地磁気を使っていること。これ、おそらく場所の特定というよりずれの補正のために使っているんじゃないかなぁと。集め方も様々、活用の仕方も様々です。

さて。今日のテーマは「ディズニーとユニバを中心に今後テーマパークでどうAIやDx、ビッグデータが使われるか」です。今現在のビッグデータ手法、およびDXがテーマパークにどう使われていくのか、ということについてどんどん触れていこうと思います。それではどうぞ!

人工知能はどうパークへやってくる?

数年前にAIというものがセンセーショナルに大流行したことがありましたね。これはディープラーニングを使った技術が画像判定大会でバカ勝ちしたのがきっかけになって起こったムーブなんですが、こうしたAIがどうパークに活かされるのかというのでもっとも私が注目しているのが「万能言語モデルPaLM」です。

これは単に問題を解くだけでなく、推論やジョークを理解しながら膨大なタスクを処理できるというもので、今年大きな衝撃をもって迎えられました。これがパークの世界で何を意味するかというと、J.A.R.V.I.S.やF.R.I.D.A.Y.のように「対話」できるパークめぐりのサポートシステムや、より効果的なアトラクション/ショー選択のサジェスト(ジョークを交えながら)において使われていくのではないかと思います。ぜひスポンサーになろうグーグルたん。

また現在、テーマパークにおいてIoTを用いた効果的なシステムとして挙げられるのがディズニーの「MagicBand」です。なんですけど今年中にやってくる+も含めていまのところ進化が「インタラクティブな体験」というものに終始しているように感じます。これ以上何か盛り込むとApple watchみたくなっちゃうのでどうなるか気になっているんですが、将来のMagicBandはインタラクティブだけでなく、いわゆる「ピクシー・ダスト」のように、何かと何かをつなぐ「鍵」としての役割を増やしていくのではないかと思っています。それはジーニーだけでなく、です。

ユニバのダイナミック・プライシングはAIによって決まっていますね。あれ実際どこまで人の手が入っているんでしょうか。お股ニキさんも初代お股本でおっしゃってる通り、解釈や切り口、センスが重要になってくるデータ分析の世界のことを考えると、もし全部AIに任せてチケットの値段を短絡的に決めてるようだと球種判別の際のミスより致命的であるとも思います。なぜこの時期は安いのか?なぜこの時期は高いのか?というのを消費者だけでなく、担当者も含めてみんなで考える仕組みづくりがないといけないなぁというのを個人的には考えていますが、それは透明性が求められる一種の暴力装置であるとも感じます。なんか運営とゲストの壁と「戦場の霧」が取っ払われたらいいよね。

「だめだね」がパークに来る日

オーディオアニマトロニクスの進化についても触れておきましょう。私自身、スパイディのスタントに続くアニマトロニクスの進化は、「だめだね」などに代表されるディープフェイクのような技術だと思っています。おそらくのっぺらぼうに投影という基礎は変わらないと思うんですが、これがメインで行かされるのが実在の人物を用いた「Great Moments with Mr. Lincoin」や「ホール・オブ・プレジデンツ」のリニューアルの際だと私は確信しています。将来新しい大統領がホール・オブ・プレジデンツにやってきたときに、顔部分に使われるものの候補として肖像画からのディープフェイクがあるんじゃないかと。

ただどっちかって言うと、映像技術の発達が盛んなユニバにおいてディープフェイクがより使われる可能性があるとも思っています。スターをテーマにしたアトラクション、例えばディズニーだと「スーパースター・リモ」のようなものをユニバが作るときに、ジミー・ファロンよろしく単に映像の中にスターがばーっと出てくるだけだと味気ないので、何かこうしたマジックをかけるんじゃないかなぁとも思います。トランプ大統領のアニマトロニクスが似てない?だったらじゃあこれでいいんじゃね?みたいな。

カスタマージャーニーを広く公開するべきか?

ユニバの積極的な情報開示はイカれてる(誉め言葉)くらいすさまじいです。森岡さんの本から始まり、先に触れた柿丸さんのドリブンマーケティングの中ではカスタマージャーニーの手法まで公開されていました。ここで私が気になったのが、「ほかのパークでもカスタマージャーニーを広く記事として公開するべきか?」というものです。

例えばユニバだとゲストの類型として「とにかくライド」や「世界観でまったり」という誰でも思いつくようなものから「特定アニメファン」という明らかにUSJがセレクトショップへ脱皮していったからこそ生まれたような"狙った"ものまで、多種にわたって練られているように感じます。それと全く真逆なのはTDR。私の推測でも、「アトラク派」か「ショーパレ派」か「ターゲットがプリンセス」くらいしかつかめるものがなく、ファクトブックでも公開されてないので非常にあいまいです。これにより、ディズニーファンの間では「男の子向けの展開が欲しい!」などといった憶測からくる要望がよくタイムライン上で展開されています。

過去に私は「双方向」をテーマにした記事の中でこう書きました。

こうした「改善案」は、双方向の信頼に対する強烈な「北風」になりやすいと私は考えています。実際にゲームを作っているのは私たちプレイヤーではなくプログラマーやデザイナーです。彼らに伝えたいならば、彼らがこれを聞いているかどうかを確実にしてから伝えないといけないと思っています。彼らの「機能に込めた意図や"なぜ"」を読み解かないと安心は得られないかもしれませんが、わたしたちエンドユーザーは身勝手なデバッカーではないのです。「過剰な"カイゼン"」を求めていないかが、ネガティブな流れにならないかのカギを握ると思います。

カスタマージャーニーを公開して双方向の信頼を得るのが、すべて正義なのか?ということに対する私の答えは、上にある通りです。お互いがお互いの情報を知りすぎないようにすることが、もしかしたらヒントになるかもしれませんね。

個人のデータがパーク活用に使われる日

ビッグデータにおいてよく焦点に挙げられやすいのはパーソナライズ化されたもの。年齢や性別、個人の趣味、趣向といったものまでさまざまです。おそらくこれがパークにおいて、将来いつになるかわかりませんが来園した時の"リアルタイム"意思決定選択につながってくるのではないかと思います。

賛否両論を呼んだ「ディズニー・ジーニー」ですが、このシステムでも「来園者のビッグデータを使った意思決定サジェスト」がなされていますよね。それが将来、「趣味趣向も加味したもの」に変わっていくのではないかと個人的には思います。ほぼ間違いなく、カスタマージャーニーを含めて。

今のところジーニーのやろうとしていることは非常に驚嘆しています。あんなに正確なサジェッションをするとは、あんなにオンタイムでいろんなことが公式からわかるようになる時がくるとは、と。しかしながら、それはおそらく「自分だけの体験価値」を持たざる時代がいつかやってくるのだとも思います。上に書いたことはそれをカバーするための施策かもとも思っていますが、時代の変化ととらえるか、危機的状況とするかはあなた次第。

何をもって「活用」とするか?

ここまで様々なことを書いてきましたが、思い出すのは「アプリ体験がどこまで活用されているか?」です。TDRもUSJも一長一短なので、すべてにおいてパーク生活を豊かにするものであるかどうかは意見が分かれるとも感じます。そしておそらく、「スマホ中心(特にかつてあった"キャンセル拾い")のパーク生活」になることによって、本来テーマパークが持つプロップスの面白さと込められたストーリーにより気づきにくくなっているという本末転倒な事態も起こっています。

私自身これには非常に危機感を持っていて、というよりインターネットの台頭そのものによってテーマパークや万博の存在意義がなくなってきつつあるというのもあり、デジタルの融合というより悪魔合体じゃね?という気持ちになっています。ほんとうにそれでいいのか?というのはありますが、それはビッグデータやDxにおいても同じです。何をもって活用とするのか?は、やはり人々それぞれの主観が入ってしまうと思います。

もしかしたら真価は、あなたのそばにあるのかもしれませんね。

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