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内在性解離を持つ僕たちが生きやすくなるライフハック

直也です。

人格 (以下「パーツ」) の入れ替わりが起きると、記憶や気分に一貫性を保てなくなることが多い。

やろうとしていたことに集中できなくなったり、やりたかったことが変わってしまったり。
そもそも何をやる予定だったかすぐには思い出せなかったり。完全に忘れてしまうこともある。

そこで僕たちは自分で自分に報連相し、苦手なことは考えなくてもできるようにする仕組みづくりを施した。
これはパーツ間の情報共有を可能にし、協力体制を構築することに役立っている。

まだまだ模索中の面もあるが、僕たちが実践する3大ライフハックを紹介したい。

内在性解離を生き延びる3大ライフハック

朝食のメニューは固定にする

僕たちは毎朝、ハムチーズトーストを食べてからその日の活動を始めている。
その日の空腹度合いや気分にとって、ヨーグルトやチョコレート、スコーンがつくこともあるが、ハムチーズトーストだけは固定だ。

これには3つのメリットがある。

  1. 頭と、朝の貴重な時間を使わなくていい

  2. 作ったおかずを忘れずに済む

  3. どのパーツでもそこそこの量の朝食にありつける

ひとつずつ詳述する。


メリットの1つ目。
朝から頭と時間を使い、いたずらに消耗するのを防ぐことができる。寝ぼけていようが疲れていようが、両手を半自動的に動かして一定の品をつくり上げることが可能だ。
毎朝「今日は何食べようかな」から始めていると、このメリットはなかなか得られないと思う。


メリット2つ目。
僕たちはよく、前日のうちに「明日からの朝ごはんに……」と作っておかずの存在を忘れる。
というのも、昼間におかずを作っておいてくれるのは亜麻だが、翌朝起床するのは亜麻ではなく、おかずの存在が記憶に定着していないからだ。

結果、別のものを食べ終えてからおかずのことを思い出したり、数日間忘却をくり返した後に、夕食として慌てて掻っ込んだりすることになる。
亜麻にも食べ物にも申し訳ない。

そこでバリエーション豊かな朝食は捨てて、メニューを固定してしまうことにした。気が向いたものは昼か夜に食べればいい。


そしてメリットの3つ目。
基本的に、起床時は僕が表に出ていることが多い。
そして僕は食への興味が薄い。

だが空腹にはなるので、遅かれ早かれ何かを食べる必要には迫られる。
この時にメニューが固定されていると、「何を食べるか」という検討をショートカットしていきなり朝食づくりに取り掛かることができる。
つまり、朝食に対するハードルが下がるのだ。

興味の薄いものに対して集中力を発揮するのは難しいし、「考えるくらいならお菓子でいいや」と手っ取り早く済ませてしまったりするので、これは僕にとって非常に重要な仕組みである。
少なくともチョコ菓子よりは、ハムチーズトーストの方が栄養があるだろう。


ToDoリストは前日のうちに用意しておく

僕たちは箇条書きのToDoリストを愛用している。
と言っても特別な道具があるわけでもなく、百均の小さいノートに「やること」を箇条書きしているだけだ。

「やること」が済んだらチェックマークをつける。
小さな達成感を得るためと、「終わりましたよ」をパーツ間で共有するためだ。

このやることリスト。僕たちは夜のうちに翌日のぶんを書いておき、机の上に出しておくことにしている。
理由は、睡眠をとるとパーツの入れ替わりが起きやすいからだ。

「監理者」が翌日やろうと思っていたことを、僕はじめ他のパーツがすべて記憶しておけるとは限らない。

結果、必要な連絡が抜けてしまったり、思い出すのに時間がかかったり、間際に気づいて焦ったりすることが何度か発生した。これでは他人に迷惑がかかってしまう。

もちろんバレットジャーナル的な、朝のゆるやかな時間に今日のタスクを整理するライフスタイルはかっこいい。憧れる。
……が、僕たちには夜やる方が向いているので仕方ない。朝は忙しいことが多いので、良い意味で諦めた。

僕たちにとってタスクは「すぐやる」か「リストにメモしておく」かのどちらかだ。
タスクが発生したら都度メモするようにし、夜寝る前に机の目立つところに置いておく。メモしてあれば比較的すぐに思い出せる。
翌朝起きたら、表に出ているパーツがタスクをこなせばいい。

この方法で、ずいぶんタスクのやり逃しを防ぐことができるようになった。

パーツたちが納得して協力しあえる環境を整える

最後に、最も大切なことを。

パーツたちが協力体制を築きやすい環境づくりは、上で挙げてきたすべてのライフハックの土台だ。
「協力しよう」という認識と意図を共有できてこそ、ToDoリストも機能する。

具体的には「トラウマケア」「解離」「内在性解離」などの心理学・医学・精神医学的な知識を多少仕入れることである。
体系化されつつある知識群は、自分という未知なる人間を客観的に理解する強力な手がかりになりうる。

自己解決型の僕たちは本を読み漁ることで、「解離は精神を守るために起き、分かれたパーツたちは主人格を守るために活動している」という知見を得ることができた。

この一文に出会ったことで、パーツたちそれぞれが「今までの自分(とあいつ)の行動は、主を守るためだったんだ」と気づくことができ、「より良い形で主を守る」という動機のもとに協力体制を築くことができている。

僕たちに役立った本をいくつか挙げておく。

上はより客観的で専門性の高い本。
以下は個人的経験に近いものである。

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ひとつ注意がある。

医学的には解離と付き合う当事者とその周囲の人への注意点として「解離の世界に入りこみすぎないこと」というものがあるようだ。

僕は当該の状態になったことが(おそらく)ないので詳しいことは分からないが、一定の距離感を保っておくことが必要な人もいるということだろう。

そこで解離に惹かれる方が上のような本を読む時には、ご自身の心身の状態に注意していただくようお願いしておく。
また解離を診られる医師はまだ少ないと聞く。もしも受診を考えておられる方がいたなら、あなたに合う医師に出会えることを祈っている。

忘れてしまうことは恥ずかしくない

主がパーツたちの存在に気づくまで、一貫性のないことが主の悩みだった。

昨晩の憂鬱が、翌朝にはどうでもよくなってしまう。
あの切迫するような辛さを思い出せなくなってしまう。思い出せないことは軽視される。
あれは本当のことだったのに。

今なら分かる。「辛い」も「どうでもいい」も本当のことだ。
単に睡眠によってパーツの入れ替わりが起き、気になる物事が変わっただけのこと。

感情も悩みもやるべきことも、忘れてしまうことは悪くない。
実際は「忘れた」のではなく「その感覚を持ったパーツが内に引っ込んだ」だけだと考えているからだ。
後でまた出てきたら、「それ」を思い出せるかもしれない。

覚えておく必要のあることは、パーツたちと協力体制を築いて共有し合う。
そうすれば誰かが忘れても、メモや「みんなで納得したいつもの流れ」を手がかりに思い出すことができる。

自分ですべてを覚えておけることだけが「できる人間」の条件などではなかった。

それぞれに合ったやり方で生き延びていれば、それが充分にすごいことだと思うのだ。


まとめ

  • 朝食のメニューは固定して、眠くても、頭が働かなくても、何歳でも(どのパーツでも)一定のものが食べられる仕組みを作る

  • ToDoリストは前日のうちに用意する。済んだら印をつけて終わったことも明確に。

  • 協力すると主人格をより守りやすくなると思う。必要ならば(自分にとって大丈夫な範囲で)解離やトラウマケアについて調べてみよう




直也

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