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経理がキャリアアップしたいなら、ぜひ身につけておきたいスキルや経験

JAPAN FASの人材紹介事業部の俵家です。
ベンチャー・スタートアップ管理部門への転職をお手伝いさせていただくという仕事柄、現役の経理の方とお会いする機会が多々あるなかで、順調にキャリアアップをされている方には共通点があると気づきました。
いったいどんなスキルや経験があれば、ご自身の納得がいくキャリアがつくれるのでしょう。

この記事では、5年後・10年後を見据えてキャリアアップを目指す現役経理のみなさまに向けて、転職支援させていただくなかで発見したことをお伝えできればと思っています。
お読みいただき、キャリア形成に役立つヒントをつかんでいただけたらうれしいです。

※本記事中では「キャリアアップ=年収アップ・市場価値の高い人材になること」と定義します。


1.持っていると有利な資格

知識や経験を目に見えるかたちにしておくと、人事異動や昇格、そして転職活動の際、有利にはたらくことがあります。

1-1.簿記

いざ経理の仕事を始めたいとなったとき、必要な資格の代表的なものが「日商簿記検定」、通称「日商簿記」です。
経理の実務とは、日常仕訳をおこない、B/S(貸借対照表)やP/L(損益計算書)といった財務諸表を作成します。簿記を学習すると、財務諸表作成に必要な知識が得られます。

3級、2級、1級とありますが、未経験で業務を始めたい方は最低限3級の資格を有していることが必要です。
また、求人票に「歓迎スキル:簿記2級」と記載している企業は多いので、2級取得を目指すとよいでしょう。
1級を取得すると、経理リーダークラスやマネージャークラスへの転職の際、有利にはたらきます。

1-2.米国公認会計士(USCPA)

アメリカの各州が認定する公認会計士資格です。試験はすべて英語で出題されるものの、日本の公認会計士試験と比べて取得難易度は低めです。グローバル企業で働きたい方へおすすめしたい資格です。

1-3.公認会計士・税理士

取得難易度が非常に高い国家資格であり、取得すれば周りとの差をつけられる資格です。とくに、公認会計士は重宝され、独立開業もしやすくなります。ひとつ難点として、資格取得までに平均2~4年ほどかかるようです。

4年間働きながら学習時間を捻出するのは現実的じゃないな‥‥と思われた方は、税理士試験科目の「簿記論」「財務諸表論」を学ぶのはいかがでしょう。
「簿記論」は、日商簿記1級に相当すると言われており、経理のスペシャリストを目指したい方にとっては保有するメリットが大きいです。
「財務諸表論」は、仕訳の意味合いを学ぶものなので、学習すると簿記に対する理解が深まります。

2.キャリアアップのカギを握るスキルと経験

キャリアアップのカギを握るスキルと経験をご紹介します。ここに載せたものは企業側が求人募集要項で「歓迎要件」として求めていることが多く、経験の有無がまわりとの差別化につながりやすいです。

2-1.月次決算、年次決算

経理の即戦力として最低限求められるスキルが、月次決算の経験です。「応募資格」や「必須要件」に載せている企業も多く、一人で決算を締めることができれば、ステップアップを目指せます。
さらに年次決算の経験まであれば数多くの求人に応募可能となるため、転職先の候補が増えるでしょう。
税務申告書を作成できるほどの知識や経験は必要なく、顧問税理士と相談しながら決算を締めることができれば充分です。

2-2.開示(有価証券報告書)

上場企業が投資家へ向けて提出する書類(=開示書類)は、金融商品取引法によって定められています。「有価証券報告書」「四半期報告書」「決算短信」などの開示書類の作成経験があれば、転職活動が優位に進められ、キャリアアップも望めます。
多くのスタートアップ・ベンチャー企業が、開示書類の作成経験がある即戦力人材を探しています。人材不足も相まって、マネージャーとして迎え入れられることが多く、ポジションも年収も上げることが可能です。

2-3.連結決算

会社が成長して大きくなると、子会社の設立が増えます。そこで必要となってくるのが、連結決算のスキルです。子会社の財務諸表を合算させて、連結修正をおこない、連結財務諸表まで完成させる。この業務ができることは、キャリアアップへの近道です。
とくにスタートアップ・ベンチャーでは、上場後にM&A(Mergers and Acquisitions)のイベントが発生することがしばしばあるため、連結決算の経験がある方が非常に重宝されます。

2-4.語学力(英語)、IFRS

大企業に限らず、世界市場に目を向けるスタートアップ企業が増えていることもあり、英語が扱えると有利になります。「英語を扱える」の基準は企業によって異なりますが、TOIEC800点は目指したいところです。
弊社が紹介する求人はスタートアップ・ベンチャーが中心ですが、TOIEC650点以上を目安にされている企業がありますので、英語が抵抗なく扱えればチャンスはあります。

国際会計基準「IFRS」を導入検討する企業も増えてきていることから、英語力×IFRSの導入経験がある方の市場価値は今後ますます高まるだろうと予想されます。

2-5.ITスキル 

スタートアップ・ベンチャー界隈の話になりますが、さまざまなシステムやツールを組み合わせて効率的に業務をまわせるスキルをもつ方が、今後さらに重宝されることでしょう。
労働力人口の減少が見込まれる日本国内において、人手が足りない部分をシステムでカバーしてうまく労働力を補填できるようなスキルは、非常に重要になってきます。


3.経理のキャリアの選択肢

経理の方が歩む代表的なキャリアパスの例をご紹介します。

3-1.経理スペシャリスト

財務会計を中心にキャリアを歩んでいくルートです。チームのマネジメントをおこなうような責任ある立場で、おもに決算や開示書類の作成を担います。連結決算やM&A後のPMI(Post Merger Integration)などもこなせるスキルが備われば、まさにスペシャリスト人材だといえます。

3-2.管理部長(マネージャー)

財務会計を軸に経験を積み、管理部門業務をジェネラルにこなすキャリアです。労務や総務、法務などの幅広い知識を持ち、管理部全体をマネジメントします。
経営陣との距離が近いポジションなので、「将来的には経営層の一員として働きたい」とお考えの方は、選択肢のひとつとして考えてみてもいいのではないでしょうか。
企業規模によりますが、IPOを目指すスタートアップやベンチャー、上場後のベンチャーでは非常に重宝される人材で、ジェネラリスト志向の方にはおすすめのキャリアパスです。

3-3.経営企画

経理スペシャリストが数字を組み立てる仕事を担うのだとすると、経営企画とは、組み立てた数字をどう経営に活かすか? を考える仕事で、予算作成や実績管理、中長期経営計画の策定、新規事業戦略の考案、M&Aの推進などがおもな業務内容です。
「経営企画」の名称のとおり企業経営の舵取りのような役割をするポジションのため、経営層の一員としてキャリアを積みたい方は、チャレンジされてみてはいかがでしょう。


3-4.独立開業

経理業務の外注に寛容になってきた近年では、経理支援サービスや経理代行業務を請け負うフリーランスとして開業する方が増えています。
公認会計士や税理士などの国家資格保有者でなくても、独立し、複数のスタートアップやベンチャー企業の支援をおこなうというキャリアの選択肢が持てるようになってきているようです。ただしその場合、スタートアップ・ベンチャーでの勤務経験や実績が必要とされます。


4.キャリアアップ成功の実例紹介

20代・Oさん

中小企業で3年間、月次・年次決算を経験したのち、1人目の経理スタッフとしてベンチャー企業へ転職。
ベンチャーで決算業務に携わりながら、監査対応や開示書類の作成などIPO準備も経験。
社内での評価も高かったことから、入社2年で転職前に比べて年収が1.5倍以上に。

20代・Hさん

新卒で大手上場企業へ入社。管理会計を中心に経験を積んできたが、「財務会計中心のキャリアを積みたい」と考え、従業員100名規模のベンチャーに転職。
転職から2年で決算業務を任せてもらえるようになり、大手企業時代と変わらない水準まで給与アップ。
現在は、経理リーダー候補として順調にキャリアを築いている。

30代・Rさん

大手上場企業でひととおりの決算・開示業務に携わった後、経理マネージャーとしてベンチャー企業へ。
2年間IPO準備を経験し、管理部長候補として別のスタートアップ企業へ転職。30代前半ながら「経営に携わりたい」という希望を叶えた。

終わりに

経理の方がキャリアアップを目指すには、着実に経験を積んでいくことが重要だと思います。あたりまえのことでは? と思われるかもしれませんが、ポイントは「着実に」ということ。
月次決算は年に12回、年次決算は年に1回しか携わるチャンスがありません。経験を着実に積むことで、経理としての価値があがり、ポジションも年収も上がっていきます。

経理のキャリアアップは他職種と比べて容易である、と個人的には思います。そして、将来さまざまなフィールドで活かせる汎用性のあるスキルを得られることが、経理職の魅力だとも思っています。

いまの環境で、できるかぎり業務の幅を広げる。会計の知識を学ぶ。
そのように取り組んでみても、
「このままでいいのか?」
「成長が鈍化しているのでは?」
と思いはじめたら、転職という選択肢があります。

終身雇用で、1社でキャリアを終えることがあたりまえの時代は、終わっています。ご自分のキャリアを見直してみるのはいかがでしょうか。

JAPAN FASでは、ベンチャー・スタートアップの管理部門に特化した転職のご支援をしています。まずは約1時間の無料オンライン面談であなたのキャリアのご相談に応じますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。


そのうち転職しようかなと思ってはいるけど、エージェントって‥‥どうなんだろう? とお考え方は、こちらの記事で情報収集されてはいかがでしょうか。エージェント利用するメリットについて、俵家が語っております。


お読みいただきありがとうございました。


文:Keisuke Tawaraya
企画・編集:Yui Osawa

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