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【創作帯付レコード Vol.3】Taylor Swift / RED (Taylor's Version)

 個人的なプロジェクトとして、アナログレコードの帯を自分で新たにデザインする、創作帯活動をしています。レコード帯とはなんぞや?という方のために簡単に説明します。




レコード帯とは?


 レコード帯とは本来、レコード屋などでアルバムの特徴を説明する広報の補助媒体として1950年代後半からぐるりとタテに巻いて、アーティスト名やアルバム名、収録曲や特徴を説明するものとして付録されてきました。いかに買ってオトクかというのを、レコード会社の広報部デザイナーがレタリングに凝ったり、コピーにこだわったりと、四苦八苦して販売していた形跡が当時の雰囲気を伝える側面と、現代までそれが残されているものは逆にレコードの保存状態の高さを表すものとして、高いレアリティを有無側面もあり、国内だけでなく海外でも高い人気を誇っています。


創作帯:テイラー・スイフト / レッド


「共感を呼ぶ詞とメロディーで人々に熱狂を与える、女性トップ・カントリー・シンガー、テイラー・スイフトの最新アルバム」
斜めからのショット
裏側


テイラー・スウィフトとの出会い

 テイラー・スウィフトというと、皆どういうイメージを持っているんだろう?

 名前だけ知ってる人からしたら、とにかく今世界で一番売れてる歌手で、スキャンダルな話題にも事欠かず、アメリカのティーンにとにかく人気があるらしいね、海外で売れてるだけじゃないの?、そんな印象の方が多いんじゃないだろうか?

 一方ファンの方からすれば、とにかく今の次代を代表するスーパースター、新曲はかかさずチェック、どのシングルB面の曲までもすべて頭に入ってる、彼女ほど素晴らしいライヴ・パフォーマンス見たことない、仕事に恋に頑張る彼女って素敵、四六時中寝ても覚めてもテイラーのことが頭から離れない……そういうスウィフティーも少なくないだろう。

 自分にとってのテイラー体験は、かなりいびつだった。そんな奴いる?と言われるかも知れないが、はじめて買って聴いたアルバムが「Folklore : The Long Pond Studio Sessions (RSD限定リリース2LP)」だった。本当に。

Folklore : The Long Pond Studio Sessions

 レコード・ストア・デイで通販サイトが盛り上がってる中、リリース予定のジャケットを見ていて気になるものをチェックしていたときに目に入ったのがこのレコード。
 定価8,000円以上のアルバムでとてもお買い得とは言えない価格だったし、ものの数分でどのサイトでも売り切れてしまったけれども、ジャケットが醸し出す雰囲気と、人気歌手の比較的プレーンな一発撮り、シンプルなレコーディングと聴いて、悪くないだろうと思って買ったこれがスマッシュヒット。
 アコースティックな音作りが自分の好みとマッチして、ライヴ・レコーディングゆえに息遣いまでスピーカーから聞こえてくるこの作品で、それまで抱いていたテイラーのイメージが一気に覆された感じだった。

 売れに売れた「シェイク・イット・オフ(邦題:気にしてなんかいられないっ!!)」程度しか知らなかった自分にとって、音楽界のトップ・ランナーがこんな世界まで持って持ち得ているの?!とショックを受けたきっかけであった。
 その体験以降、テイラーの道程を探る旅が始まり、初期のカントリー・シンガーとしてのキャリアスタートから、「1989」でのシンセ・ポップ期、「Lover」の優しさと強さの共存、「Folklore」のコロナ期に一人ひとりに訴えかけるようなアコースティックなアプローチ、「Midnight」のキャッチーなエレポップまで、アルバムごとに新しいアプローチを続ける彼女を知るたびに「そりゃこんなに世界中にファンが多いわけだ」と思わずにはいられなかった。というわけで、自分もすっかりテイラーの魅力に引き込まれたファンの一人になっていたのだった。


テイラーは現代の◯◯◯◯?!


 ここまで説明したのは、自分がテイラーのことを尊敬しているファンの一人であることを理解してもらいたかったから。自分は音楽評論家ではない。ただレコード帯の純粋ないち作家でありたいと心から願う善良な市民だ。

 しかし、ミュージシャンの心魂こもった作品に帯を巻くという行為は、音楽を分析するということに近い行為であるため、異論を呼ぶ可能性もある。作品(帯のことネ)として世に出たものならば、そのくみ取りは鑑賞者に委ねられるし、正解も不正解もない。
 それはまさにアート・芸術の世界。作品は鑑賞者を映す鏡であり、捉え方は「自由」でしかない。(←言い過ぎやろ自分♪)

 そういった前置きを分厚くしてまで、この帯で言いたいことは極論だ!という意見も多いかと思ったため、自己防御をしっかり設けたわけです。

 で、結局何が言いたかったんだ!
はっきり言えよ、前置きが長げぇよ!といった意見までも出てきそうですので、実に端的に言い切ってしまいましょう……


 テイラー・スウィフトは現代のジョニ・ミッチェルなのです!


 シーン。 (あ、反応うすそう)


ジョニ・ミッチェル=ブルー、 テイラー・スウィフト=レッド


 今を遡ること10年前、ジョニ・ミッチェルとキャロル・キング、カーリー・サイモンを題材とした伝記本「Girl Like Us」の実写映画化の話がニュースになった。その本は、個性あふれる3人の女性ソング・ライターの物語を描いたものだったが、あるきっかけでその映画プロジェクトは挫傷に乗り上げたことになった。
 その理由が、ジョニ・ミッチェル役にキャスティングの候補に上がったのがテイラー・スウィフトだったことに、本人がNGを出したからだった。
 もっとも、ジョニはそれだけでなく、本の内容が信憑性がないということも語っていたのだが。欧米メディアでは、このキャスティングボードが発表されてから大々的に報じていた。テイラー自体は、この件に対してコメントなど出してはいなかったが、女性シンガーソングライターの先駆けであるジョニに少しきつめのお叱りを受けたような形となり、悔しい思いを持っていたのではないだろうか。

 奇しくも、このときにBig Machineより出ていた最新作が「RED」。ジョニの代表作「BLUE」と対を成しているように見えるのは、偶然だろうか。


ジョニ・ミッチェル/ブルー


恋多き女たち


 ジョニ・ミッチェルといえば、若かりし頃より数々のミュージシャンとの浮名を流してきたことでもよく知られる。ジャコ・パストリアスとの蜜月の日々には、協働した諸作品が現在でも名盤として高い評価にも結びついている。同じくテイラーもまた、著名ミュージシャンやアスリートとの恋愛をオープンにしていて、失恋をきっかけとした歌詞づくりなどで話題に事欠かない。
 ジョニがキャスティングにNGを出したのは、決して当時のテイラーがティーン向けのポップ歌手だったからではなく、「私の方なんか見ていないで、あなたはあなたなんだから」という親心に近い気持ちでテイラーに返事したつもりだったのではないだろうか。

 歴史にifはないことに違いはないけれども、もしこの映画化が実現し、テイラーがジョニ・ミッチェルを演じていたら、彼女の音楽は今聞けるものとは違うものになっていただろうか? そんな想像を掻き立てるような帯デザインになっていたら、わたしは嬉しく思う。



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