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29年 〜1.17に寄せて〜

阪神・淡路大震災から29年。
震災当時は神戸に住んでいた。
私はまだ子どもだったし、出来ることも少なくて、復興に大きな思い入れがあるわけではないけれど…。

仕事で出会う若い人たちの中には、阪神・淡路大震災を知らない、まだ生まれていなかったという世代も多い。

ああ、私はもう、若い世代ではないんだ。
四半世紀を超えるほど昔の、教科書に載るような大きな出来事を、知っている世代になってきたんだ。

震災とは違うけれども、かつての戦争を知らない若者がどんどん増えていった頃、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんはどのように感じていたのだろうか。



指輪の内側に刻印を入れる。
このアナログな刻印機では、アルファベットと数字を入れることができる。
左手のレバーを下げると、固定された指輪の内側に小さな針が触れる。右手のレバーで円盤の文字をなぞると、それと連動して針が動き、指輪に文字が刻まれるという仕組み。

まだ不慣れだった頃は、力加減が分からず文字を深く掘り過ぎてしまったり、また文字をなぞり終えた後にタイミング良くレバーを上げられなくて、よけいな線を刻んでしまったり…
そんなことも、今では懐かしく思う。

細かい文字や漢字やロゴマーク、スキャナーで取り込んだイラストまで彫ることができる「レーザー刻印」が主流になった今でも、私はこのアナログさを失いたくない。



数百本、数千本、たくさんの指輪に日付を刻んできた。
それはたとえばパートナーや家族の誕生日であったり、結婚などの記念日であったり、その人にとって大切で特別な数字を。


止まらない時間の流れがあって、皆それぞれに特別な日を持っていて、幸せな一瞬を永遠にしたくて刻印を入れるけれども、良い時ばかりが続かなかったりする。

それでも私たちは、時間を積み重ねて生きるしかない。これまでの29年も、これから先の29年、30年、その先までもずっとずっと、ずっと。


画像引用元https://zexy.net/s/mar/manual/ring_info/kiso_chigai_article5.html

※このnoteは過去にShort Noteに投稿した記事に加筆修正したものです。

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