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12/11 ニュースなスペイン語 Reforma de Código Penal(1):刑法改正(1)

ここ数日、メディアで取り上げられている話題なので、ずっと気になってはいたのだが、あまりにもデカいテーマなので尻込みしていた。

ただ、この度、素人にも分かりやすい解説記事が出たので、これを元に、概要を抑えておこう。

改正案を巡っては国民党(PP)は猛反発。

そして、極右政党のボックス党(VOX)からは、改革の旗振り役の首相ペドロ・サンチェスに対して、不信任決議(moción de censura)がちらつかされている始末。

さてと……。改正のポイントは以下の5点。

① 不当な私益(enriquecimiento ilícito)の厳罰化
② 横領罪(malversación)の減刑措置(rebajar la pena)
③ 内乱罪(desórdenes)に対する新規定(nueva regularización)
④ 憲法裁判所(Tribunal Constitucional)の裁判官の任命
⑤ 労働者の権利の保護(Blindaje de los derechos de los trabajadores)

①はスペイン社会労働党(PSOE)とポデモス党(Podemos)が推し進めている改正。

スペイン語で「enriquecimiento ilícito」とあるのは、直訳すれば、「違法に豊かになること」。

公的な権力を持つ者(autoridades públicas)が不当に職権を濫用して、私服を肥やすことに対して、6ヶ月〜3年の懲役、不当な利益(beneficio)の3倍の罰金(multa)、そして、2年〜7年の公的資格の停止(inhabilitación)が課せられる。

②はカタルーニャ共和主義左翼(Esquerra Republicana de Catalunya;ERC)の提案。

ERCはこの改正を「外科手術的(quirúrgica)」としている。刑法にメスを深く入れるイメージだろうから、日本語の「抜本的」に当たるか。

利益目的(ánimo de lucro;profit motive)がない公金横領は減刑する(rebajar la pena de prisión por malversación si no existe "ánimo de lucro")――。

何回読んでも分からない。

利益目的がない横領ってあるのか。しかも、①の厳罰化と矛盾しないのか。

一方、個人ないし第三者の利益につながる場合は、懲役2年〜8年(entre dos y ocho años de cárcel)、そして、最大20年の資格停止(hasta 20 de inhabilitación) を課すことを提案している。

改正の中身は、ちょっと分からないこともあるが、概ねこんな感じ。

で、この提案をERCというカタルーニャ州の政党が行うところが、実は、ミソ。

というのも、この改正案が可決されると、2017年10月1日、同州の独立を問う住民投票を違法に実施し、横領罪などで起訴されているERCのリーダー、ウリオル・ジュンケラス(Oriol Junqueras)とか、国外にいる元知事カルラス・プッチダモン(Carles Puigdemont)らが、無罪放免(dejar sin efecto)になるかもしれないのだ。

こうした結果が予見されるにもかかわらず、ERCの提案を政府が認めるということは、違法な住民投票から5年、国がカタルーニャ州の政治犯たちを赦すことを意味する。

③〜⑤は稿を改めよう。

なお、今回の刑法は改正と言っても、ただの改正ではない。多くの見出しで、「reforma exprés」とある。つまり、「超特急改正」。特急ゆえの拙速な改正にならないように。

写真は天秤。ローマ神話の女神ユースティティア(ギリシア神話ではテミス)が持っているアイテムのひとつ。「正義」の象徴。でも、もうひとつのアイテム「剣(「力」の象徴)」がないのはなぜだろう・・・。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20221209/claves-reforma-expres-del-codigo-penal/2411351.shtml