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シンガポール経営大学の学生向けに授業。 学生が驚いた日本イメージとのギャップとは

先週、シンガポール経営大学(Singapore Management University)で教授をやっているシンガポール人の友人が、学生さん約30人を連れて来日しました。

海外におけるビジネスを現地で学ぶことを目的にしていて、毎年外国で2週間、現地に滞在して学ぶのだとか。
私がシンガポールに住んでいた頃にその友人とは仕事の関係で会い、当時まだ彼は准教授でしたが、数年前に晴れて教授へと昇進🎊
そこから毎年1年に1回、ゼミの生徒を連れて海外視察を行っているのだそうです。

授業として日本を訪れるのは今回が初めて。
今まで米国・タイ・カナダ・韓国などを経て今回日本にやってきました。


学生さんの海外視察なんていうと、半分遊びかしら?なんて失礼なことを思ってしまいますが、いや〜さすがは金融大国シンガポールからやってきた優秀な学生さんたち。

朝から晩までびっくりするような過密スケジュールで、企業訪問や日本の大学での授業、研究にレポートに、と息つく暇もないほどの2週間だったようです。


約1年前から受けていた授業依頼
できるかできないか、じゃなく「やる」笑

今からちょうど1年ほど前に、その教授の友人から
「来年の海外研修は日本に行くことになったんだけど、Nanakoに授業してほしいんだ。できそう?」
と打診をもらっていました。

与えられた時間は2時間…(長い)

千葉大学でも非常勤講師をしていたり、広報やグローバル教育に関する講演を受けることもしばしばで、人前で話すことについては全然大丈夫なのですが、
英語母国語の生徒に対して、しかも「PR・Communication」の授業を取る生徒に対して2時間も喋り倒すのか…
と思うと、
ハードル高…! と正直一瞬たじろいでしまいました。

だけど、何事もまずはバッターボックスに立つことが大事。

できるかできないか、じゃなくて「やる」のよ。

そう自分に言い聞かせ

「やる!」
とプルプルと震えながら即答していました。


海外大学生向けの講演、お題は
「Overview of Public Relations in Japan」


「お題は何でもいいよ!Nanakoに任せるよ!」
という心意気を感じる、この海のように広いお題。

何度かディスカッションを重ねつつ、話す内容を絞っていきました。

聞けば学生さん自体、
シンガポールの若者の多くがそうであるように「マニアか!」というほど日本文化が好きな学生は多いものの、
こと「広報」という文脈において日本を研究対象にしている学生はおらず、
「どんな話をしても「へぇ〜」となるので安心して!」
だそう。

さすが、私の友人の中でトップ5に入る超優秀な友人。
私の力量をちゃんと知った上で依頼してくれていますw


1年先、と思っていたら…

1年前に打診されてから、何度かZoomでディスカッションを重ねてきました。

そして自社の仕事で面白い経験をするたびに
「シンガポール経営大の学生さんにこの話しよう」
など構想を練り…と、何となく方向性は見えてきていました。

1ヶ月を切った頃に、今までの構想を資料に落とし込んでみることにしました。

すると、なんか言いたいことがありすぎて
しっちゃかめっちゃかになるんですね…。

うまくまとまらないな、と思いつつちょっとずつ編集を重ねていたら、
もう本番2日前(マズい…)
友人からは
「日本に着いたよ!明後日の授業楽しみしてるよ!」
と連絡があり、いよいよお尻に火がつきます。

作り始めたらものすごい情報量&データ量になってしまい、最後1/3くらい削ってしまったのがちょっと悔やまれますが、なんとか仕上げて前日はプレゼンの準備にもかなりちゃんと時間を使うことができました。

千葉大における講義で痛感したのですが、講義で喋る練習をしているのとしていないのとでは、授業の出来に、天と地ほどの差が出ます

人に伝えるのを生業にしている広報担当なので、
必要とあらば即席でそれっぽく話すことはできますが、
喋りのプロであるアナウンサーでさえ、本番前には何度も何度も練習するのに、私が練習もせずに本番に臨んで良いはずありません。

もともと人前で話すのがまったく得意でなかった私。
突然神が降臨したかのようにうまくなるはずもなく、
コンサル時代に恥ずかしい思いをしながら、耳を塞ぎたくなるような酷い自声録音を聴きながら、何度も何度も練習して、ようやくい話すのが苦にならなくなりました。
え〜とかあ〜とか言いまくる悪い癖も克服しました(?←これはほんとかどうかビミョーなところ)。

ということで、今回も何度も練習しました。
特に英語で2時間もの長時間の講義ですし。

努力したことは「努力した」と公言したい

ちょっと話はそれます&真面目か!と言われてしまいそうですが、
私は努力したことについては結構正直に「努力した」と公言します。

練習しないとうまく話せなかったくせに
「NO練習で大舞台に臨んだ」「もともと話すの得意で」とか、
言ってしまうのって自分的には気持ち悪いのです。

めっちゃ勉強したくせに「えー全然勉強してないよ」ってウソつくみたいな感じが嫌なのかなぁ…。

特に日本には「人前で話すのが苦手」という方が大勢います。
そんな中でウソをついて、一瞬
「え〜もともとそんな才能に恵まれていたなんてうらやましい!…私には無理だわ」
って思われることよりも、努力して手に入れたことを伝えて
「じゃあ私も頑張れば上手に喋れるようになるかな」
と思ってもらう方がずっと価値がありそうです
ものね。

日本の広報を知らない学生に何を伝える?

話を戻します。
シンガポール経営大の学生さんにどんな話をしたのか、目次をお伝えします。

①日本の経済的地位
②日本の文化的位置付け
③日本社会における課題
④日本のメディアが置かれた環境
⑤日本のメディアを世界比較した際の強みと弱み
⑥日本におけるメディアの多様性と特性
⑦最も影響力のある/信頼されるメディア
⑧新興メディア・ゴシップメディア
⑨日本のメディアの未来予想図
⑩日本における広報の仕事の未来予想図

2時間もあるということで、こんな長編を作ってしまいました。

マーケティングだとか、SNSだとか、それっぽいけどぺらぺらな薄い話しかできない内容は一切省き、自分が得意でずっと向き合い続けているメディアの話を広報の目線から展開しました。

それに、何を隠そう私は、マスターヨーダもびっくりのMaster of War Studies(戦争学修士) という、マニアックな肩書きも持っているので、日本のメディアの国際政治への向き合い方とか、戦争報道などの要素もチョイ足し。

我ながら、わりかし面白い講義資料になったのではないでしょーか(自画自賛すみません!)

シンガポールの学生さん 反応は?

シンガポールの学生さん、驚くほどインタラクティブで、反応も濃くて、非常にやりやすかったです。

笑ってほしいところでドッ!と音がするほど笑ってくれるし、
ちょっと悲しい話をすれば「Oh~ No~~」って反応をくれるし、
次から次へと質問をしてくれるし…

2時間本当に気持ちよく話をさせていただき、Q&Aまで完了しました。

PRの世界では胸を打つ、感激する、というのをよく
「刺さる」
という物騒な表現をしますが、
シンガポールの若者には、いったい何が刺さったのでしょうか。


それは
シンガポール人の目線から見た日本のメディアイメージと、
日本人広報から見た日本のメディアとのギャップ。


シンガポール人から見た日本のイメージをキーワードで表すと、トップに
「保守的」
「控えめ」
「謙遜」

が必ず挙がります。

にも関わらず、日本のメディア報道を見れば
「皇室批判」
「政府の裏金報道で支持率ダダ下がり」
「権力者の不倫暴露」

などなど、シンガポールではあり得ないような激しい報道がじゃんじゃん上がっていることを知り大きな衝撃を受けたと。

そうそう。久々に思い出したけれど、

シンガポールって、日本では愛を込めて「明るい北朝鮮」と呼ばれてるんだった!(ご存知でしょうか)


シンガポールは経済のハブとして大きな発展を遂げており、一人あたりGDPも、物価も、ダイバーシティも日本のはるか上を行くノリに乗った国家。
国内在住社の半分が外国人で、国内は英語が公用語、女性の活躍も目覚ましく、超天才集団と呼ばれるシンガポール政府が非常に上手に国を発展させてきた、まさに小規模国家の大成功例。


だけどこの「明るい北朝鮮」という名前の通り、デモの禁止やメディアによる政府の批判禁止はもちろん、SNSでのつぶやきに至るまで超ハイテク政府に監視されているのも有名な話。


日本で当たり前のように保障されている「報道の自由」や「知る権利」。
これらが保障されていないシンガポールから見て、日本では、おとなしいイメージの日本からは似ても似つかないような報道がなされているのだと衝撃だったそう。


海外大生に2時間の講義。
結構大変だったけど、この打席に立つということに挑戦しなければ見えない景色がありました。



講義を終えてオフィスに戻る途中。
「あぁ、この質問にはこう返せばよかった…
この話し忘れてた…」
反省も色々浮かんできました。

ですが、せっかくこんなに頑張って初めての挑戦をやり遂げたのだから、
まずは褒めてあげよう!と、大好物のクレープを買ってモリモリ頬張った私でした!


最後までお読みいただきありがとうございました。

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