見出し画像

着物知識その6 「着物を売る知識(USED着物編)」

第6回は着物そのものの知識よりも、売る側に必要な知識などを書いていきます。

というのも、本当に着物を覚える気があるなら、買うより売り手に回ったほうが覚えます。

さらにメルカリやその他のネットショップなどを利用するにあたり、売る時の注意点なども覚えておくと「ああ、こんなふうなんだ」と自分が着物を購入する側になっても色々と見るべき所が違ってくると思います。


1 「売る着物のチェック」

特にUSED着物を売る際は、シミヨゴレやその他のことを見落としがちです。

これは売り手側がベテランでも見落としなどもあります。

実は以外に時間もかかるし、大変なんですよね。

で、この1では、その注意点を書いておきますので、売り始める方は参考にしていただけると、トラブルも減りますし、着物にも詳しくなるし、ここまでは面倒だから売る時に説明文に書いておこうかななどの判断材料になると思います。

a 主に汚れる場所とそれによる補足。

 1 衿(襟)の汚れは洗いに出そうが取れないので、どうしても汚れを取るなら専門のシミ抜き屋に。ただし、それでも限界がある。

 2 袖は肩山や縫い目の部分も見ておこう(意外とスルーするのは着用されてないからとサッと写真を撮って売ると、ちょうど生地の山になっているところなどがヤケて変色してます。畳んでいるときは目立ちませんが、着ると目立つため、トラブルになります)。

 3 胴部分は、着用のシワもあるが、帯の色が移っている場合もある。薄っすらとついている時は、明るい場所じゃないとわからないので注意。

 4 裾は上前の汚れは目立つが、下前の部分は隠れるので着れないこともない。

 5 裾の末端は畳などに擦れて汚れたり、破けたりしてる場合があるので注意。

 6 模様(がら)の中にポツポツとカビが変色したものは見落としがち。

 7 胴裏の黄変やカビの酸化による赤茶けた斑点。

 8 広衿の金属ボタンの腐食。

 9 しつけ糸の生地に付着している部分の変色。

b ほころびと針残り

 1 主にほころびている場所。

  ・脇のあたり

  ・裾のあたり

  ・背中部分の縫い目

 2 針残り

  これは、仕立てた人がマチ針などを回収忘れたまま売られてるケースです。USED着物を扱うなら気を付けてください。特にしつけ糸つきの着物などは残ってるケースが多いです。手で触ってもわからないこともないですが、時間がかかりますので、本格的に売る場合は金属探知機を購入しましょう。また、針が残ってる場合はマッチ棒などを縫い目から差し込んで木の部分にハリを刺して一緒に引き抜きます。


c 寸法

 寸法が大事ですが、全部書いていると面倒です。

 なので要所だけ測ります。

 まれに測らずに売ってる方もいますが、購入者が買った後に着れないと苦情を言う場合が出てきますので、必ず寸法は書きます。

画像1

↑基本的な部位の名称です。

基本は

・身丈(肩から)

 ※背中ではなく、必ず肩から身丈を測ってください。首の後ろから測ると、人によっては衿の抜き方が多い人もいるため、着た時の寸法に狂いが生じます。

・裄(ゆき)

 ※これは袖先から直線で測るのではなく、一度袖先から肩先まで(図のD)測り、そのまま肩先からメジャーがずれないように持って衿の後ろの根本(図のE)まで測ります。


画像2


※裄の測り方はわかりづらいので図を載せておきます。実際の着物を後ろから見ると図のように見えると思いますが、裄は123の箇所を測ってください。なお、測る際はひっぱらず、ふんわりと持って測ってください。引っ張ると縮緬などの生地は伸びるので寸法が変わります。

・袖丈

袖丈の長さは年齢によってもそれ相応の長さがありますし、長い、短いで清楚か粋かの見え方も変わります。また身長でも長さによっては見苦しくなるので必ず測ってください。

・前巾

・後巾

※前巾と後巾で横のサイズがわかりますので、必ず書きます。

以上5ヶ所の寸法を書くのが基本です。

それ以外はたまに聞かれることもありますが、どこの部位かはネットで調べれば出てきますので、その聞かれたときに調べて測るぐらいでいいです。

d 着物の材質

これはとにかく大事です。

これについては[ 着物知識その1 「正絹という考え方」]

と、[ 着物知識その4 「着物は洗えるのかの本音」]

で少し触れてます。また見極め方についてはそのうち書きたいと思います。


2 付属サービスについて

・たとう紙

 たとう紙をつけてくださいとか言われるときもありますが、お値段が安いものはつけなくてもいいと思います。というのも、たとう紙もいろいろと問題があり、安い着物だからと安いたとう紙つけるとかえって不満を言われる場合があります。また、たとう紙に包んだ着物を折り曲げないように発送するには、専用の箱か、ダンボールでしっかり挟んで送るなど手間もかかり、運送代もバカになりません。

※メルカリ便などでは、たとう紙を曲げないように送るような大きさの発送は対応してくれませんので通常の小包配送になりますがそうなると、地域にもよりますが平均1500~2000(場合によってはもっとかかるかも)の送料が発生します。

なお、たとう紙もピンキリで、安いのは1枚130円程度のものがありますが、はっきり言って貧相で、サービスでつけてもあーだこーだ言われる場合があります。中間レベルは1枚350~500、ちょっと良いものは1枚1000~1500、高いものは1枚3000~などキリがありません。

なので安い値段のものには「たとう紙は付属しません」と書くほうがいいでしょう(高い着物はメルカリ便などではなく、小包で送るつもりでダンボールなどを用意しておきましょう)。
※感覚としては、15000円以上の値段の着物は、たとう紙に入れてしっかり発送しないと売れない気がしますので、そのあたりの値段のものを販売するならたとう紙の付属は考えていきましょう。

・小物や着物1枚サービスなどのサービス

サービスでつけてる方も多いです。

ですが、やたらサービスしても、いつも小物が安く入るとは限りませんし、またサービスの小物に逆にケチつける人も結構多いですので、最初から付けないほうが無難です。サービスで付ける余裕があるならその分、安くしてあげたほうが良いと考えてください。

※ただし、稀にキャンペーンなど期間を明記してサービスするにはいいですが、明記せずサービスしていると必ずそれが圧迫に繋がります。

・送料無料

今ではほとんどは送料無料が主流ですが、これもちゃんと考えて送料無料にしてください。しかも送料無料って、買う側の大半は「送料なんて安いんだろ」と思ってます。本当はしないほうが良いですが、今は送料無料じゃないと買わない人が圧倒的に多いです。

送料無料の際には、その商品がいくらで送れるのか、その商品を販売したサイトの手数料はいくらになるのかを計算した上で、販売する商品に上乗せしてください。

そうじゃないと1000円の物を送料無料で販売して商品の売り上げは200円という結果になることも多いです(発送しようとしたら荷物のサイズが大きくて送料が高くなったとか言う事も多々あります)。

3 心構え

今はほとんどフリマアプリで売ると思いますが、その際に始めた人が陥る罠について書きます。

・他人の値段を基準にして販売するのはNG。

着物の値段については過去に書きました[ 着物知識その3 「着物の値段の表と裏」]を読んでください。

それを読んでもらえればわかりますが、着物の値段は人によって基準が違います。

なので他人と比べて値段をつけていくと失敗しやすいです。

必ず仕入れ値などと照らし合わせて値段を決めてください。

なお、素人っぽく売ってますが、実は買取業者などの販売員だみたいなケースは結構あります。

そんな方々は宝石などを狙って着物をついてで買ってくるので、本当に安く仕入れています。

なので、そんな人たちに張り合って値段を下げるなどすると、必ず負けます。

そうやって頑張るより、独自の販売の方針や色などを基本守ってファンを増やすほうが利口です。

他人を見て張り合うのではなく、お客は無限にいるんだと思って、一人でも自分の顧客を持つことを考えてください。

・悩んで完璧に準備してからしようとせず、まずはトライしてみる。

正直、どんなに準備してもトラブルは起きます。よほど変な販売の仕方などをしていたら別ですが、まじめにやっていてもだいたい30件に1件はトラブルがあると思ってください。

なので、一生懸命準備してからじゃないと不安だからと、ズルズル先送りにするのはダメです。

やらないとトラブルなどの対処もわかりませんから、まずはやってみましょう。

やっていきながら更に整えていって、自分の販売スタイルにとって無駄な部分などを調整していくほうが先に進みます。

失敗しがちな人は逆に準備しすぎる人です。なにごとも実戦のほうが身に付きます。

※ただし、ある程度は準備しましょう。大きなトラブルにならないように心掛けてください。


・準備するもの

 1 発送方法と梱包資材

 発送する方法を決めて、それに見合った梱包資材を買いましょう。

 今回の話は着物ですから、正式な畳み方をした後でさらにそれを三つ折りで送るなどを考えなくてはなりません。

※なお、メルカリなどの「メルカリ」と書かれた梱包資材を嫌う方は多いですので、面倒でも梱包資材は独自で準備しましょう。

 2 お礼状

 フリマアプリなどは外部連絡は禁止してありますので、領収書などは買い手から請求されてもお断りできます。なので、かわりにご購入ありがとうございましたなどのメッセージカードを準備しましょう。

※無くてもいいですが、あったほうがやっぱり好感が持てます。

 なお、それ以外(たとえばストアーズとかBASEとか)で売る場合は領収書など、販売者の情報は必要でしょう。販売する方法によってお礼状などはあらかじめ準備しておいてください。

 3 販売する商品のテンプレート文章

 着物を販売する上では、注意点なども説明文に書かないといけませんので、テンプレートを用意しましょう。

(この部分についてはそのうち参考テンプレートを作ります)。

 


まだいくつかありますが、USED着物を売る側の内容はだいたいこんな感じです。なお、新品を扱う呉服屋での販売についてもそのうち書きたいと思います(もちろん裏話込みで)。

今回は最後のまとめはありません。

また足りないところはそのうち追記していきます。

着物の基礎知識を裏の話も含めて記事にしています。初歩の初歩から裏話まで。飾り内容無しの本音で書いています。よろしくお願いします。