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3/2 ニュースなスペイン語 Luz natural:自然光

全ての病室は、少なくとも部屋面積の10分の1に相当する自然光が入らなければならない(Todas las habitaciones tendrán luz natural de al menos 1/10 de la superficie de la habitación)

マドリード州の「1986年2月11日法令(La Orden de 11 de febrero)」には、上記のような規定がある。

これは、ある医療施設を病院と見なすための要件のうちのひとつ(requisitos para que un centro sanitario se considere hospital)。

この度、マドリード州の厚生局(Consejería de Sanidad)が、新たな法改正案(borrador)で、この自然光規定のハードルを下げる(rebajar)方向で調整している(plantea)ことが明らかになった。

自然光についての要件を削除するというわけではなく、あくまでも、その義務性を取り除く方針(elimina obligatoriedad)。

緩和表現の「(自然光がある方が)望ましい(preferentemente)」という文言が追加されるという。

自然光が患者に与える影響という観点から、くだんの変更が妥当なのかどうか、小生には分からない。

しかし、もっと深刻と思われるのが、看護師(enfermero;enfermería)の病床(cama)に対する設置割合(el/la ratio)の変更。

1986年施行の冒頭の法令では、30床までの病院では1病床あたり0.2人、45床までの規模では0.15人だったが、この度、新法の草案では1病床あたり0.13人に減員されている。

日本は患者ベースなので、単純比較はできないが、ちょっとググってみると、一般病院では患者3に対して(准)看護師が1人というのが医療法の定める基準らしい。

ということは……

日本の数字の表し方に揃えると、新基準では、マドリード州は10病床あたり看護師が1.3人ということになる…のかな。

仮に1病床に1人の患者がいるとすると、患者10人に対して看護師が約1人という計算になる(日本にも同様の比率の病院はあるみたいだが)。

「本件に関してはノーコメントです(No comentamos borradores)」と、現在のところ、厚生局の情報筋(fuentes)は沈黙している。

ところで、マドリード州は国民党(PP)が牛耳っているので、国政では与党のスペイン社会労働党(PSOE)やポデモス党(Podemos)は、同州では野党(oposición)扱い。

曰く、新法の草案は病院の「品質基準(estándares de calidad)」の引き下げだと批判している。

写真はイメージ。

ちなみに、本文に出てくる「割合」を意味する「ratio」は、実は、性が揺れている名詞。

もっと正確に言うと、語源的には、女性名詞なので、アカデミアの辞書の見出しには女性名詞として載っていて、女性名詞として使うことが奨励されている。

でも、-oで終わってることから、男性名詞で使うこともある、という具合。

今回参照した記事には、3つ「ratio」が出てくる。

1回目は女性名詞として使っている。これはアカデミアの顔を立てた感じかな…。

で、残る2つは男性名詞。

まぁ、バランスは取れている。

もうひとつウンチク。

同じく本文に出てきた「法令」を意味する「la orden」は女性名詞。でも、男性名詞「el orden」は「順番」という意味になる。

こちらは、性が揺れているのではなくて、しっかりと、性によって意味が分かれている名詞。

日本語にも定着した「オーダー(order)」と同語源だが、日本語では「オーダーお願いします」では「注文(=命令)」だが、「野球などのスターティングオーダー」では「スタメンの打順(=順番)」。

同じ形を文脈で解釈し分ける。

スペイン語の名詞の性は、とかく、学習者には、評判が悪いが、このようなケースでは、性が役に立つ(と思うのだか)。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230228/madrid-borrador-luz-natural-hospitales/2428508.shtml