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悩み抜いたそのさきに。転職で見つかった、自分が本当にやりたいこと。

みなさんこんにちは。ジブン研究編集部です。
「仕事」について悩んだことがない人はきっといないのではないでしょうか。
本当にこの仕事を続けていきたいのか、自分にはこの仕事が向いているのか。
決断したくても、不安で決断できない日々に悩む人も多いはず。
でも、そんな時こそふと立ち止まってみれば、今後自分がどうしていきたいか見つかるかもしれません。

日常生活の中で感じる違和感や疑問についてオープンに語り合える場を、当事者との対談形式で実施するオンラインイベント「Original Life Talk」。今回は高畑純(たかはた じゅん)さんに、お話を伺います。

第16回「転職-立ち止まって見えたもの-」どうぞ、お付き合いください。

高畑純(Takahata Jun)
株式会社メディカル・マジック・ジャパン / 統括本部長 第一秘書
『前職』キリンビール株式会社 横浜工場で14年間 製造ラインに従事
代表取締役であり、産業医の平野井啓一先生と共に、『産業医が活躍しなくてよい社会』を創るため、活動中。
【経歴】
高校卒業後、工事関係や建築営業の仕事で社会の厳しさと悔しさを経験し、運良くキリンビール株式会社へ転職。当時契約社員として採用されたが、コツコツと積み重ねた努力が実り、2016年全社対象で行われた『製造部門稼働率向上改善提案』にて社長賞を受賞。その努力と功績が認められ2017年キリンビール株式会社の正社員へ。製造ラインの責任者として延べ300人の部下の指導にあたる。2021年9月退社。

最初の仕事から得た気づき

(原田)高畑さん今日はよろしくお願いします!早速ですが、質問をしていきたいと思います。高畑さんは一番最初の仕事はどんなことをされていたのですか?

(高畑)これといってやりたいことがなかったんです。見つけられないまま学校を卒業し、とにかくお金を稼いで遊びたいな、好きな事がしたいなと漠然と思っていました。
結果、給料の条件だけで選んだ建築現場で働くことにしました。
配管工事の会社で、給料はよかったのですが、きついし、毎日怒られるし、夜遅くまで仕事しないといけない環境でした。
お金を稼ぎたい気持ちだけでやっていたので、気持ちが追い付かなくなった瞬間があり、24歳の時にガタンと落ちて、転職を考えるようになってきました。

(原田)そうだったんですね。落ちた後の回復はどうやってしていきましたか?

(高畑)少しでも今の職場環境を変えたい気持ちで、とあることをやってみることにしたんです。それは、積極的に、目上の人に挨拶をするということ。「おはようございます!」「ありがとうございます!」と大きな声で、自分から伝えるようにしました。そうしたら、周りの方から好かれるようになりました。加えて、仕事がすごくやりやすくなったんです。コミュニケーションを自分から積極的にとりにいくことで、人や環境は変わるんだ、と学びました。それでも、長時間労働や過酷な重労働といった基本の土台は変わっていないから、やっぱりこの仕事はきついな、と思ったので「もっと向いてる仕事があるんじゃないか?」とふと思い立ち、営業会社に入社することにしました。

僕の場合、自分の得意が見えたタイミングで転職できたのが回復に繋がったのかもしれません。落ち込みもしましたが、コミュニケーションで人は動くんだと学んだこともあり、この学びを活かしてこれから働こうとワクワクしていました。

得意を仕事にしてみたけれど、挫折。そして大企業へ。

(原田)自分の得意が見えてからの転職だったのですね。その後はどんなことを?

(高畑)転職先は建築の営業でした。地主さんに良い土地活用をしようという営業です。自分のコミュニケーション力があれば良い契約をとれるはずだと期待をしてました。けれど、現実は全然うまく行かなくて。
「また来たのか、ふざけてんのか!」「ばかにしてんのか!」と訪問先で怒鳴られたり、水かけられたり。自分の期待していた「営業」とは全く違ったんです。
当時は、コミュニケーションをとることすらもできなかったです。玄関にも入れてもらえず会話もしてもらえない。自信を根っこから叩き潰されてしまいました。
結果、1ヶ月で訪問先のインターホンを押せなくなってしまいました。でも、会社には報告しないといけない。そしたら、嘘をつくようになってしまいました。
「営業に行ったけど、できなかった」と。当たり前ですが、6ヶ月でクビになってしまいました。人生で一番の挫折で、自信は打ち砕かれました。

(原田)営業が向いてると思って頑張ってみたけれど、理想と現実のギャップと、思っていた以上のきつさがあったんですね。クビはすごくショックだったと思うのですが、どうやって持ち直したんですか?

(高畑)一番の挫折だったのですが、学んだこともあって。自社の商品の良さについてものすごく勉強をしました。でも、営業は商品ではなくて自分を売ることです「自分でなければ ならない理由」をつくる事が大事だと学びました。とはいえ、だいぶ落ち込んだので、1ヶ月程家から一歩も出れなかったんです。これからどうしようと悩みすぎて、ギャンブルに走ってしまった時期もありました。そんな時に、たまたまキリンビール株式会社の新聞広告を見ました。大企業だし、自分は学歴も実績もないから無理だろうと思ったのですが、面接を受けることにしました。
緊張して当時のことはそんなに覚えていないのですが、現場を見ての率直な印象を素直に話していたら、結果、契約社員として入社することができました。
「また職が手に入った、しかも大企業!」ということでとても嬉しかったです。無我夢中で、自分らしく頑張ろうという気持ちで取り組みました。

(原田)3社目で大企業に転職されたんですね。そこからはどんな感じで働いたのですか?

(高畑)働き始めてから、少しずつ気持ちが落ちていく時期がありました。正社員になりたいと思って続けていましたが、契約の立場上、自分をアピールするのが難しかった。アピールする場もなく、これじゃ正社員にはなれないと思ったのですが、これまでの会社で学んだことを思い出してみたんです。「コミュニケーションが人と環境を動かすんだ!」ということと、「自分でなければ ならない理由」をつくろう、と思い出しました。まずは、仕事仲間と会話をする協調性を身につけ、知らないことを聞く、伝える、を徹底しました。
自分だからこそできる仕事をやるために、不人気な設備に注目しました。不人気な設備とは、やることが細かくて間違いやすい装置、管理がよく分からない為、メーカー委託している機械。いわゆる皆が嫌がる装置の事です。正社員がやらないことをコツコツとやりました。「みんなが知らない事だからこそ価値がある」と信じてやりました。

やり続けた結果、35歳の時にある転機が私に訪れます。それはキリンビール全工場でこの不人気な設備のリニューアルが開始されたんです。設備が新しくなった影響で以前とは仕様が異なってしまい製造ラインではトラブルが多発し、製造稼働がうまくできない状況に陥ったのです。そんな時、コツコツやってきた知識が実を結び、トラブルの原因と改善へ導くことが出来たんです。その功績が認められ、表彰されることになりました。契約社員としては異例で、社長賞をいただくことができたのです。入社10年目にして、やっと正社員になれました。もちろん運もありますが、やっていたことが報われた瞬間でした。

大企業から3度目の転職。「天職」と出会う。


(原田)それはとても嬉しいですよね。契約から正社員に!そのまま在職すれば、年収もあがるような組織にいたのに、またそこからなぜ転職を?

(高畑)産業医の平野井先生(現在高畑さんが働いている会社の代表取締役)に、このタイミングで出会ったのが大きかったです。仕事やプライベートの悩みを話していた時に、真剣に耳を傾けてくれたんです。その頃の僕には、正社員になったからこそ見えてきた悩みもあって。チーム作りでの人間関係、キャリアプラン、働き方改革……。いろんな問題が見えてきて落ち込んでいたときでした。
そのとき、平野井先生に、「天職ってわかる?やりたいこと、できること、社会が求めてること、その3つが重なることが天職だよ」と言われたんです。
僕にとっては衝撃でした。仕事って、生活の為にいやいやでもやるものだと思ってたから、やりたいこと、出来ること、社会が求めてること、そんな仕事があるんだ、と。

キリンビール株式会社でそのまま正社員でいれば、収入も肩書きも良くなる道筋はみえてたけど、「ここまでしかいけない」というのも見えていた。でも、そこで満足できるか考えたら満足できないな、と思ったんです。やりたいことではなかったから。

恩師、平野井先生と。

転職をした先の自分だからこそ貢献できることを想像する

(原田)とはいえ既にあるものを手放すのは怖いですよね。今までのものを手放す選択に不安や怖さはなかったですか?

(高畑)転職をした3回とも、同じ気持ちでした。めちゃくちゃ怖かったです。なんで怖いんだろうって考えたら、自分の意志で、自分が持っているものを初めて手放すからなんですよね。立場、プライド、考え方、環境。転職を考えるということは、目の前の「なにか」が嫌だから考えるはず。新しいことに挑戦するのが怖いのかなと思っていたのですが、手放すことが怖いんだと気づきました。でも、必ず残るものがあって。それは、「経験」なんです。転職は、手放すから怖い。でも、経験は残る。転職は、すべてを手放すわけじゃないって伝えたいです。転職をすることは、「成功は約束されていないけど成長は約束されている」と思います。そして必ず過去の自分より前へ進めると私は信じたい。
(原田)転職に対して高畑さんはすごく向き合ってきたのが伝わってきました。

(高畑)転職に対しては、するまでは安定しないという悪いイメージがありました。でも成長の為なんだとわかったんです。嫌だなあって思ったら、いつでも転職していいんだなって。余裕をもちながら仕事をすればいい。これでだめなら転職すればいいって。
ただ、僕は「転職をしましょう!」と勧めている訳ではありません。この仕事が嫌だなと感じた時に、自分に余裕があることが大切だと思っています。選択肢があることで、立ち止まって選べる!そんな時には違って見える現在もあると思います。

転職や変化を迎えつつある人へ


(原田)最後に、転職や自分の人生の変化を迎えつつある人へメッセージをお願いします!

(高畑)転職って、ある側面から見れば、逃げるみたいでためらう人もいると思います。お世話になってるところを離れることになるし、裏切りみたいなイメージもあるかもしれません。とはいえ、自分の人生でやりたいことをやる選択とどちらが大事なのか、と思うのです。転職して自分の成長のために必要な転機としてとらえて、成長して、また違うかたちで今いる会社に貢献できたらそれでいいんじゃないかとも。実は、僕は前の会社が大好きだからこそやめたんです。大好きな会社の仲間に、違う側面で貢献できたら、と思った。

自分で選んだとしても、いつでも転職してもいいんだって視野を広く、今の仕事に向き合って良いと思います。肩の力を抜いて。


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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

「転職」という選択肢に興味のある方、少し立ち止まってみたい方、自分の今後の仕事について考えてみたい方へ届いていたらとても嬉しいです。

ジブン研究は、今後も様々なテーマで当事者の方へインタビューを実施する予定なので、ぜひ引き続きご覧ください◎

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