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地獄温泉ミュージアムが伝えたいメッセージとは?

地獄温泉ミュージアムは2022年12月オープンに向けて、順調に建築が進んでいます。最後まで大きなトラブルがありませんように…と願うばかりです。

さて、チーム全体として、今最も注力し議論を重ねているのが、各体験コンテンツの精査です。ほぼ内容は決まっているのですが、もうひと工夫、どのようにしたら楽しんでいただけるか、新しい気づきを得ていただけるか、細部にわたって検討を重ねていかなければなりません。

そこで大切なことが、そもそもどのようなことを発信するミュージアムなのか、いわゆるコンセプト的なお話になります。これについては着想した2年前からチーム全体でずっと考えて共有しながら、丁寧に言葉を整理していきました。

何度かnoteでもお話しておりますが、アカデミックだけのミュージアムにするつもりは毛頭ございません

僕自身が、別府という地域でどのような役割をお預かりしているか、そんな僕だからこそお伝えできる、納得感のあるメッセージを組み立てていけたらなと考えていました。そこで、本記事は地獄温泉ミュージアムのコンセプトワークについて綴っていきます。

温泉を地獄と称すること

地獄温泉ミュージアムでは、温泉に関する文化的な価値を新しい切り口で発信し、多くのゲストと共有していこう、ということをミッションに企画設計を進めてきました。温泉の価値と自分なりに向き合った時に、外せないのが温泉=“地獄”という概念です。

1000年以上前は温泉を温泉と捉えられず、とってもやばいもの、仏教における地獄のようだと人々は恐れていました。それが先人達の努力で価値を見出され、僕のご先祖様は景勝地として進化させたのです。自然と人々の営みが交わる、まさに文化ですよね。

現代は人工掘削により湧出される温泉が大多数を占めますが、地獄と呼ばれた温泉は自然発生的に人々の目前に突如として現れたからこそ、最初はこの世のものとは思えない恐るべき存在として捉えられたのです。

言い換えれば、「地獄は温泉が自然の恵みであることの象徴」。この逆説的な考えこそ、僕が興味を持って多くの人と共有したいと思い始めたきっかけでした。

僕は温泉=”地獄”という概念は、別府温泉の多様性を表していると考えています。とってもやばいものが、文化的なものに進化していく。その過程では人々の試行錯誤があり、試行錯誤の数だけ文化が生まれる、源泉数の多い別府はまさに多様な温泉文化が育まれる環境にありました。地獄が恵みへと昇華していくプロセスに、別府温泉の本質的な価値があると考えています。

湯けむりたなびく別府温泉の街並み

50年後の未来へ継承する

企業を継承した人は、誰しも次の世代にバトンを渡すことを第一の使命として経営に取り組むでしょう。海地獄を経営する僕は、未来に企業を継承することは当然のことながら、地獄という自然資産を次世代に残すということも、自分の使命だと感じていました。ちなみに温泉が変わらずあり続ける為に最も重要なのは、水の存在です。雨が地下で温められると温泉になるので、いかに雨水が地下に染み込みやすいか、その中で受け皿となる森の存在もまたとても重要になってきます。

以前、父からこの海地獄が今でも変わらず湧き続けているのは祖母のおかげ、という話をされて、とっても感慨深くなったことを覚えてます。祖母は海地獄近辺の森林保護に積極的で、温泉にとって最も大切な水資源の確保に功を成した、というお話なのですが、僕は祖母と会ったことがありません。祖母からしたら、見ることのなかった孫が活躍する、そんな未来を守ったのです。

別府の温泉は、雨が地下のマグマ熱で温められ、50年の歳月をかけて熟成されて地表に現れる貴重な資源です。

この50年というのが絶妙ですよね。想像できそうで想像できなさそうな未来。自分が生きていそうで、生きているか怪しい未来。もしかしたら見ることのない孫が活躍している未来。温泉をお預かりする事業者はこの絶妙な50年後の未来を必ず意識しないといけないのです。サスティナブルな気持ちで温泉と誠実に向き合っていくことが、これからとても大切なテーマになると考えているのですよね。

「地獄温泉ミュージアム」ティザーサイト大公開!

人々との営みと交わる中で地獄から多様な価値が見いだされ、そしてこれからは、この貴重な資源を50年後の未来にも変わらずあり続けるように、サスティナブルな気持ちで更に多様に価値を見出していきたい、そんな想いをぎゅっと濃縮して言葉に整理しました。

温泉に対して愛があったから、長らく共存できたのだし、愛があるから、これからの未来も考えられるのです。地獄温泉ミュージアムに訪れた全ての人と共有したい、そして訪れることで共有できるメッセージです。

さて、本質的なメッセージも決まったところで、本日ティザーサイトがめでたく公開されました!お時間ある時に是非ご覧ください。

“温泉がもっと愛おしくなる”ために、温泉の価値と向き合うキーワードが、「有限性」「貴重性」「多様性」「持続可能性」であり、それぞれを実感できる素敵なフロアが4つに分けて構成されております。
ぐふふふ。ワクワクするでしょ?(え、しない..?)

これらの具体的な内容については、また次回の記事でお話させて頂きたいと思います。(というか、まだ細部を詰めに詰めてる真っただ中なのです)
本記事で、地獄温泉ミュージアムが皆様と共有したいものを、少しでもご理解頂けたら幸いです。

ここまで長文をお読み頂き有難うございました。地獄温泉ミュージアム、ぜひご期待ください!

そしてInstagram(@jigoku_museum)のフォローもお願いいたします!


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