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アンチヒーローが弱さを見せる時

先日、テニスのウィンブルドン選手権の男子シングルス決勝が生中継で放送されていたので、真夜中観ていた。

37歳のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と21歳のカルロス・アルカラス(スペイン)と昨年と同じ対戦だったが、アルカラスが3セットで勝利し、2年連続2度目の優勝を果たした。
 
ウィンブルドンは言わずと知れたテニスの4大大会の一つで、格式が高い大会だ。

ジョコビッチは、グランドスラムのシングルス部門で最多優勝回数記録を保持し、史上最強のプレイヤーという声もあるテニス界のキングだ

テニスファンであればご存じの通り、彼は、ブーイングする観客に悪態をつくなど、ヒール役としても知られている
 
かたや、対戦相手は、ハタチを過ぎたばかりの愛嬌のある青年。会場の声援はスペインの応援団もいたようなので、圧倒的にアルカラスに向けられていた。
 
それでも、ジョコビッチは、準優勝者として表彰された時のインタビューで、あのギラギラした感じが抜け、相手や相手のチームをたたえ、家族への感謝や愛情を示し、柔和な一面を見せた。昨年の大会で、5セットまでもつれこみ、敗れたときは、記憶が朧気ではあるが、涙もあった気がするが、今年は3セットで完敗ということもあり、悔しさというか、あの強気の姿勢から、少し弱さも垣間見えた気もする

そして、話が飛んで、トランプ前大統領。彼は銃撃された後は、ヒーロー的に扱われているが、知的リベラル層や”良識のある人”にとっては、ヒール役としての役回りが多かった
 
11月の大統領選を控え、共和党大会が今週開催されているが、そこにトランプ大統領が銃撃後初めて登場し、話題になっている。その内容は、彼がいつもより柔和に見えるというものだ。弱さとは違うが、あの尖った表情はなく、毒気が抜けたように見えた。
 
一回死ぬかもしれない経験をすると人の価値観は変わる」とトランプ氏の態度や表情の変化を分析する記事すらあった。
 

私はいつも、ヒール役というかヒーローの反対側にいる人に関心を抱いていた。彼らは、ヒーローの影に隠れて、嫌われ役ではあるけれど、裏側にはきちんと感情もある。おそらく、心の弱さも持っているだろう。それでも、表には見せずに、強がっているようにも見える。そのギャップに惹かれてしまう。
 
ジョコビッチ選手とトランプ氏を並列にするのはどうかとは思うが、今週2人の姿をみて、重ね合わせる自分がいた。
 
2人に共通する点は、絶対的な強さを持っているが、人としての柔和さ、優しさを鎧で隠していた部分なのかな、なんて勝手に思っている。

そういうアンチヒーローだったら、人間味があって、いいのではないか、と感じる1週間だった。

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