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6/29 ニュースなスペイン語 Salto masivo(2):大量柵越(2)

先週金曜日、メリジャ(Melilla)で発生した大量柵越(salto a la valla)を巡り、ついに、国連(ONU)からのお叱りが入った。

徹底的な、独立した、透明性のある調査(investigación "exhaustiva, independiente y transparente)を直ちに(inmediatamente) 開始せよ――。

国連からのこうした要請を受け、昨日、スペインの検察(Fiscalía del Estado)も、事の「影響の大きさと重大性に鑑みて(ante trascendencia y gravedad)」、調査をはじめることを決定した。

20数名とも30数名とも言われている人々が何故、命を落とさなければならなかったのか――。これが争点だ。

①10数メートルの柵のてっぺんから落ちたためなのか(caer de la valla)
②逃亡の混乱(estampida)のためなのか
③国境警察隊の何らかの行為の結果なのか(alguna acción de los agentes de fronteras)

①と②ならば柵越を試みた移民たち(inmigrante)、③ならば国家にそれぞれ主な責任(responsabilidad)があることになる。

犠牲者の遺族は③、スペインとモロッコ両政府としては①ないし②で決着させたいところか。もし③ならば、それ相応の賠償責任が発生しかねない。

この種の調査には、往々にして、様々な利害関係の思惑が働く。だからこそ、国連の言う「徹底的な、独立した、透明性のある調査」が必要なのだろう。

時まさしくNATO(OTAN)首脳会議がマドリードで開催中のこの時期に、スペインとしては面倒な問題を抱え込んでしまった。本当は100%安全で、外交の得意なスペインをアピールしたかったところだが、ミソがついてしまった。

閑話休題。ジョー・バイデン(Joe Biden)米国大統領は28日、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相と会談し、スペインは「必要不可欠な朋友(socio indispensable)」と述べた。ハイデンからこんな言葉を引き出せたのは、昨年の「苦笑な会談(un ridículo encuentro(6月24日の記事を参照))」を思えば、飛躍的な進歩だ。

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バイデンサマを独り占めにできて、朋友としても認められ、笑顔がこぼれるサンチェスだが、手放しで喜んでもいられない。というのも、アンダルシア州カディスにあるロタ米国海軍基地(Base Naval de Rota)に、駆逐艦(destrucdor)2隻を新たに配備しなければならず、そのためには、乗組員約600人の増員を飲まなければならないからだ。すでにスペインはアメリカの駆逐艦を4隻保有しているので、これで合計6隻、1800人の兵員を抱えることになる。

大量柵越の調査の行く末は?「必要不可欠な朋友」であり続けるためには、今後、何をしなければならないのか?いろいろ課題が山積している。

写真はモロッコ当局が掘ったとされている墓穴(fosa)。柵越事件で亡くなった、身元不明の遺体を当局が埋め始めているとも言われている。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220628/fiscalia-muertes-valla-melilla/2385742.shtml など