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JBA学生ライターのリアル①~社内で酷評された原稿が、お客様修正ゼロで校了した話~

はじめまして。
私は、2021年2月にJBA大阪拠点に長期インターン生として入社し、ライターとしてお仕事をしています。

私がJBAで経験してきたライターの仕事は、主に、企業の社内広報記事の執筆です。具体的には、「〇〇に新工場がオープンします!」とか「若手社員にインタビュー!」とか「人事部からお知らせ<福利厚生を活用しましょう>」などといった、企業の『広報部』から自社の社員向けに発信されるものです。イメージできますでしょうか?

せっかくの機会なので、この場では、企業をお客様に書くライターのリアルを、ちょっとだけでも知っていただきたいと思っています。そんなわけで、「JBA学生ライターのリアル」と題した私の体験談をご紹介します。

社内のライター会議で酷評された原稿が、お客様修正ゼロで校了した話

ライターの仕事は、もちろん、自分の書きたい文章を書くことではありません。お客様が書いてほしいことを書くこと。つまり、お客様が世の中に伝えたいことを代弁することが仕事です。

JBAのお客様である「企業」には、それぞれ個性があります。創業から受け継がれてきた理念、大切にしている企業風土など。そしてもちろん、それぞれの企業の「担当者様」も。皆さんにそれぞれの想いがあり、こだわりがあり、私たちライターに要求されるライティングの要件も変わってきます。

私が担当しているとある企業のご担当者さまAさんは、記事に必要な取材から執筆まで、ご自分でこなされる方です。Aさんには、中堅社員へのインタビュー企画の執筆を任せて頂いています。つまり、お客様が取材をした音源をいただいて、それを元に私が執筆をするというわけです。

これの何が難しいって、本来一本の記事を書くのに必要とされる要素の定石が、お客様には通用しないこと。どういうことかというと、私たちJBAが、「記事を書くのに必要な要素を引き出すため」の取材をしがちなのに対して、お客様は「自分のしたい取材をして、そこで得られた要素で記事を書く」というスタンスで取材をされます。

もちろん、本来なら後者のスタンスで取材~執筆はなされるべきだと思うのですが、ここを語ると長くなるので置いておいて。

もっとリアルに話すなら、JBAは取材の中で、まともな記事を書くために必要な最低限の要素を必ず引き出そうとするのに対し、取材・ライティング領域のプロではないお客様は、その必要最低限の要素を把握しておられない。
そのため、インタビュイー(※インタビューの対象者のこと。インタビュアーの逆)がどんな方なのか、どんな思いで仕事をされているのか、そのストーリー(起承転結)を描くために必要な出来事や、思いの動機などの重要な要素が、取材の場で引き出しきれていないことがあります。

どんなに立派な信念を持っている人でも「どうしてそう考えるようになったんですか?」と聞いて、「ん~、なんとなく!」なんて言われたら、途端に薄っぺらく、うさん臭く感じてしまいませんか?
ストーリー(起承転結)に必要な要素が網羅されていない記事でも、同じことが起こります。

せっかく物凄く良いことを話して下さっていても、「なぜそう思ったのか」「どういうきっかけがあったのか」という裏付けがないと、記事全体の説得力がなくなり、インタビュイーへの信頼がなくなってしまう。そうならないように、誰でも言いそうな当たり障りのない表現を使い、ストーリー(起承転結)に起伏やクライマックスがないまま記事をまとめる。このようにして、大いに“つまらない”記事ができ上がります。

私がAさんの取材から執筆した最初の記事も、そのようなものでした。
普段取材慣れしたJBAのディレクターさんの指示で書く記事とはまったく違います。とにかく戸惑いながら、ようやくまとめた原稿は、インタビュイーが取材で実際に語った言葉の原型はほぼなく、私というライターによって、表現を変えられ、順番も変えられ、事実関係もほぼ無理やり継ぎ接ぎされた、「記事のための記事」。

なんとか形にできた、という無意味な達成感だけはありましたが、誰がこれを読んで感動するのか、影響を受けるのか、インタビュイーを引き受けて下さった社員さんがこれで喜んで下さるのか。当然、胸を張れるものではありませんでした。

私はこの原稿を、社内のライターが集まるミーティングで提出しました。すでにお客様へ提出した後だったのですが、第三者からの意見をもらい、「何のためにこの原稿を書いたのか」「この記事で読者に何が伝わるのか」「今後どうするべきか」というモヤモヤを少しでも晴らしたかったからです。

結果は酷評でした。

「綺麗事ばかりでその人らしさがない」
「綺麗にまとまっているけど、それだけ」
「説得力がない」
「印象的なエピソードがない」

すべてその通りだと思いました。納得できる分、責任感と罪悪感で胸が詰まります。やっぱりこの原稿は“ダメ”だったんだ。お客様に提出していいものではなかったんだ。そう思い、後悔が募りました。

そして数日後、担当のディレクターさんから「お客様から修正来たよ!」という連絡が来ました。

「修正ほぼない!すごいね!」

送られてきたPDFの原稿には、数か所赤字で訂正されていましたが、ディレクターさんが言う通り、目立った修正はほぼ無し。目を疑いました。

社内の同業者からは酷評され、私自身も“ダメ”だったと胸をはれなかった原稿が、お客様の修正ほぼ無しで通ってしまった。これは決して成功体験ではありません、「なーんだ、良かったじゃん!」という話でもありません。このエピソードには、今後JBAでライターとして仕事をしていくにあたって、考えなければならない重要な仕事のポイントがいくつも詰まっていると私は思っています。

その中でも、特に学びとして大きかったものを2つ記します。

一つ目、限られた材料でも、修正なしの原稿は書けること。

結果的に修正がなかっただけで、結果ありきでの反省ではありますが、私はこの記事を執筆する前に、お客様とのミーティングに同席させて頂き、「こう書いてほしい」「こうならないようにしてほしい」という意見をお聞きしていました。さらに、「こういう構成にした方が分かりやすいと思います」というご提案もしています。その結果、ほぼ修正なしで原稿をお渡しすることができた。お客様の要望を理解し、抑えて「お客様が書いてほしい原稿」を書けば、修正の量を減らすことは可能です。

二つ目、私たちが客観的に見て「良くない」と判断する原稿でも、お客様はオッケーしてしまうこと。

ライターの社内ミーティングで厳しい意見をもらい、執筆した私自身もそれに納得せざるをえませんでした。「これはベストな原稿とは言えない、もっといい取材・執筆が出来たはすだ」と思い知らされました。けれど、返ってきたのは修正なしの原稿。「あ、あれだけ『良くない』原稿でも、良いということになって、掲載されてしまうんだ」という衝撃がありました。そういう現状があることを、自覚していなければいけないと思います。

私たちライターが、ライターとして何をお客様に託され、どれだけのものを背負っているのか、私はあれ以来ずっと考えています。そして、もっと大きなものを一緒に背負わせていただけないかとも。

余談ですが、JBAでは、ライターは「コンテンツビジネスデザイナー(CBD)」と呼ばれています。これは、ライティングだけを職責とする従来のライター像からの脱却をJBAなりに図ったもの。ここでは、ただ良い文章を書くだけの人材は求められていません。

最後までお読みいただきありがとうございました!
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