蕁麻疹と過ごした数年間は大変だったけど無駄ではなかった話(5)
合同会社JC1の小林柚香里です。前回の続きです。ステロイド離脱を心に決めた私は、薬に頼らない代替療法を片っ端から調べました。
「サイボーグ」になってステロイド離脱に成功
色々調べた代替療法の中で「絶食療法は食べないことで健康になれる」という逆説的理論が、元来あまのじゃく気質を持つ私の琴線に触れました。試しに一度、1日絶食してみたら、蕁麻疹が少し落ち着いた気がしたのです。
主治医にそのことを相談したら「以前はこの病院でも絶食療法をやっていたけど、今はやっていない」と言われました。なぜやめたのかな、と疑問に思いながらも、酵素ドリンクを食事と置き換える絶食に1週間チャレンジしました。
すると、さらに調子が良くなった気がしたので、翌日から、マクロビオティック食を出す温泉宿の2泊3日のデトックスコースに行ってみました。お茶と梅干しと少量のにんじんジュースだけで過ごすと、3日目には倦怠感が消えました。絶食後の回復食がとても美味しく感じられ、食後の便がフワッフワになりました。この時、食を変えるとカラダが変わるんだ!と直感したのです。
それ以降、食事の中身に気を配るようになりました。野菜を中心にした食事に変えて、主食を減らしました。ビーガン食もしばらく続けました。絶食期間を通して、今まで食べ過ぎだったことに気づいたので、一日一食生活も試しました。朝から一日、酵素ドリンクのみで過ごして、夜だけ好きなものを食べるのです。それを見ていた部下からは「小林さんはサイボーグだと噂になってますよ。会社でものを食べているのを見たことがないから、夜、こっそり背中からガソリンを注入してるんでしょ」とからかわれました。
しばらくサイボーグ生活を続けているうちに、太っていた体が、みるみるうちに細くなり、体重も元通りに。そして、ステロイドを減らしても、再燃しなくなりました。徐々に他に薬の量も減らすことができ、ついに一切薬を飲まなくても蕁麻疹が出なくなりました。たった数ヶ月でステロイド離脱に成功したのです。
それ以来、ライオンにも、アヒルにも、ゴリラにも、ゾウにも、変身することはなくなりました。
この経験を通して「からだは食べたものでできている。変なものを食べると変な人になる。」が私の信条になりました。
蕁麻疹が完治した後、ずっと絶食したり厳しいダイエットを続けたりしているわけではありません。誰かと食事する時には、できるだけ同じものを食べて飲んで、一緒に楽しみます。たまには羽目を外して不健康なものを食べ過ぎたりもしますが、それを毎日続けることはしません。平均して週の8割以上はからだや細胞に優しい食事をする事を目標にしています。
「食べるべきものと食べるべきではないもの」の違いを知ってからは、体調の変化に敏感になりました。不自然な食べ物は味でわかるようになりました。そして、「変なもの」を食べた後は、食を整えることで自らのからだをリセットする方法を身につけました。完璧でなくても、8割くらい整えておけば「変な人」にはならないと思っています。
食を変えてわかったこと
食を変えることで、臨床研修の症例になるほど重症だった蕁麻疹が消え、毎日の服薬や毎週の診察や点滴が不要になりました。救急病院とも疎遠になり、日中眠気を我慢することもなくなり、副作用で体が壊れるかもしれない、という不安からも解放されました。
アトピーや蕁麻疹に擦れないように、ゆったりした洋服ばかり着る必要もないし、陽に当たることを気にしたり、真っ赤でボロボロの肌を隠したりする必要もない。薬の副作用を知らない人から、年齢や不摂生のためにぶくぶく太った人だと決めつけられ、あざ笑われることもない。
自然に痩せて標準体重に戻っただけでなく、エネルギーに満ち溢れて元気になりました。ガッチガチで首が回らないほどだった肩こりはなくなり、徹夜をしても、13時間の夜行便で海外出張から早朝帰ってきても、一日中いつも通りに元気に仕事ができる。
疲れなくなる、イライラしなくなる、怒らなくなる、こだわらなくなる。だから毎日穏やかに過ごせる。夜はぐっすり眠れ、朝は自然に目が覚める。
食を変えて健康になってはじめてわかったことがあります。今まで、いかに自分のからだに辛く当たってきたのか。胃腸に負担をかけ、細胞を不健康にする食べ物、食べ方、生活習慣のおかげで、慢性蕁麻疹という病気に罹り、膨大な時間とお金と精神を浪費してしまった。
蕁麻疹がなければ、毎晩、質の良い睡眠をとることで、もっと仕事に集中でき、パフォーマンスを上げられたかもしれない。通院のたびにかかったお金や時間は趣味や楽しみに使え、普通のお店で洋服を買って、おしゃれだってもっと楽しめたはずの数年間だったのです。
自分のことだけではありません。いつも自分の体調を整えることで精一杯で、他の人に優しくする余裕はありませんでした。親や友人にも心配をかけました。そして、大変な時期にいつもサポートしてくれる誰かがいてくれたということは、とても幸運でありがたいことだったのだと、今になって思うのです。
蕁麻疹と過ごしたあの頃に感謝
あの数年間があったからこそ、健康であることの幸せや尊さがわかるようになりました。そして、何がからだを蝕むのか、食を通して健康になるためにはどうしたらいいのかをもっと知るために、予防医学を学び続ける原動力になりました。そして学んだことをひとりでも多くの人に伝えるために、仲間と共にJC1という会社を作りました。病気になってから病院に行くのではなく、自分で病気を予防できれば人生が変わる。そう気づいてくれる人を増やしたいからです。
だから、あの数年間は、決して無駄ではなかったと思います。
私の経験と今のあなたとの間に、少しでも共通点を見つけたなら、どうぞ、今日から自分のからだの声を聞いて、自分に優しくなってください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。