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文章の書き方の秘訣は「文章を書こうとしない」こと【note編】

※これは別媒体に掲載した原稿をnote用に改稿したものです。

こんにちは。私は子供のころからタイプライターのカチャカチャというタイピング音が大好きです。机に座れば見えない空気タイプライターをカチャカチャして遊んだり、寝る前には妄想の中で親の仇かのごとくキーボードを鬼タイピングする自分に酔ってみたりする、少しアレなお子様でした。

大人になった私は、ただタイプライターをカチャカチャしたい一心で、まずはコピーライターなるものになりましたが、就職した頃にはすでにタイプライターは過去の遺物となっていました。パソコンでカチャカチャする社会人人生のはじまりです。

あれから幾数年、来る日も来る日もカチャカチャとタイプし続けるという夢は叶ったものの、仕事がつらくて逃亡したい夜も多々ありました。そりゃそうですよね。子供のころは、カチャカチャ音と仕事が切り離せないものだなんて想像してませんでしたから。痛恨のミスです。でも、カチャカチャだけは未だに大好きです。

そんな訳で、記事のサムネイルに大好きなタイプライターを使っています。


閑話休題。


今回は頻繁に問われるこの質問について書いてみたいと思います。

自分の気持ちをうまく文章にするにはどうしたらいいの?


どうしたら文章が書けるようになるの?」
という質問は、老若男女問わず、日本のみならず、全世界的のみならず、宇宙開闢以来全人類の命題なのか?というレベルでの根源的で普遍的なアレでソレかと思われますが、

実は私も難しいです。教えてほしい。
お前プロなんだろ、という声が聞こえてきそうですが、難しいものは難しいんです。

しかし、多く同じ質問があるということは、それだけ悩んでいる方がいるということなので、一度私なりの考えをまとめてみようと思いました。

なんで文章って難しいの

なぜ難しいのかな?と考えてみました。

まず、母国語である日本語が難しいからでは?と思います。

ひらがな、カタカナ、漢字、文法も複雑だし、構造も諸外国語とは異なります。敬語の種類も複数あるし、なんとか活用形?なんだっけそれ?

話すのは得意だけど、文章は苦手だという人もたくさんいます。
私の周囲にいる、日本語会話ができる外国の方の多くは、まずしゃべれるようにはなるけど、読み書きは難しいと言います。

例えば、インタビュー等の取材をして記事を書く時、録音した取材時のテープを文字に起こすいわゆる「テープ起こし」を行います。
取材の時は、うんうん、なるほどと理解できているものの、いざ文字にしてみると「一体何を言ってるんだお前は」状態です。「あれそれどれこれ」が多発していたり、いきなり話がぶっ飛んだりで、意味がわからない。

話言葉は、話している時だけ伝わるもので、文章としてはあまり成立しないんですね。

これを踏まえると、日本語は、聴覚からの情報処理より、視覚からの情報処理のほうが難易度が高い。てことがいえるのかなと。

やはり日本語の文語表現は難しいのです。

でもぶっちゃけ、

文章を書くのに「文章力」はいらない

と、私は思います。

私のように、文章でお金をいただく立場になると話は別ですが、今は「文章が不得意・難しい」と思っている方に向けてこの記事を書いているので、もしこれを見ているプロの方がいたら激しいツッコミを入れたくなるかもしれません。

なんで文章を書くのに、文章力がいらないのか。

もちろん文章を書く際、「文章力」というものが無いより、有るに越したことはありません。しかし、文章力が有る=文章が上手い、無い=下手という公式が必ずしも成立することではないと思います。

じゃあ文章力ってなに?上手い文章てなに?

文章力とはスキル、職能です。
スキルだから、訓練次第で向上させることができます。

文章力養成ギブスを装着して、星飛雄馬的な地獄の特訓を続ければ、ぐんぐんとその力は付いていくってことですね。例えが古いでしょうかバァン(ちゃぶ台を)

そのため、このスキルを向上させると、いわゆる「上手な文章」が書けるようになっていきます。

そして「上手な文章」とは、簡単に言うと「伝わる文章」と言えるかと思います。
しかし、この「伝わる文章」とは、定義付けがとても難しいものです。なぜなら、ケースバイケースで「上手い」の定義も変わるからです。この意味を適格に捉えられているかが「文章力」のキモになる部分なのですが、今回は割愛します。

つまり。「上手い」の定義が漠然としている状態で文章を作成するケースが世の中のほとんどなのです。漠然としたものを表現するのは難しい、というか、できないですよね。

上手な文章の定義は漠然としているものの、多くの人は文章を書く時、自然と「上手い文章を書こう」としていないでしょうか。これが、「文章が書けない、苦手」と思ってしまうひとつの原因じゃないかと思います。

漠然としたものを表現するのは難しい。かといって、突然養成ギプスをつけて訓練するのもキツイ。姉ちゃんもいない。

であれば、何かの文章を書く時
「(上手い)文章を書こうと思って書きはじめるのをやめる」
まずこれをやってみてください。

いきなり上手い文章を書こうとしてはいけない


大事な事なので2回言いました。
そして何回でも言います。

「文章を書こうと思った時、文章を書こうとしてはいけない」

なんだか哲学的になってきましたね。
我思う故に我あり。人間は考える葦である。犬も当たれば棒に当たる。

え、こいつ何言ってるの?

と思った方も多いことでしょうが、これはマジです。

じゃあ文章を書きたい時、一体何をすればいいのか。

細かな説明をすると長くなるので、ポイントを絞ってみました。次に、文章を書く時に行う3つのポイントをご紹介します。

やっと本題ですね。長かった。

文章を書く時に行う3つのこと

①書きたい内容を書き出す 
②その情報を整理・分析する 
③文章にする

この3段階を踏めば、文章を書くのがだいぶ簡単になります。
文章に限らず、どんな仕事にも最終的にアウトプットされる形の背後に「創造のプロセス」というものがあります。

例えば、車。
その車をつくって売るために、メーカーや販売店の人々の仕事があります。
例えば、楽しいイベント。
数日前からこの日のために準備をしてきたたくさんの人々がいます。
例えば、おいしいごはん。
食卓に上がるまえに、農家や市場、そしてお料理をする人の働きがあります。

同じように、最終成果物である「文章」にも、創造のプロセスが存在しています。それぞれを少し具体的に紹介していきますね。

①書きたい内容を書き出す

文章を書こうと思った時、自分がこれから何を書こうとしているのかを、書きだしていきます。

書いていく、と言っても文章としてではないです。
意識すべきは、「とにかく文字として形にすること」

メモでも、箇条書きでも、手書きでもWordでも、どんな形式でもいいので、きれいな体裁にこだわらず。内容のかぶりや順番、言葉遣いなど、この段階では一切意識する必要はありません。

こんな感じ ↓
<例>ー---------------

「ブログに映画の感想を書きたい」
おもしろった、興奮した 最後のシーン感動した どんでん返しがびっくり 〇〇の笑った顔がかわいかった 喫茶店のシーンのケーキがおいしそう、食べたい 電車の中で◇◇が言った言葉が印象的だった 伏線だったのか 世界観が好き 原作はあるのか?
ー---------------ー--

②その情報を整理・分析する

①がだいたい終わったら、今度はそれを整頓して、足らない情報を補足していきます。まだまだ文章は書きません。
①で書いた単語や言葉から、連想されるもの、思い出されるもの、なぜ自分がそう思ったのか、その時どう感じていたか、などを自分の中から引き出していきます。

こんな感じ↓

<例>ー---------------
映画情報「XXXXX」 X月X日公開 180分 サスペンスホラー

■全体的な感想
・おもしろかった→なぜ?→好きな俳優が出てた、ストーリーが好み
・大興奮!→ハラハラドキドキ、手に汗、思わせぶりなシーンが多い、誰が悪い奴かがわからないところ
・世界観が好き→なぜ?→ヨーロッパの歴史モノが好きだから、サスペンス映画が好きだから、XXという映画にも似てると思った

■シーンごとの感想
・あれは伏線だったのか→なんの?→冒頭のシーンが最後のシーンとリンクすること。もう一度見直したい
・喫茶店のシーンのケーキがおいしそう→いちごのショートケーキ 
・〇〇の笑った顔がかわいかった→〇〇がもともと好き
・電車の中での言葉→「・・・・・」という言葉が、映画全体のテーマのように思った
・最後のどんでん返し→まさか!と思った 想像してなかった
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上の例ではくくりを「全体」と「シーンごと整頓」としましたが、これは内容によって違ってくると思います。難しく考えずに、とにかくやってみてください。

やがてこれが文章の骨組みになっていきます。

③文章にする

①②が終わると、自分の中での情報整理ができてきます。
いよいよ、②をつなぎ合わせて、文章にします。

こんな感じ↓

<例>ー---------------
昨日、久しぶりに映画を観に行きました。タイトルは『XXXXX』、公開されたばかりの180分サスペンス長編です。

見た感想ですが、とにかくおもしろかった!興奮した!です。なぜって、私の好きな〇〇が主演だし、ずっとハラハラドキドキ、一体誰が犯人なのか最後まで全然わからなくて手に汗握りっぱなし。アッという間に180分経っていました。中世ヨーロッパの雰囲気が素敵で、映画の世界にすぐ引き込まれました。
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すべて自分の中から出てきた言葉で、冒頭の部分の文章ができました。

やってみるとわかりますが、文章の創造のプロセスで大事なのは①②です。ここでどれだけの言葉を自分の中から引き出せるかによって、③の文章作成が簡単になります。

どうでしょうか?
これはあくまでも基本的なプロセスですが、今までいきなり文章を書こうとしてなかな書けなかった人は、これでだいぶハードルが下がると思いますので、一度試してみてくださいね!

おさらい

★文章の書き方の秘訣は「最初から文章を書こうとしない」こと

★文章を書く最も簡単なプロセス

 ①書きたい内容を書き出す・・・とにかくいったん文字にする 
 ②その情報を整理・分析する ・・・①への情報補填&連想ゲーム
 ③文章にする・・・②を並べて文章にしてみる

★文章を書くのに、「文章力」はいらない  
 (注)ビジネスやプロフェッショナルのケースは別

自分でこう書いてみて、深堀りしたらかなり面白そうな課題だったので、また書きます。長くなっちゃった。
おわり。

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