見出し画像

10/23 ニュースなスペイン語 Mesas más largas:より長い食卓を

この度、2021年度レオノール王女賞(Premio Princesa de Asturias)の授与式がアストゥリアス州で行われ、ホセ・アンドレス(José Andrés)をはじめとした著名人たちに、賞と賞金が贈られた。

ちなみに、レオノール王女は現行の国王夫妻(フェリペ6世(Rey Felipe VI)とレティシア王妃(Reina Leticia))の長女で、正式名は「アストゥリアス女公」、つまり、現国王の現時点での第一位相続人を意味する。

アンドレスは9/24の記事でも紹介した、国際的炊き出し隊、「ワールド・セントラル・キッチン(World central Kitchen)」の創業者であり、主宰者であり、一流の料理人でもある。これまでに、自然災害などによる被災地に赴き、炊き出しを行い、飢えている人たち(hambrientos)を救ってきた活動が評価された。カナリアス諸島州の噴火(la erupción)が発生してから、わずか、3日後には、現地入りし、炊き出しを行った。

ワールド・セントラル・キッチンは2010年に設立して以来、スペインの国内外を問わず、約6000万食の食事を無償で提供してきた。アンドレスは、今回の賞金(importe)の一部を、すでに、カナリアス諸島の被災者たちに寄付(donar)している。

そんなアンドレスのことばには含蓄がある。

タイトルのことばも授賞式に彼が述べたもので、「世界は」から始まる。「より高い壁なんかではなく(no muros más altos)」、「より長い食卓が必要だ」とする。どこかのかつての大統領に聞かせてやりたいことばだ。

ハイチ(Haiti)からプエルトリコ(Puerto Rico)など各地を回ってきたが、長旅(el periplo)は「恐らく、ここ、アストゥリアスから始まった」と同地出身のアンドレスは述べた。

私は両親や看護師たちを思い出すが、かれらは、他人を助けるために、自分たちの仕事の境界をいつも超えていた。大人になったら、自分も料理人になって少数でも良いから食料を与えよう、しかし、同時にみんなに栄養を与える力を持とう、ということを子供ながらに理解した

また、アンドレスは、次のようなことばも残している。

人々が望んでいるのは、実は、我々の炊き出しなんかではない。彼らが望んでいるのは、我々が彼らを尊重しているという実感なのだ(la gente no quiere nuestra limosna, sino nuestro respeto)。

哀れみからの行動ではなく、人としての尊厳を最大限に大切にするー。そして、どこまでも野心的だ。

賞を頂いたことは、大変光栄だが(me siento honrado)、しかし、だからと言って、我々の活動を終わりにしていいわけではないし、そんなつもりもない(eso no significa que podamos o vayamos a ponerle freno a nuestra labor)。

10/21の記事で、スペイン人を特徴づけることばのひとつに「利他主義(altruismo)」があると紹介した。また、「気前の良さ(generosidad)」もスペイン人の特徴のひとつだ。また、ここに、本当のスペイン人らしいスペイン人を見つけることができた。

写真は受賞演説を行うホセ・アンドレス。