K. -h. I.

本業は固体物理学の実験屋です。最近、アマチュア無線に復帰しましたので、それに関して書き…

K. -h. I.

本業は固体物理学の実験屋です。最近、アマチュア無線に復帰しましたので、それに関して書き綴ってみたいと思います。

マガジン

  • TS-820V(S改)のレストア

    TRIO (Kenwood)の無線機TS-820V(S改)をレストアしました。

  • カーボン釣り竿直接給電アンテナに関する考察

    近頃話題になっているカーボン釣り竿直接給電アンテナについて、理論的に考察し、シミュレーションを行いました。さらにアンテナを試作して、このアンテナの可能性について論じました。

  • 上級ハムを目指す人へ

    第2級アマチュア無線技士(2アマ)の無線工学の基礎問題を、高校物理と高校数学の範囲で解いてみる試みです。

最近の記事

Making a digital negative with GIMP

The digital negative has been extending possibilities of alternative photography. It is a transparent film printed with an inkjet printer. The advantage of the digital negative depends on the tone curve to fit the properties of the sensitiz

    • 真空管アンプ第2号

       「はじめての真空管アンプ」という記事を投稿したのは、もう1年ほど前のことになります。何事も一度ハードルを越えてしまうと、今まで見えてこなかった世界が見えてくるものです。前回作成したのはトランスレス用の真空管50EH5を使ったもので感電や漏電の危険があるので、今回は真空管機器用のトランスを使って、また、出力トランスも一回り大きなものに変えて音質向上を図ってみました。 今回使ったのは、6X4という整流管と、6005Wという5極管です。6X4は秋葉原のラジオデパートで箱入りのも

      • 同軸コリニアアンテナを作る(その2)

         前回の記事ではスタブの調整をしているときに、このままでは目的の周波数に共振しないおそれがあるために中断しました。そこで、位相整合部(1)を作り直すところからやり直しました。  短くするのはできても長くするのは大変なので、位相整合部(1)を380mmとして作り直し、スタブを外してnanoVNAで特性を測ってみました。 これなら大丈夫かなと、スタブを取り付けて測定しました。 今度はいきなり共振に近づきました。全体としてはまだ容量性なのでスタブを10mm縮めて測定したら次のよ

        • 同軸コリニアアンテナを作る

          同軸コリニアアンテナは、1/2波長の同軸ケーブルを互いに逆位相に接続することで、水平面には無指向性ながら打ち上げ角を低くして指向性利得を稼ぐアンテナです。同軸コリニア研究会のサイトに行けば詳細な作り方が載っているので、この説明に従ってこれまで何本か作ってみました。しかし、説明に腑に落ちないところがあったので一度自分なりに整理してみると、nanoVNAを利用することで簡単に性能を出すことができることがわかりました。2m用の3段同軸コリニアアンテナを作成しましたので、その概略を紹

        Making a digital negative with GIMP

        マガジン

        • TS-820V(S改)のレストア
          4本
        • カーボン釣り竿直接給電アンテナに関する考察
          4本
        • 上級ハムを目指す人へ
          16本

        記事

          詭弁は見抜ける(その3)

           私が『解放社会学研究 35』に発表した論文に対する「反論」動画について、全く「反論」になっていないことを見てきました。特に重要なことは、論文の核心をなすところに関して全く触れず、自分の動画ではしれっと「訂正」をしてさもつじつまが合っているようにしていることです。このことを見るために、動画中で表示されている箇所を黒線で囲ってみました。 タイトルと「はじめに」 「2 「アイヌ民族否定論」への影響 「5 論理の破綻」 「5 論理の破綻」、「6 多分野にまたがる攻撃」 「

          詭弁は見抜ける(その3)

          詭弁は見抜ける(その2)

          前回は、的場塾第32回のうち特にわかりやすいところについて指摘しました。論文の内容に対する批判ではなく、詭弁によって論文の印象を下げようとしているだけに過ぎません。第33回でようやく論文の内容について「反論」を言っています。例によって先に動画を観てしまうと詭弁に引っかかるおそれがありますので、あとでゆっくり味わってください。 ふざけたタイトル画面をよくみると「アイヌ 稲垣准教でも分かる」とあります。准教は准教授の間違いだとして、その前の「アイヌ」というのは第32回の説明書き

          詭弁は見抜ける(その2)

          詭弁は見抜ける

          2022年に発表した論文『DNA解析と「アイヌ民族否定論」:歴史修正主義者による先住民族史への干渉』(解放社会学研究 35)は、ダウンロード数が1万8千回を超え、本業の固体物理学(特に低次元系)ではとても考えられないほど多くの方々にご覧になっていただきました。もちろん最初から内容などまともに読む気がなく、ただケチをつけるだけの人もいることでしょうが、自分の観察範囲ではこの論文によって新しい動きがいくつか生まれています。そのうちの一つともいえるのが、同紙の最新号(第37巻)に、

          詭弁は見抜ける

          学生時代の挑戦

           書棚を整理していたら、学生時代に受けた第2級陸上無線技士の試験問題が出てきました。結果は残念ながら科目合格。有効期限はもう30年以上も前に切れていますし、これを最後に無線従事者の試験を受けていません。問題には書き込みも残っていて、苦戦した跡が伝わってくるようでした。私は応用物理学科に進み、固体物理学で学位を得ることになるのですが、この試験を受けたときにはもちろんそんな将来が来ることを微塵とも想像していませんでした。  応用物理学科でも電子工学の講義は必修だったし、大学院の入

          学生時代の挑戦

          100均「ON AIRランプ」で遊ぶ(その2)

           先日、100均「ON AIRランプ」で遊ぶという記事を投稿しました。TS-820の送信時に外部VFO端子に出てくる電圧を利用して光らせるというのは簡便で良いのですが、やはりアマチュア無線家らしく、電波を検出して点灯させてみたくなります。しかし、そんなに難しくないとたかをくくっていたのが大間違いで、試作品はまったく使い物になりませんでした。最終的にできた回路図を示します。 この回路は高周波をダイオードで検波して、トランジスタをスイッチングさせているだけです。この検波回路を動

          100均「ON AIRランプ」で遊ぶ(その2)

          科学の否定、あるいは断末魔の叫び

          先日、記事の一部を切り取って内容を改変する手口という記事を投稿したら、さっそく反応がありました。 曰く、「何故、アイヌに縄文人のDNAが一番多いかは何度も的場塾で説明されているのですけどね。」とのこと。そして、的場塾第60回のリンクが示されています。 「学者・研究者が言えない」という言いまわしは陰謀論でよく見ますね。真実なるものが隠されていてそれを知っているのは自分だけだという印象を与える決まり文句です。  科学を含む学問の営みにおいて大事なことは、それぞれの学問はその方

          科学の否定、あるいは断末魔の叫び

          100均「ON AIRランプ」で遊ぶ

           hamlife.jpに「<全国の「Seria」で販売スタート>100円ショップで買える! ミニサイズの「ON AIRランプ」が話題に」という記事が掲載されてから、このランプを手に入れたという報告やら電波が受信できたときだけ光るような改造をしたやら、盛り上がりを感じます。私は流行りものには弱いのですが、たまたま入手することができましたので、まずは電池を入れて点灯してみました。 外見の雰囲気は良いのですが、光が均一に届いていないので少々不自然です。まずはここから改善を試みます

          100均「ON AIRランプ」で遊ぶ

          記事の一部を切り取って内容を改変する手口について

           2022年6月に『DNA解析と「アイヌ民族否定論」―歴史修正主義者による先住民族史への干渉』についての補遺という記事を投稿しました。この記事では、ある医師が、分子人類学者が書いた書物から引用する際に一部を省略することによって引用内容とは逆の結論を導き出したり、引用の要約と称してあたかも自説が引用元に書かれているかのようにすることを通じて歴史的事実を歪曲する手口を紹介しました。さらに、この医師が書いた方法を用いて、当時の道議会議員が議会で「アイヌ民族否定論」を公言したことも紹

          記事の一部を切り取って内容を改変する手口について

          VX-8Dに秋月電子のGPS受信機(AE-GPS)を接続する

           Standard (ヤエス)VX-8Dは50/144/430MHzに対応したハンディトランシーバーで、APRS機能も標準装備されている高機能なモデルです。しかも純正オプションのGPS受信機を取り付けることができます。しかし、現在ではこのGPS受信機を手に入れるのは難しく、ネットオークションを探してもなかなか見つかりません。この無線機を手に入れたときにはAPRSに興味がありませんでしたが、先日の記事で書いたようにTNCのROMをUIDIGIに差し替えてAPRSのデジピーターと

          VX-8Dに秋月電子のGPS受信機(AE-GPS)を接続する

          APRSに挑戦(その2)

           無線機とPCを接続してAPRSが使えるようになったことを前回の記事で書きました。とはいえ、PCを1台占拠させるのは仰々しいので、TNC (Terminal Node Controller)を手に入れて、ROMを差し替えることでAPRSの機能をもたせることにします。IW3FQG Marco Savegnago氏によるUIDIGIというファームウェアが公開されていますので、今回はこれを用いることにしました。  実はこのためにTasco製のTNC-220をネットオークションで手に

          APRSに挑戦(その2)

          観測王DS-8706の画面キャプチャ―

          岩通のデジタルストレージオシロスコープDS-8706にはRS-232C端子から画像データを出力する機能があります。ただ、古い機種なので、取り込むためのソフトウェアをどうするかという問題が解決しなければなりません。BMPファイルならデータのフォーマットが簡単なので、Pythonで読み込むプログラムを書いてみました。 # Iwatsu DS-8706 Screen Copy via RS-232C# 2024 Feb. 27 by K. Inagakiimport serial

          観測王DS-8706の画面キャプチャ―

          U/VHF FM機が来ました

           APRSのためにオールバンド・オールモード機を占有するのはもったいないので、2mFM機で適当なものを物色していました。ネットオークションを眺めてみると、意外といい値がついているのはやはり需要があるからなんでしょう。そんな中で全く入札されていないICOM IC-2300がありました。外観も悪く、付属品も揃っていません。最低入札価格を入れてみたらそのまま落札してしまいました。  商品が届いて開封してみると、いかにも使い込んで埃まみれの無線機と、自作のコンデンサーマイクが入ってい

          U/VHF FM機が来ました